第六話 凶悪な魔法使い
(行きたくないけど……行くしか無いよなぁ……)
今、信之は宮殿パラティウムの客室にいる。
あの後、姫が帰ってきた祝賀会と、信之の歓迎会だので盛り上がった。
そして、寝泊まりする部屋を貸してもらい、今部屋に一人でいる。
それよりも……
(地下牢ってどうゆうことだ? そのままの意味なのか? それとも……)
女神の助言の通り、地下室はあった。
しかし、総帥から『夜は出歩かないように』と言われている。
しかも、あったのは地下牢だ。
もちろん行きたくなんか無いが、神の助言に背くのはどうかと……
(行くか……)
信之は部屋のドアの取手に手をかけ、音がしないようにゆっくりと開けて、自分がギリギリ通れる隙間を作り、部屋を出た。
暗い廊下には誰の気配もしない。
暗くて何も見えないので、壁を伝って地下牢のあった場所を目指す。
足音を立てないように、つま先からゆっくりと進む。
(しかし、なんで出歩かないでって言ってたんだろ……?)
次の瞬間、横のドアから誰かの腕が出てきた。
そして、そのまま服を引っ張られ、部屋の中に入れられた。
(っ……!? 誰!? もしかしてフレッドさん!?)
部屋の中に放り込まれた力で尻もちをついてしまった。
しかし、目の前にいたのは、この国のお姫様だった。
「何してるの? 信之……?」
そう聞かれ、信之はすぐに立ち上がる。
「えっとね……その……大事な用事が……」
「用事って何? 教えて」
どう説明すれば良いんだ。
女神のことなんて……
そもそも自分が異世界から来たことは、この世界の誰にも話していない。
一から説明するべきなのか……?
「地下牢に、行く」
「地下牢……!? なんで……あそこは私も行ったことが無い危ない場所だよ!?」
どうやら彼女も、存在自体は知っていたようだ。
「色んな事情があるんだ……できれば、知ってることを話してくれない?」
「……」
彼女は下を向いて黙り込んでしまった。
話したくないのだろうか……
部屋の窓の軋む音が妙に大きく感じる。
「あそこは、凶悪な魔法使いが監禁されている所。誰がいるのかは分からないけど、内側からは絶対に抜けることが出来ない結界で覆われてる」
凶悪な魔法使い……嫌な単語だ。
なぜ女神は信之にその魔術師と会わせたいんだ……?
「それ、本当の話?」
「時々、結界師が結界の様子を見てたし、そんなことを話していたから、本当だとは思う……」
彼女が嘘をついているようには見えない。
でも、もしこのまま地下牢に行き、魔法使いが脱走でもしたら、この宮殿にいる人全員に危害が加わるかもしれない。
もちろん、目の前にいるお姫様にも……
「どうしても、行かなきゃいけないの?」
静かに聞いてくる。
信之の額には冷や汗がたれている。
「うん、でもこの屋敷の人たちが危ない目に合うんだったら……」
「分かった。一緒に行こう」
信之は彼女の言葉に一瞬耳を疑った。
つい数分前まであんなに危ないと警告していた人が、一緒に行こうと言ってくれている。
「え? 良いの……?」
「私は、どんなときでも信之の味方だし、信じてる。だから行こう」
その言葉に、涙が出そうだった。
自分のことをそんなふうに思ってくれている人がいる。
信之はその期待に応えなくてはならないのだ。
「ありがとう、フィリア」
◇ ◇ ◇
「なんだ……? 君たち……」
地下牢に着き、ドアを開け、中に入る。
そして、目の前には見覚えのある目元と髪色をした男がいた。
こんにちは、あまないです
今回は全体的に暗めでしたね、でも、こんなお話も、
たまにあったら面白いですよね?
私も結構好きです。みなさんはどうですか?




