第四話 なんて助言を…
ここはアエニグマ魔導国の中枢、宮殿パラティウム。
ここには魔獣はおらず、門を一歩くぐれば、外世界の喧騒は嘘のように消え去り、そこにはただ静寂だけが満ちていた……
「うわぁーーー!」
「こらダズっ! お客様を怖がらせないでください!」
なわけ無かった。
門をくぐって感じたのは厳かな静寂ではなく、うるさい魔獣の威嚇だ。
(この国に安住の地は無いのか……)
ちなみに、このやけに厳つい地竜はこの宮殿の門番らしい。
「宮殿の中はデカいのはいないよ」
「小さいのはいるんかい」
そんな会話を続けていたら、宮殿の建物の出入り口に到着した。
到着するのと同時に、中から執事とメイドが何人か出てきた。
執事はなぜか腰に剣を差している。
おそらく魔獣の国だからだろう。
「おかえりなさいませ、姫様。本当に心配しましたよ、いきなり宮殿を飛び出してしまうものだから……」
「ただいま、フレッド、みんな」
淡白にフィリアが返すと、先頭に立っていた執事が信之の方に視線を送った。
「そちらの者は……?」
「私の好き……ただの旅仲間の信之」
「ほう……」
次の瞬間、その執事が信之に向かって腰の刀を抜き、彼に向かって切りかかってきた。
反射的に氷壁を出し、攻撃は当たらなかった。
「フレッド?! 何やってるの!」
「やはり、あなたグラキエス所有者ですね……」
その執事、フレッドは剣を仕舞いながらそう言った。
信之は突然の出来事に凍りつきながらも、彼が口にした『グラキエス所有者』という言葉に困惑する。
「申し訳ありません、信之様。本物のグラキエスを見たことが無かったもので……なにせ魔王が直接使用していた魔道具ですから……魔道具で生計を立てている我が国の人間で、興味を持たない者などいません」
「は、はぁ……」
まぁ理屈はわかるが……にしても急に襲ってくるのは非常に怖かった。
とっても怖かった。
しかし、この一悶着が終わると、建物の中に案内してくれた。
フレッドが案内してくれたのだが、さっき切りかかってきた張本人なのでずっと怖い。
「主人のアエニグマ総帥は現在、魔獣取りと言って帰ってきていないのです」
「そんな虫取りみたいな感覚で……」
しかし、本当にここの人間は自由である。
さっきのメイドのリーチアと言い、さっき襲ってきたこのフレッドという男といい……
でも、これはこれでシュヴェルト家とはまた違い、好きである。
「あ、そうそう、言い忘れてました。信之様」
「あ、はい」
廊下を歩いている途中、こちらに顔を向ける。
「この廊下の突き当たりにある扉、あそこには地下室があるのですが、絶対に入らないようにお願いします」
その時、信之はヒヤッとした。
『地下室』、それは女神が言っていたキーワードでもあるからだ。
「な、なぜですか……?」
また切りかかってくるかもしれないという恐怖にかられながらも、恐る恐る聞いてみる。
「あそこは地下牢となっております。この国内での極悪人を捕らえている場所となっております」
女神はなぜ、そんな場所を助言したのだ。
しかし、あそこがターニングポイントとなっている可能性は非常に高い。
「信之様、アエニグマ総帥がお戻りになられました。ご挨拶に……」
「……あ、はい、わかりました…」
今日の夜、行ってみることにした。
こんにちは、あまないです。
なんだか、信之も成長してきましたな…
おそらく初期の彼なら『よし、関わらないようにしよう』
と思っていたに違いありませんね(笑)




