第八話 知らなくちゃダメなこと
「お、お父様……?」
「フィリア、ダメじゃないか……勝手に夜中に出歩いたら……」
彼女は硬直して動けない。
いつもマイペースで、余裕のある雰囲気を出しているのに……。
「ア、アエニグマ……!」
ヴィルベルは総帥を睨み、怒りの感情をあらわにする。
そして次の瞬間、自身の風魔法でアエニグマに斬撃を入れようとした。
しかし、この牢獄自体に魔法を無効化する結界が張られているらしく、アエニグマどころか、鉄格子にすら傷一つ付いていない。
「先代の風の支配者も、魔法を封じられるとただの老人ですね……」
今の風の支配者は、アルム魔法学校の校長である、ヴィルベルの娘・イリスだ。
彼女はすごかった。
悪魔の契約者であり、ディアリング所有者である信之と比べても劣らない。
むしろ、それ以上とも思えるオーラを彼女は放っていた。
『フィリア、どうする……?』
小声で問いかけるが、彼女はショックのあまり動けない。
もしかしたら、このままここで殺されてしまうかもしれない。
そんな不安が信之にも襲ってくる。
「私には、夢があるんだ……」
「夢……?」
アエニグマは静かに語りだす。
周りの衛兵も、フィリアも、ヴィルベルも静かに聞いている。
「私の、そう。自分以外のディアリング所有者を、この世から消すという夢だ……」
その言葉を聞いた瞬間、場の空気が凍った。
「ア、アエニグマ様……! な、何をおっしゃるのですか!?」
「おや、お前たちにも言っていなかったか……」
信之は手の震えが止まらない。
アエニグマが言った『自分以外のディアリング所有者を消す』。
それは、自分自身も対象に入っているからだ。
この事実があるだけでも、足が竦む。
「私は特別なんだ……限られた生き物のみが使用できる指輪……それを私は何不自由なく使いこなせるという事実が!!!」
この指輪は、適合者以外が着けると指が焼き切れたり、最悪の場合、死に至るというものだ。
信之も、初めてつけた時は意識を失ったのだ。
そこにアイラが現れ、色々あって……。
「しかし、そのような生き物が他にあと六体も……それも一つは魔王!!! 許せないのだ……!」
この男は、どこからどこまで自分勝手なのだ。
よくもまあ、そんなことを娘の前で言えるものだ。
「じゃあ、なんで僕を屋敷に入れた……!?」
信之も、アエニグマが憎んでいる他の適合者の一人。
国に入ってきた時点で、何かしてきてもおかしくはない。
「気が付かなかったのか? 君の来る道中に大量の魔物を置いていたのを……?」
そう、あの魔物たちはすべて、この男によるものだったのだ。
道中に出てくる魔物がやけに強かったのも、寝ているときに結界を食べていた魔物がいたのも……。
「じゃあ、僕が来たときにいなかったのは、より強力な魔物を捕まえてくるため……!?」
「いや、あれは単純に暇をしていたからだ」
……この会話は、一旦なかったことにする。
しかし、どうする……?
ここで信之が戦っても勝ち目は薄い。
ヴィルベルを出して加勢してもらいたいが、この牢屋は魔法攻撃では開かない。
「お父様……もうやめてください……」
そんな時、ずっと黙り込んでいたフィリアが、信之の一歩前に出る。
目は前髪に隠れて見えないが、いつものように余裕のある顔ではない。
「フィリア、お前は期待はずれだった」
「……え?」
いつも優しい父親からの、初めてのこんな言葉に、フィリアは耳を疑う。
「最初、お前に魔法の才能があると知ったときに、『フィリアになら、この指輪を託せる』と思ったよ。でも成長しなかった。一定のレベルから、お前は何も変わらなかった」
「え……? お父様、何を言って……」
フィリアの喉から、掠れた声が漏れる。
目の前に立つ父親の表情は、かつての温厚さを完全に失い、まるで見知らぬ他人のようだった。
「なぜお前が家出をしたのを許可したと思う? ……もう用済みになったからだよ……」
次の瞬間、誰かの攻撃が総帥の魔道具を捉えた。
こんにちは、あまないです。
こんな暗い物語でしたっけ!?
でも、ずっとコメディって言うのもマンネリ化しませんか?
それが嫌でこんな展開にしました。
でも、人気アニメでこういう展開が無いのって何かありますか?
知っているものがあったら教えてください!!!




