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僕がなろう系で貴族になる話  作者: あまない
二章 お家に帰りたい
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第二十四話 女の子でも油断しちゃいけない

こんにちは、あまないです。

いやーなんか色々ありましたね…

こんなにテンポの良い物語って珍しくないですか!?

なんか謎の自信がみなぎってきました。

「……え? な、なんですか……これ……」


 信之の脳内の思考が停止した。


 この薄暗い部屋の中にあるのは、一つのベッドのみ……。


「それは……ですね……」


 そう言った瞬間、突然信之をベッドに押し倒してきた。


 抵抗しようと腕を動かすが、彼女は両手で彼の腕を押さえつけて動けない。


 薬の効果で元々なかった筋力がさらに弱くなっているので、抵抗できる気がしない。


「はぁ……はぁ……じ、実は私……女の子が大好きなんです……!」


「……はい?」


 彼女の言葉に、さらに脳内がこんがらがってくる。


 つまりこれは……。


「お店に入ってきた瞬間から、あなたを襲いたいと思っていました……!」


 そう、期間限定の同性に、現在進行形で襲われているのだ。


 しかも前にアイラにやられた感じと似ている。


「え……ちょ、ちょっと離して……!」


 必死に抵抗するが、全く動かない。


「逃げられるなら、もうとっくに逃げてますよね……? でも逃げないってことは、襲われて嬉しいのですよね……!?」


 いや、違う。


 薬の効果で何もかもが弱体化しているので、抵抗できないだけだ。


 あと、この女の子はSっ気がかなり強い……。


 おそらく普通の男の子なら別の反応をするところだが、今、自分は強制的に何もできない。


 この状況が恐怖でしかないのだ。


「あの……は、離して……」


「あぁ……!!! その嫌がっている姿っ! 大好きです! 癖に刺さりますぅ!」


 だめだ、何を言っても伝わらない。


 しかし、ここで冷静になって考えた。


 ここで今、少し我慢するだけで食材を安くしてもらえるのだ。


 そう思うと……。


「お、お客さん……ようやく心を許してくれましたね……」


 その瞬間――。


「……うぐっ……!」


 突然、体中が溶けると思うぐらい熱くなった。


 それも、心臓らへんからだ。


(も、もしかして……)


 そうだ、思い出した。


 あの薬を飲んだのは、スープに溶かされた状態でだ。


 半分入れてあったから勝手に二週間だと思っていたが、大半はスープに残っている。


 それなら摂取したのは、せいぜい一錠分ほど……。


 となると――。


(もうそろそろ薬の効果が切れる……)


「あ……」


「あ……」


 一瞬で戻った。


 いや、普通こういうのって、ちょっと時間をおいて少しずつ元の体に戻っていく感じなんじゃ……。


「キャーーーーーーーーーーーーー!!!」


 そして、女の子の叫び声が街に響いた。


◇ ◇ ◇


「はぁ……はぁ……」


「おかえり、信之。って……あれ? 戻ってる?」


 宿につくと、部屋の玄関でフィリアが迎えてくれた。


 信之の元の体に戻った姿を見て、驚いている。


「食材買えた?」


「先にそっち?」


 もっと他に心配するところがあるだろうと思ったが、もうこの際どうでもいい。


 食材は一応買えた。


 異様に物価が高かったが、街角の小さな八百屋で人の目に怯えながら買うことができていた。


 しかし、それよりも問題なのは、フィリアの服のまま元の体に戻ってしまったことだ。


「ひとまず、その服脱いで……」


 この日二回目の着替えイベントが発生した。


◇ ◇ ◇


『着替え終わった……?』


 ドア越しにフィリアの声が聞こえる。


 しかし、たった三日間だけだったのに、この体が懐かしくて、本当に安心する。


「お待たせー。んじゃ、早く夜ご飯作っちゃうね……って、うわぁ?!」


 キッチンに向かおうとした瞬間、フィリアが正面から抱きついてきた。


「フィ、フィリア……?!!」


 信之の胸に顔を埋めて、なかなか喋らない。


 二十秒ほど抱きしめられた後、ようやく胸の中で話し始める。


「信之のこの匂い好きだから……久しぶりに嗅ぎたくなっただけ……早くご飯……」


 彼女の顔は見えないが、耳は真っ赤に染まっている。


 彼女のうるさい心臓の音も、服越しに伝わってくる。


「って、何この匂い……どの女……?」


 突然、冷え切った声になった。


「え!? えっと、その……じ、事情があるから!!!」


「じゃあ、その事情ってのを事細かに教えてよ……」


 その日の夕食は、作っている間も、食べている時も、フィリアの質問攻めになった。


◇ ◇ ◇


「パウルス公国への宣戦布告は完了したわね……」


「はい、そのようです。現在、国内ではシュヴェルト家が国境付近の巡回兵を五倍に増やしております」


 ここは、北の大地の魔王城――ではなく……!


『というかなぜここなのですか?!』


『いいじゃないですか……。転移に必要な魔力がもったいないです』


『にしてもここって……!』


 そう、パウルス公国のお隣、サピエンティア王国の王都リベリタスにあるファミリーレストランだ。


 普通に人もたくさんいる。


「お待たせいたしました。こちら、カタツムリと毒沼キノコのネバネバ劇物和えでございます」


「あら、ありがとう」


 いかにも不味そうな料理名の料理が出てきた。


 マレリスの配下であるカラはドン引きしている。


「これ、食べてみたかったのよ~!」


「は、はぁ……」


 苦笑いするしかない。


 しかし、ここは一回、カラが咳払いをして空気を変える。


「では、例の二人の調査報告です」


 カラは、その調査報告を美味しそうに料理を頬張るマレリスに淡々と話し始めた。


「まず、現在二人はケントルム帝国の貿易都市に駐在していることが確認できました。おそらく今週中にケントルム帝国を出る模様です」


「……そう……」


 その話を聞いているマレリスには、余裕な雰囲気が漂っている。


「大丈夫よ。ケントルムの国境に、あるプレゼントをしておきましたので……」


 不敵な笑みを浮かべるマレリスなのであった。


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