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月光の師と未完の魔術師 ― 世界はまだ、繋がっている ―  作者: 平子 天陽


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王国の誤算

 魔術管理局の上層にある応接室は、地下牢とは対照的に明るかった。

 大きな窓から午前の光が差し込み、磨かれた机の表面を照らしている。

 壁際には背表紙の揃った法令集が並び、調度品の一つ一つにも、管理局という組織の厳格さが表れていた。


 レグルスは向かいに座る男を見つめていた。


 魔術管理局統括管理官、オルド・グライス。


 五十代半ばほどの男で、灰色の髪を後ろへ撫で付けている。

 長く管理局へ勤めてきた人間らしく、感情を表へ出さない硬い顔立ちをしていた。


 机の上には、アルノの拘束に関する書類が積まれている。

 そのすべてに担当部署の署名と正式な印が押されていた。

 アルノの拘束は、誰か一人の思いつきではない。

 複数の部署による審査を経て、正式な手続きとして認められている。

 その事実が、レグルスには余計に厄介だった。


「なぜ、アルノさんが拘束されたのですか」


 声は普段と変わらず落ち着いていた。だが、胸の内にある感情まで平静だったわけではない。

 納得できない。理解もできない。そして、何より腹立たしかった。

 オルドは書類から顔を上げた。


「情報提供があった」


「どのような内容ですか」


「異界への接触を目的とした、危険な研究を行っている者がいると」


 レグルスの眉が寄る。


「アルノさんは、そのような研究をしていません」


「そうか」


「はい」


「だが、管理局は調査と一時拘束が必要だと判断した」


 あまりにも簡単に告げられ、レグルスの口から声が漏れた。


「……は?」


 自分でも驚くほど、冷えた声だった。

 もしここにリネがいれば、もっと大きな声を上げていただろう。

 話をしに来たのが自分でよかった。

 そう思うレグルス自身も、平静を保つのがやっとだった。


 オルドは表情を変えない。


「アルノ・ルーメルが、異界へ通じる魔法陣を研究していることは事実なのだろう」


「違います」


 レグルスは即座に否定した。


「アルノさんが研究しているのは、エルディオン・ルクス=アルヴァレスさんのいる場所へ到達するための魔法陣です」


「アルヴァレス卿は、現在こちらの世界にはいない」


「ならば、異界への接触を試みていることに変わりはない」


「同じではありません」


「どう違う」


 オルドの問いに、レグルスは口を開いた。

 エルディオンが消えたのは、自ら構築した四次元魔法陣の中だ。

 一方、神代人が接触していた異界は、星環によって観測され、外側からエネルギーを引き出していた領域である。

 接続へ至る過程も、使われた魔法陣の構造も異なっている。


「エルディオンさんが消えた場所と、神代文明が接触していた異界が同一であるという証拠はありません」


「同一ではないという証拠は?」


 レグルスは答えようとして、言葉を止めた。

 各地の星環で目にしてきた裂け目と、エルディオンが消えた四次元魔法陣は明らかに違う。

 少なくとも、現象として同じではないことは理解している。

 だが、その先にある領域まで異なると証明できる資料は、まだ存在しなかった。


「……現段階では、完全な証明はできません」


「ならば、同じ異界へ接触する可能性も否定できまい」


「可能性を否定できないことと、危険人物だと決めつけることは別です」


「決めつけてはいない。その可能性を調査するための一時拘束だ」


「地下牢へ入れておいて、一時拘束ですか」


 レグルスの声が低くなる。


 オルドは机の上で両手を組んだ。


「未知の異界へ通じる魔法陣を研究し、それを実際に起動できる能力を持つ者だ。万が一を考えれば、通常の部屋へ留めておくわけにはいかない」


「アルノさんは危険思想など持っていません」


「思想だけの問題ではない」


 オルドは一枚の書類を取り上げ、その項目へ目を落とした。


「本人に害意がなくとも、研究の結果が危険を招く可能性はある。善意で開いた扉から何が現れるのか、誰にも分からん」


「エルディオンさんを救出するための研究です」


「目的が救出であっても、異界へ接触する事実は変わらない」


「違います」


「君は先ほどから、同じことしか言っていない」


 冷たい指摘だった。


 レグルスは口を閉じた。

 反論したい。資料があれば、構造の違いを示すこともできる。

 エルディオンの四次元魔法陣と、神代文明の裂け目が異なる現象だと説明できるはずだった。


 だが、今ここでオルドを完全に納得させられるだけの証拠は持っていない。

 アルノなら、魔法陣を描きながら説明できたかもしれない。

 複雑な線の一つ一つを示し、どこが違うのかを、言葉だけではなく構造として見せられたはずだ。

 そのアルノは、紙もペンもない地下牢へ入れられている。


「拘束を解いてください」


「できない」


「なぜですか」


「管理局として正式に決定された措置だ。私一人の判断で撤回することはできん」


「誤った判断であっても?」


「誤りかどうかを調べるための審査だ」


 オルドは書類を閉じ、席を立った。


「話は以上だ」


「待ってください」


「私にもほかの職務がある」


 その時、応接室の扉が二度叩かれた。


「失礼いたします」


「入れ」


 扉を開けて入ってきたのは、まだ若い書記官だった。

 急いでここまで来たらしく、頬が紅潮し、呼吸も整っていない。


「オルド統括管理官」


「何事だ」


「宰相閣下がお呼びです。至急、王前会議室へお越しくださいとのことです」


 オルドの眉が動いた。


「宰相が?」


「はい。南部沿岸に関する緊急会議が招集されました」


 王前会議室。

 その名を聞き、レグルスは灰紫色の瞳を細めた。

 王や宰相、軍部の長といった、王国の中枢にいる者たちが集まる場所だ。

 ただの報告で使われる部屋ではない。


「分かった。すぐに向かう」


 オルドは机の上の書類をまとめ、レグルスへ一瞥を向けた。


「そういうわけだ。失礼する」


「まだ話は終わっていません」


「管理局としての回答は伝えた」


 短く告げ、オルドは書記官とともに部屋を出ていった。


 扉が閉まり、応接室へ静けさが戻る。

 何一つ変えられなかった。

 アルノは今も地下牢にいる。

 審査がいつ始まるのかも、誰が情報を提供したのかも分からない。


「……なぜ」


 レグルスの口から、声が漏れた。

 アルノは、各地の神代遺跡を調査してきた。

 何度も命を危険に晒しながら、壊れかけた施設を止め、広がる汚染から人々を守ってきた。

 それでも、国から危険人物として扱われている。

 合理的ではない。

 少なくとも、レグルスにはまったく合理的な判断だと思えなかった。


 ◇


 応接室を出ると、リネが廊下を行き来していた。

 赤茶色のポニーテールが歩くたびに揺れ、琥珀色の瞳には隠しようのない苛立ちが浮かんでいる。

 何度も扉へ目を向けながら、話が終わるのを待っていたらしい。


「どうだった?」


 レグルスは首を横に振った。


「駄目でした。現時点で、アルノさんの拘束を解くつもりはないようです」


「なんで?」


「異界へ接触する可能性が否定できない以上、危険を前提に扱うそうです」


「意味が分からない」


「私もです」


 リネは閉じた応接室の扉を睨んだ。中にオルドが残っていないと分かっていても、怒りを向けずにはいられないらしい。


「こうなったら、脱獄させるしか……」


「やめてください」


 レグルスは間を置かずに止めた。普段より強い声になり、リネが不満そうに振り向く。


「でも、このまま待ってたって」


「今のアルノさんなら、本気で出ようと思えば自力で出られます」


 リネは一瞬黙った。

 地下牢には、魔法封じの術式が張り巡らされている。

 普通の魔術師なら、一本の魔法すら発動できないだろう。

 だが、アルノは術式の構造を読む。魔法そのものを打ち破れなくても、接続の欠けた部分や魔力の流れが弱い箇所を見つけ出す可能性は高い。


「……牢の術式くらいなら、解いちゃいそうだよね」


「時間さえあれば」


「壁を壊す方が早いかも」


「それも否定できません」


 二人は揃って黙った。

 ひどい会話だった。

 それでも、この三年間でアルノが積み重ねてきたものを考えれば、まったくの冗談とも言い切れない。

 本人に自覚は薄いが、アルノはもう、三年前までの見習い魔術師ではなかった。


「アルノさんがおとなしく牢へ入っているのは、逃げれば私たちまで疑われると分かっているからです」


 レグルスは告げた。


「ならば、私たちも正規の手続きで出られるよう尽力すべきです。ここで脱獄させれば、管理局の判断が正しかったと証明することになります」


 リネは唇を噛んだ。納得はしていない。

 それでも、レグルスの言葉が正しいことは理解しているようだった。


「……分かった」


「はい」


「でも、納得はしてないから」


「私もです」


「絶対に助ける」


「当然です」


 その時、廊下の向こうから先ほどの書記官が駆け戻ってきた。

 今度は先ほど以上に慌てている。


「レグルス・ヴァルハイト殿!」


 レグルスは顔を上げた。


「私ですか」


「はい。陛下が、神代文明の研究者としてご意見を伺いたいとのことです」


「陛下が?」


 書記官は続いてリネへ向き直った。


「リネ・カッセル殿にも、イオ島へ上陸した際の証言をお願いしたいと」


 リネとレグルスは顔を見合わせた。


 イオ島。

 その名を聞いただけで、三年前の光景が脳裏へ蘇る。


 黒く変色した大地。崩れかけた第四星環。そして、巨大な裂け目の向こうから自分たちを見つめていた、無数の目。


「分かりました」


 レグルスは答えた。


「すぐに向かいます」


 ◇


 王前会議室へ足を踏み入れた瞬間、レグルスは室内の空気が張り詰めていることに気付いた。


 広い部屋の中央には大きな円卓が置かれ、上座には国王が座っている。

 その隣に宰相、王国騎士団長、魔術塔最高統制官、軍務卿、海防局の代表。そして、先ほど応接室を出ていったオルドの姿もあった。

 王国の中枢を担う者たちが、一堂に会している。


 レグルスは円卓の末席へ案内され、リネは壁際に用意された席へ座った。

 イオ島へ実際に足を踏み入れ、生還した者の証言が必要なのだろう。


「レグルス・ヴァルハイトだな」


 国王が口を開いた。


 年の頃は五十代半ばほど。

 王冠を戴く姿には相応の威厳があるが、今日は顔色が優れなかった。


「はい」


 レグルスは頭を下げる。


「第四星環を調査した研究者の一人として、意見を聞かせてもらいたい」


「承知しました」


 宰相が円卓の上へ地図を広げた。

 描かれているのは王国南部と、その先に続く海だった。

 沖合に浮かぶ小さな島と、対岸の沿岸部へ赤い印が付けられている。


「イオ島だ」

 通称、死の島。

 第四星環が存在し、五百年前に邪竜が現れた場所。


「現在、イオ島で確認されていた異界エネルギーの汚染が急速に拡大している」


 宰相の言葉に、会議室の空気がさらに重くなる。


「島の周囲を覆う霧は、十日前と比べて二倍近い範囲まで広がった。海中の魔力濃度も上昇を続け、周辺海域では魚類の魔獣化が相次いでいる」


 海防局の代表が報告書を開いた。


「すでに漁船が三隻襲撃を受けています。幸い沈没は免れましたが、負傷者が出ました。現在、該当海域での漁は禁止されています」


「調査船も派遣したが、魚型魔獣の群れに阻まれ、島へ近付くことができなかった」


 軍務卿が続ける。


「護衛船一隻が大破し、調査団は上陸を断念して撤退した」


 宰相の指先が、地図の対岸へ移った。


「問題は、汚染が島の周辺だけに留まっていないことだ」


 赤い線が、海流に沿って対岸まで伸びていた。


「異界エネルギーは海流と魔力流へ乗り、沿岸部まで到達したと見られている。港に近い森では魔獣が大量に出現し、街道や周辺の農地を襲い始めた」


 沿岸の港町では漁業が停止し、港そのものが封鎖されている。

 夜間の外出も禁じられ、町の外縁に住む者から順に避難が始まっていた。

 三年前、イオ島へ向かう際に世話になったベイルとミラ、それに港の漁師たちは無事なのだろうか。

 すでに王国騎士団が派遣され、自治隊とともに魔獣の討伐へ当たっている。

 だが、倒しても新たな魔獣が森や海から現れ続けるため、防戦一方の状況だという。


「原因を止めない限り、魔獣の出現も汚染の拡大も終わらない」


 国王が重い声で言った。


「このままでは、沿岸の町を放棄せねばならん」


 レグルスは地図を見つめたまま、頭の中で報告を繋ぎ合わせていた。

 イオ島。第四星環。異界エネルギー。五百年前、邪竜が通ってきた巨大な裂け目。

 レオン・アステリアが構築した応急封印は、裂け目を完全に消したものではない。

 異界からの流出を抑え、封鎖された状態を維持していただけだ。

 その術式は、五百年もの間、補修されることなく働き続けていた。

 だが、もし封鎖が崩れ始めているのなら。


「……勘違いであってほしいのですが」


 レグルスは慎重に口を開いた。


「五百年前、邪竜が通ってきた裂け目を封鎖している魔法陣に、異常が発生した可能性があります」


 会議室が静まり返った。

 国王が身を乗り出す。


「裂け目の封鎖が破れかけているということか」


「現地を確認しなければ断定できません。ただ、汚染の拡大速度と異界エネルギー濃度の上昇を考えれば、その可能性は高いと思われます」


「では、その魔法陣を修復すればよいのか」


 レグルスは答える前に、一度呼吸を整えた。

 裂け目を封鎖するだけなら、一時的な補修で時間を稼げるかもしれない。

 だが、再び同じことが起きる可能性は残る。

 完全に止めるためには、裂け目そのものを閉じなければならない。


 その時、円卓の反対側から声が上がった。


「魔法陣の問題であれば、我々魔術塔へお任せください」


 発言したのは、魔術塔最高統制官ガルディア・ノルヴェンだった。


 白髪の交じった髪と、細身の身体を豪奢なローブで包んだ壮年の男である。

 魔術塔を代表する立場にあるという自負が、その堂々とした態度に表れていた。

 国王がガルディアへ顔を向ける。


「修復できるのか」


「現地を確認する必要はございますが、魔法陣である以上、必ず対処する方法はあります。我が国最高峰の魔術師を選抜し、封鎖してご覧に入れましょう」


 自信に満ちた返答だった。


「では、騎士団とともにイオ島へ向かい、裂け目を封鎖せよ」


「我が君の仰せのままに」


 ガルディアが胸へ手を当てる。騎士団長も短く頷いた。


「お待ちください」


 レグルスが声を上げた。

 円卓を囲む者たちの視線が、一斉に集まる。

 ガルディアは遮られたことが不快だったのか、目を細めてレグルスを見た。


「何か問題でも?」


「あの裂け目は、現代魔法陣では閉じられません」


 ガルディアの口元に薄い笑みが浮かぶ。


「君は、王国の魔術師では対処できないと言いたいのか」


「現代の魔術師が劣っているという話ではありません。五百年前、レオン・アステリアが施したのは、現代魔法陣による応急封印です。裂け目を外側から封じ、漏れ出す異界の力を抑えているにすぎない。現代魔法陣では、裂け目そのものを閉じることはできません」


「それでも、魔法陣であることに違いはあるまい」


「違います。レオン・アステリアが施した封鎖術式と、裂け目に繋がっている神代魔法陣は、まったく別のものです」


 レグルスは机の上の地図へ目を落とし、言葉を選んだ。


「現代魔法陣で外側の封印を補強することはできても、裂け目そのものを閉じるには、神代魔法陣へ干渉しなければなりません。そこへ組み込まれた神代スペルの意味と、魔力の接続を同時に理解できなければ、どの線へ干渉すべきか判断できない可能性があります」


「また可能性か」


「現地の記録と、これまでに調査した星環を根拠とする推測です」


「結局、推測ではないか」


 ガルディアは椅子へ背を預けた。


「若い研究者は机上の可能性を語るものだ。だが現場は理論だけでは動かん」


 円卓の一部から、同意するような声が漏れた。

 リネの手が膝の上で強く握られる。

 レグルスは表情を変えなかった。だが、胸の奥には冷たいものが広がっている。

 言葉だけでは届かない。

 アルノが魔法陣を描きながら説明できないことが、ここでも大きな壁になっていた。


「アルノ・ルーメルを現地へ同行させてください」


 その名を出した瞬間、会議室の空気が変わった。

 国王が眉を寄せる。


「アルノ・ルーメル?」


 先に反応したのはガルディアだった。


「ああ。異界へ通じる道を探しているという、危険思想の研究者ですな」


 早すぎる。

 レグルスは、ガルディアを見る目を変えた。


 アルノが拘束されたのは、今朝のことだ。

 管理局内部の決定が、なぜ魔術塔最高統制官の耳へこれほど早く届いている。

 立場を考えれば、報告を受けていても不自然ではない。

 だが、ガルディアの口調には、初めて聞いた者の驚きがまったくなかった。

 まるで、最初から知っていたようだった。


 レグルスはその疑念を胸の内へ留めた。今ここで、証拠のない追及をしても意味はない。


「危険思想ではありません」


「では、何の研究だ」


「エルディオン・ルクス=アルヴァレスさんを救出するための研究です」


「異界へいる者を救うため、異界へ道を繋ごうとしているのであろう。同じことではないか」


「違います」


「どこが違うのだ」


 ガルディアは小さく息を吐き、国王へ向き直った。


「陛下。危険性を疑われ拘束されている者を、国家の緊急任務へ同行させる必要はございません。我々だけで十分です」


 国王はしばらくガルディアとレグルスを見比べていた。

 レグルスには、アルノでなければならない理由を完全には証明できない。

 現地を見ていない以上、裂け目の異常についても推測の域を出ていなかった。

 一方、ガルディアは魔術塔の最高責任者であり、王国最高峰の魔術師を率いる立場にある。

 その男が、対処できると断言している。

 国王がどちらを選ぶかは、初めから決まっていたのかもしれない。


「ガルディアに任せる」


 国王は静かに告げた。


「騎士団長は王都防衛の指揮を執れ。現地での騎士団指揮は代理へ任せる。騎士団と魔術師団は直ちに出発の準備を整えよ。沿岸の町から避難が完了するまで、一刻の猶予もない」


「はっ」


 ガルディアと騎士団長が同時に頭を下げた。

 その後は、船の手配と出発時刻、沿岸部へ追加で派遣する騎士の数について話が進んでいった。


 もう、誰もレグルスを見ていなかった。

 会議はすでに結論へ向かっている。


 王国最高峰の魔術師たちが向かう。

 騎士団も同行する。国にとっては、それで十分な対策を講じたことになるのだろう。


 それでも、レグルスの胸から嫌な予感は消えなかった。

 異界の力が漏れ続ける巨大な裂け目。五百年かけて劣化した神代魔法陣。

 そして、現代の魔術師には読むことのできない神代スペル。


 そのすべてを理解し、裂け目へ直接触れられる者を、レグルスは一人しか知らない。


 だが、その魔術師は今。

 紙もペンも与えられず、魔術管理局の地下牢へ閉じ込められていた。

後まで読んでいただき、ありがとうございました!

次回もよろしくお願いいたします!

更新は19時半です( ᴗ ᴗ)⁾⁾

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