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僕がなろう系で貴族になる話  作者: あまない
二章 お家に帰りたい
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第三十話 魔力は尽きても…

「フィリア! シーデビルにギリギリまで近づいたら急旋回して、カイゼルさんの船の護衛に回っておいて!」


 早く船を守らなければ、カイゼルたちも長くは持たない。


 信之に言われるがまま、フィリアが魔力を注入し、二人の船のスピードがグングン上がっていく。


 船のどこかにしがみついていないと、落っこちてしまうほどだ。


「の、信之……?」


 信之は、近づくにつれて指輪の力で剣を作り始めた。


 そしてとうとう、シーデビルを目の前に捉えた。


 次の瞬間、氷の剣を片手に、シーデビルの背中に飛び乗った。


「の、信之?!」


「おい! アイツいかれてるのか?! シーデビルに乗るなんて……海に落とされたらヤツの餌だ!!!」


 船からカイゼルの声が聞こえてくる。


 しかし、彼にそんな言葉はもう聞こえていない。


(やるしかない!!!)


 彼には筋力も機動力も、なろう系主人公としてふさわしくないほど無い。


 近接戦闘は非常に不得意だ。


 しかし、信之には指輪がある。


「三種の切り札の第二弾! フィルモ!!!」


 その呪文を言うと、信之の周りに精霊らしき光が信之の周りを徘徊し始めた。


 そして、その光は信之の体に入っていった。


「よし、これでっ!!!」


 信之は、思いっきり剣をシーデビルに向かって振り下ろした。


 その剣は、確かにヤツの肉を大きく切り裂いた。


「よし! うまくいった!」


 そう、これは氷魔法以外の魔法が使えないための救済措置の身体強化魔法である。


 ディアリング所有者は、指輪に宿している力以外の魔法が使えない。


 しかし、この魔法を使用することで、氷魔法以外の身体強化魔法だけ使える。


 ただし、フィルモの消費魔力は凄まじく、信之の今残っている魔力量だと、五分が限界だ。


(連撃しまくれば、いつか倒せるはずっ!)


 そして、信之は剣を振り、シーデビルに攻撃を加え続けた。


 しかし、この剣は金属製ではない。


 いくら硬いとはいえ、氷だ。


「ヤバッ! 折れた!?」


 十回ほど攻撃を加えたところで、剣が折れてしまった。


 魔力量も全くもって余裕がない。


 剣を生成できるのは、できてあと一回だ。


(どうするどうする!? このままだとカイゼルさんとフィリアたちが……)


 シーデビルは信之を海に落とそうと激しく動いているのと同時に、カイゼルとフィリアにも攻撃を絶えず加えている。


 長くは持たない。


(僕の得意なことといえば氷柱攻撃ぐらい……近接戦闘は専門外だ……)


 万事休す。


 もう手段が残っていない。


 信之の魔力も、まもなく尽きる。


 そう遠くない時間に、フィリアたちも……


(氷柱は地面とかから生やして刺さないと意味がない……でもコイツに生やしたところで意味が……って、ん?)


 その時、何かが信之の中でひらめいた。


 この状況を打開する唯一の方法……


「おりゃぁぁあああ!!!」


 身体強化用に取っておいた魔力を全放出させ、新たに作り出した剣を全力でシーデビルの背中に突き刺した。


「ルビュートぉぉぉ!!!」


 そして、シーデビルの体内に突き刺している氷の剣から、複数の氷柱を生やした。


 そう、信之は外からの攻撃を諦め、得意の氷柱攻撃を使用するため、氷の剣を突き刺し、そこから氷柱を生やして内側から攻撃したのだ。


「お願い! 頼む!!!」


 魔力が尽きそうになっても、剣への魔力の注入をやめない。


 彼の視界がぼやけてきているが、それでもやめない。


 信之の氷柱がシーデビルの体から大量に突き出てきた。


 そして、シーデビルから激しい咆哮が聞こえてきたのを最後に、信之は意識を失った。


こんにちは、あまないです。

もうそろそろ一章が終わります!長いようで短かった気がします。

最近、推しのステラちゃんが出てきていなくて、個人的にはすごく悲しいです。

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