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僕がなろう系で貴族になる話  作者: あまない
二章 お家に帰りたい
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第二十話 いりません!

「誰……?」


 二人で歩いているのを、建物の影に隠れながら見る。


 フィリアの隣を歩いていたのは見知らぬ男で、かなり仲がいいように見える。


(もしかして『実は許嫁がいました』的な……?)


 この世界では十六歳から結婚ができるため、もしかしたらすでに既婚者だった可能性もある。


 それか、さっきアレな店で知り合ってそのまま……とか?


 しかし、考えても仕方がない。


(え? マジで?)


 後ろからこっそりと監視をしていたら、男が飲んでいた飲み物をフィリアがなんのためらいもなく飲んでいる。


 これは俗に言う……


(間接キスだ……)


 目の前で仲間がNTRれているような気持ちになった。


 しかし、よくよく考えると普通のことのように思えてきたのだ。


(そうだそうだ。フィリアだって、ああ見えて一人の女の子で国のトップの娘だ。許嫁《いいなずけ》の一人ぐらいいても別におかしいことじゃない……ここはそっとして……)


 おけない。


 おける理由《わけ》がない。


 一応、ここまで苦楽を共にした仲間だ。


 正直、ここでおめおめと引き下がるわけには……


「信之、何してんの……?」


 建物の影で考え事をしていたら、いつの間にか後ろにフィリアの姿があった。


 突然声をかけられたので、信之はびっくりして体を震わせた。


「うわぁ?! って、フィリア?」


 こちらを不思議そうに見つめてくる彼女の瞳が辛かった。


 彼女には心に決めた人がいるのにもかかわらず、自分のような男と一緒に旅をしてくれているなんて……


 そんなことを考えていると、泣けそうになってくる。


「ごめんね、フィリア……」


「何を謝ってるの?」


 首を傾げてこちらを見つめてくる。


 その目が辛いというのに……


「心に決めた人がいるのに僕なんかと旅させちゃって……」


「信之、変な魔道具でも買った?」


 信之は前を向けない。


 そして、正面から笑い声が聞こえてきた。


「ハッハッハ! この愉快な男は誰だね、我が妹よっ!」


(……ん? 妹……?)


 いや、おそらく聞き間違えだ。


「旅仲間。あと兄上様、声大きいです」


 間違えない。


 この二人は……!


「も、もしかして二人って……」


「あ、そういや言ってなかったね。この人は私の兄上のフレール」


 二人は兄弟であった。


 そうと分かると、さっきまで頭の中で葛藤していた自分が馬鹿らしく思える。


 それから信之は三人で行動を共にすることになったので、この村を歩きながらいろいろなことを聞いた。


「あの、なんでここにいるんですか……?」


「愛しき妹が家出をするものだから、兄である私が自ら探しながらブラブラ旅をしていたら、たまたま彼女に会ったのだ……」


 矛盾していないようで矛盾している発言だが、悪い人ではなさそうでよかった。


 しかし、気になったのはフィリアの服が新しくなっていること。


 アクセサリーも増えているような気がする。


「あの量のプレゼントをフィリアに……お金はどうしたのですか?」


「親の財源をかじった!」


 悪い人であった。


 その後、村を歩いていると小さな魔道具店に目が止まった。


 それを見たフレールが信之に何かを買ってくれると言うので、魔道具店に入った。


「あの……ほ、本当に大丈夫なので……」


「遠慮するな! 遠慮深い男は男らしくないぞ!」


 そんなことを言っているが、彼の財布にあるお金は親のお金である。


 それも相まって、買ってもらうのが本当に申し訳ない。


「兄上様、私はこれが……」


 フィリアは遠慮なしに物をねだってくる。


 それにノリノリで答えるフレール。


(本当になんなんだ、この兄弟……)


 少し他人のふりをして魔道具を物色していると、ある一つの物に目が止まった。


 パッケージには『これであなたも夢の可愛い女の子に……』と書いてある。


「えっと……? 『これを飲めば、一定時間女性の体となり、あなたも立派な女の子になれますよ。効果は一錠三日間、十錠で破格の一万エルダ……』って何だこりゃ」


 要するに、一時的に性転換することができる薬らしい。


 こんなものを作る薬剤師は暇なのだろうか……。


「まだある……『この薬を飲んだ人は力、そして魔力が現在の十分の一になります』か……」


 弱体化させる薬でもあるらしい。


 その箱をじっと見つめていると、後ろからフレールが声をかけてきた。


「それが欲しいのか?」


「いやいや! これじゃなくて……こ、これこれ!」


 とっさに目の前に置かれていたローブを手に取った。


「こ、これかっこいいな! って……」


「分かった! では、その薬と共に買おう!」


 そのまま勢いで買ってもらってしまった。


 薬は全力で止めたが、フレールの勢いには敵わない。


 ローブは非常にありがたかったが、薬はマジでいらない。


 間違って飲んでしまったときには、魔物や魔族に殺されるかもしれないからだ。


「今日はありがと、兄上様」


「あ、ありがとうございました……」


 二人は村の中心の噴水でフレールと別れる。


 空は夕焼け色に染まっていた。


「私も今日は非常に楽しかった! ぜひ後でアエニグマにも寄ってくれ! では、私は父上に帰宅を命じられたのでさらば!!」


 そう言い残すと、フレールは飛行魔法でどこかに飛び去っていってしまった。


 フィリアは手を振り、信之は開いた口が塞がらない。


「そういや信之、さっき兄上様にローブと何を買ってもらったの?」


「な、なんでもないよ〜」


 正直に言えるわけないので、無理やり話を今日の夕食のことに持っていき、二人は宿の方に歩いていった。


こんにちは、あまないです。

今回は私の好きを詰め込んだお話です。

あと、もう少しで第二章が終わるのでお楽しみに!!!

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