第二十五話 空腹には逆らえない
「ようやくこの国を出られるのか……」
このケントルム帝国に対しては、寂しさ半分、ワクワク半分だ。
本当に色んな事があった。
同じ指輪を持っている人に二人も出会ったり、女の子になったり、それでいて襲われたり……
「ゔがぁーーー! トラウマがぁ〜〜……」
思い出すたびに背筋が凍る。
あの時の自分もどうかしていた。
とまぁ、何がどうであれ、ようやくこの世界最大の国から脱出できるのだ。
それも全部、節約のため徒歩で……
もちろん、馬車という交通手段はあるのだが、それだけで移動するにはお金が全く足りないのだ。
「よかったな!……って、フィリア?」
「あ……う、うん。そうだね……」
顔を見てくれない。
やっぱり、あの夜のことをまだ怒っているのだろうか……
時は二週間ちょい前の街、そう、信之が女の子の姿で襲われかけた日まで遡る。
◇ ◇ ◇
「やっぱ……他の女の匂いがする……!」
フィリアは信之の両肩をつかみ、彼女にしては非常に珍しく、感情を表に出した。
「フィ、フィリア……どうした? 顔が怖いぞ……?」
「今日ご飯いらない。寝る」
そう言ってフィリアは自分の部屋に帰ってしまった。
信之は何がなんだかわからなかったが、とりあえず買ってきた食材で夕食をテキパキと作った。
そして、料理が完成し、一応テーブルに並べた。
「おーいフィリア、ご飯できたよ」
ドア越しに話しかけてみるが、反応はない。
信之は少し考えたが、ドアの前にトレーに料理を乗っけて置いた。
信之は一人しかいないテーブルで静かに食べる。
いつもの食事の時間、特に宿に泊まった時は、野宿の時とは比べ物にならないぐらい美味しくできて楽しい時間のはずなのに、この日は全く楽しくもなく、美味しくもなかった。
寝る直前にフィリアの部屋のドアの前を見てみると、置いておいた料理は無くなっていた。
◇ ◇ ◇
(でも次の日、『昨日はごめん、料理ありがと』って言ってくれたし、こっちも謝ったけど……)
そう、あれから会話がうまく続かないのだ。
前みたいにくっついてきてくれたりしない。
最初は彼女とはそういう関係ではないため、気にしないようにしていたが、やっぱり悲しい。
「と、とりあえず、はやく港町行こ」
「う、うん……」
そう言い、二人は再び見えたあの港町に向かって歩き出した。
◇ ◇ ◇
(どうしよう……『ご飯いらない』とか言っちゃった……)
せっかく買ってきてくれた食材でご飯を作ってくれると言うのに、一方的にそれを拒否してしまった。
(なんであんなに怒りの感情が出てきたんだろう……)
今まで彼女の中の感情というものは、ほぼ無かった。
それは周りの人に対して興味がないから。
自分でもそう思っていたのに……
(なんで信之から女の匂いがしただけで怒るんだろう……なんで……?)
その時、彼女はこれまでの信之との出来事を思い出した。
そもそも彼に出会ってから少しずつ、ほんの少しずつ、自分の中の何かが変わっている気がした。
今まで他人に対して興味がなかった。
昔から国のトップの娘ということでずっと城にいて、家出して街に行っても誰も話しかけてこなかったし、話しかけてきたとしても父に媚を売って欲しいのなんの……そんなことしか無かった。
でも……
(なんでもっと信之の事を知りたいって思ってるんだろ……)
その時、ドアの向こうからコトッという音がした。
ドアを開けてみると、そこには温かい料理が置いてあった。
いらないと言ってしまった料理を受け取って良いのか……?
そう思っていたが、自分の空腹には逆らえない。
そして、ベッドに座り、トレーを膝において食べ始めた。
(温かい……)
料理を食べ終わってドアの前に置き、ベッドに入る。
(明日、なんて言おう……)
また彼のことばっかり考えてしまう。
そして、自分のこのよくわからない感情に名前があることを思い出した。
それは、恋というものだ。
こんにちは!あまない。
自分、実は最近腰をやってしまって(現在16歳)椅子に長い時間座ると
痛くてしょうがないんです。でも小説は超書きたいのです。
これ、どうゆうことですかね…?
小説に全く関係なくてすいません




