第二十二話 魔物を○○する石と意志
(マッジで体に色んな違和感が……)
この体になってから三日が経った。
体の至る所に違和感がある。
まず身長。
男のときはフィリアの頭は自分の肩ぐらいだったのに、今はほぼ同じ身長か、なんなら彼女の方が大きいぐらいだ。
服はフィリアに貸してもらっている。
「まだ魔力残ってる?」
「いや、もうスッカラカン」
この地域は運が悪いことに魔物が出やすいらしく、この三日間、薬の効果もあるが、ずっと魔力がギリギリの状態だ。
「もうそろそろ村に着くから、そこで薬の効果が切れるまで大人しくしてようね」
「そうさせていただきます……」
あと一日も歩けば次の村にたどり着く。
この魔物がいつ出てくるかわからない森から、一秒でも早く出たいのだ。
「怖いなー……」
「大丈夫だよ。実はこんなものを買ってた」
そう言ってフィリアがリュックから出してきたのは、何やら魔法石のような物だった。
赤色がきれいな石だ。
「これは?」
「魔物を寄せ付けない石、マラピス。これで大丈夫」
そんな物があるなら早く出してほしかったのだが……と思った。
しかし、思い出してくれただけで嬉しい。
早速、その石を身につけて先に進み始める。
(しかし、この体も悪くはないな)
時々、今までの体が恋しく思えるが、この体も嫌ではない。
肌はツルツルで綺麗だし、体は小さいため軽い。
悪いことばかりではないのだ。
「あ、ルプセル!」
「フランマ・イグラス!」
この石を持ってもなお魔物は出てくる。
それだけ多いのだろう。
しかし、今のルプセルを倒したら、すぐに次が出てきた。
「なんだあれ!!?」
見た目は蛇。
顔は鳥のようなくちばしがある。
初めて見る魔物だ。
「アングイスだ。珍しい……」
「見惚れてないで早く倒すよ!」
しかし、二人がどれだけ魔法を放っても、全く効いている感じがしない。
というか、魔物に届くまでに魔法が無力化されている。
「そうだ。アングイスの鱗はどんな魔法も無力化する力があるんだ」
「それ先に言ってよ!!!」
しかし困った。
二人の戦闘力は魔法に依存している。
それが使えないとなると打つ手がない。
……と思っていたが、信之がここであることに気がつく。
「ん? フィリア!」
「何?」
「魔法は効かなくても、物理攻撃ならどう?」
魔法が使えないなら、物理的にいくしかない。
そう考えたのだ。
しかし――。
「物理攻撃なら効くけど、剣とか持ってないでしょ」
そう。
そんなもの持っていない。
しかし、ここで信之の指輪の力を思い出してほしい。
「僕の魔法は氷、それを利用する!」
そう言うと、信之の手には立派な剣が作られていった。
「これで! ……って重!!!」
調子に乗って剣を大きくしすぎた。
こんなもの、とてもではないが振り回せない。
「替わって!」
「え!? フィリア!?」
信之の手から剣を奪い、そのままアングイスに向かって走り出した。
「強化魔法で力を通常の三倍にすれば……!」
次の瞬間、大きく振りかぶったフィリアの氷の剣は、アングイスの首を切り落とした。
◇ ◇ ◇
その日の夜。
二人は魔力切れで今日中に村へ行くのを諦め、この危なっかしい森で野宿することになった。
夕食は昨日と同じ、美味しくない保存食だ。
しかし、二人の間には暖かい空気が流れている。
「フィリア、今日は色々とありがとね」
キャンプファイヤーの火を前に、彼女に感謝を伝える。
「べ、別に……私のせいで信之がこんな体になったんだし、当たり前だよ……」
彼女の頬がほんのり赤く見えるのは、キャンプファイヤーのせいだろうか。
それとも……。
「でもこの石、本当に効果あるの?」
そう言いながら、半日前にフィリアに渡された魔物を寄せ付けない魔法石を取り出した。
「……? ちょっと見せて」
そう言い、フィリアは信之が持っていた石を取る。
そして、じっくりと石を確認した。
「これ、魔物を寄せ付ける石『サラピス』だ」
その言葉を聞いた瞬間、信之の意識は、何処か遠くに消えていく気がした。
こんにちは、あまないです。
なんだかスローライフみたいになってきた気がするんですけど私だけですか?
しかし、フィリアのこういう性格、私は嫌いではないです。むしろ好きです。




