第二十八話 燃え続ける炎
「う……ん……」
「落ち着いてください。アイラ様」
ここはパウルス公国、シュヴェルト家邸宅。
自分の部屋の窓から空を見つめながら、うなされているお嬢様の姿があった。
「で、でも!……」
「もうあれから一年が経とうとしているのですがね……」
信之が連れ去られてから、季節が変わってしまった。
一応、情報を集めるようにはしているが、何一つも入っては来ない。
だからこうして、ふと空を見上げると、ついつい彼のことを思い出してしまう。
「ん……? 何かしら……?」
空を見ていたら、太陽の光と重なりながら白い鳩が一羽、アイラがいるベランダに飛んできた。
そのまま、彼女の眼の前の手すりに止まる。
「これ、手紙……?」
「彼の情報でしょうか……?」
アイラは、恐る恐る鳩の足にくくりつけられている手紙を開いた。
そこには、どこか懐かしい筆記体の文字が、便箋に書かれていた。
そして、目には自然と涙が浮かんでくる。
「こ、これは……! ルッツ様!!!」
手紙の内容はこうだ。
『急にいなくなってごめんなさい。私は今、ケントルム……? 帝国南部の貿易町にいます。色々と心配していると思うけど、元気にやってます。あと早ければ一年ちょいぐらいで帰れると思います。心強い旅仲間もいるので大丈夫です。それまで待っていてくれると嬉しいです。貴方の雑用執事より』
手紙を握りしめたまま、ポタポタと涙が手紙に落ちた。
「バ、バカァ……ほんとにバカ……よ……」
そのまま、力が抜けたようにベランダに膝をついた。
◇ ◇ ◇
「跪け!!!」
「面白いな! お前!」
一方、こちらでは何をかけているのかよく分からない戦いが繰り広げられていた。
こんなに殺気に満ち溢れた彼女を見たことがない。
今、眼の前では赤い……というか黒い炎と魔剣の光が激しく交差し合っている。
フィリアは、前にアングイスを倒した、信之が作った氷の剣で戦っている。
「氷の剣から炎が出るってどういうことだよ……」
それも驚きなのだが、彼女は騎士ではない。
というか、剣を振っている所をほぼ見たことがない。
彼女は、騎士のように腰に剣を携帯していない。
なのに……
「お前、中々の剣の腕だな! なおさら欲しい!!!」
「うるっさい!!!」
ギルドのエースの、しかも魔剣持ちと互角にやり合っている。
あの黒い炎は、一度生物に着くと、その個体を焼き尽くすまで燃え続ける炎だ。
(私の結婚相手は……もう決まってんのっ!!!)
「面白れぇ魔法だな! だが……!」
次の瞬間、パキーンと大きな甲高い音が響いた。
氷の剣が折れた音だ。
「あ……」
折れた瞬間、フィリアは人形のように止まった。
そして、ギルドのエースがドシドシとフィリアの方に歩いて来る。
「わ、私をどうするの……?」
「お前、好きなやつがいるんだろ……?」
その声は、この二人にしか聞こえない声量だ。
『な、なんでそれを……!?』
『お前、戦ってるときにあの男の名前連呼してただろ?』
そう、実の本人は無意識だったが、戦闘中、ずっと『信之! 信之! 信之!』と連呼しまくっていたのだ。
その声は、ギルドのエースの耳にも入っていた。
『っ?!』
『いいよ、好きなやつがいるなら、それを無理やり引き剥がそうとは思わねぇよ』
そして、その男は立ち上がり、信之の方に向かって言った。
「よし! 船を貸そう!!」
「ほ、本当ですか?!」
そのまま、信之の方にドシドシと歩いてくる。
「あのー……服、燃えてますよ……?」
「……って、ギャーーー!!!!!」
その光景を見ていたフィリアは、少し笑っているように見えた。
こんにちは、あまないです。
もうすぐ夏休みも終わりますね…嫌だ!!!
ってことは置いておいて…
皆さん!もうすぐ二章が終わる…かも?です。
果たして魔力を使い切ったフィリアと信之はどうやって
シーデビルを倒すのか!乞うご期待!




