第二十六話 乙女ゲーム的展開…?
恋、それは誰かを好きだという単純な感情ではない。
この中には様々なものが含まれている。
その人に対する執着心、独占欲、嫉妬心。
そんな感情を、彼に対して抱いてしまっているのだ。
(なんで? なんでなの……?)
彼と初めて出会った時は、正直そんなに好印象ではなかった。
最初、スコルピウスに襲われた時、悲鳴を上げて倒れた。
その時、彼女の目には弱くて何もできない男と写った。
でも、幾度となく彼がかっこよく写ったり、助けてもらったり、何かやらかしても許してくれて……
(男なんて、女から何もないと興味が生まれないんじゃないの……?)
フィリアがまだ実家にいた頃、父が『結婚相手を決めるお見合い』と言って何人もの国内の貴族の男を連れてきた。
しかし……
『なぜ君はそんなに感情がないんだ。それに……』
これまで、彼女に興味を持ったり、何回もお見合いに来る人は誰もいなかった。
でも彼は違った。
こちらから何もしなくても、寄り添ってくれたりした。
優しくしてくれた。
そんなベタなことで惚れてしまったのだ。
◇ ◇ ◇
「えぇ!? う、海に出られない!? こんなに晴れてるのに!?」
一応港町には着いた……のは良いのだが、船乗り場に行くと船が一隻も出ていないことに気がついた。
近くにいた漁師と思われる人に聞いてみたら……
「最近、この海峡にデッケェ魔物が住み着いちまってて船がここ何ヶ月か出せてねぇんだよ……」
「な、何ヶ月も!?」
予想外だ。
本来なら今まで節約してきたお金で船に乗り、ようやくパウルス公国のある大陸に向かうはずだった。
「何回か魔術師や騎士団を雇って倒そうとはしたが、なんせ相手は海の魔物だ。騎士団も船だとロクに動けねぇし、魔術師も歯が立たねぇ……町では、シーデビルなんて呼ばれてる」
雇われた魔術師の実力はわからないが、漁師にとって海に出られないというのは死活問題だ。
それが何ヶ月も続いているとなると、相手は強敵だ。
「あんたら、新しく雇われた魔術師か? だったら諦めな。お前さんたちみたいな子どもがどうこうできる相手じゃねぇ」
フィリアが子ども扱いされたことに怒ったのを感じたが、確かにこの漁師の言うとおりだ。
漁師は僕たちのことを思っての言葉だろう。
「今、ここの魚は高けぇから、市場で肉か野菜を食べな」
そう言うと、その漁師は行ってしまった。
「今日の晩ごはん、ムニエルがいい」
「話聞いてた?」
そして二人は町の方に歩き始めた。
途中でフィリアが『行きたいところがある』といってどっかに行ってしまったので、信之は一人で今日の食材を買いに行った。
◇ ◇ ◇
「あの男、嫌い」
「まぁまぁ、そんなに怒るなよ。あの人も多分、僕たちのこと思って言ったんだよ」
あれから、町の市場で色んなものを見て回って夕食の材料を買い、宿に入った。
本当に魚の値段は高かった。
前の村に川魚しか無かったのはそういうことだ。
「どう? 今日の晩ごはん。魚のムニエルはできないから、ささみでそれっぽく再現してみたんだけど……」
「うん、美味しい……」
最近、ずっとそっけなかった彼女の笑顔が久々に見ることができた。
しかし困った。
このままだといつまで経っても次に進めない。
もうここまでで半年以上、旅を始めてから経っている。
待ってくれているかはわからないが、置いてきた彼女のためにも、少しでも早く帰りたい。
「困ったなぁ……まさかそんなに強い魔物が、あの海峡にいるなんて……」
「大丈夫だよ」
テーブルに額を付けていた信之の上半身が、彼女の言葉で起き上がる。
「どういう事?」
「ほら、これ引き受けてきたから」
そう言うと、机の下からなにやら紙を出してきた。
信之がそれを受け取り、その紙を見た。
そこには、
『シーデビル討伐依頼!!! 報酬金はなんと一億エルダ、そして町一番の……』
と書かれている。
「こ、これは?」
「シーデビルの討伐依頼書。明日倒しに行こ」
次の瞬間、信之は気を失った。
こんにちは、あまないです。
前半のほう結構ベタな感じになっちゃいました。
でもたまにはザ・王道もやっぱ好きです。
皆さんは恋、したことありますか?
私は現在、幼馴染に恋しています。




