第十七話 先人の知恵…?
「ん? なんだこれ?」
半年ほど前、信之が禁書庫に侵入してグラキエスにまつわる本を見た際、気になる記述があった。
『この指輪には、指輪の精霊を呼び、敵を瞬時に殲滅することができる力がある』
という記述だ。
次のページには『三種の切り札』と書いてあった。
「えっと……? 『これらの技は、使用後直ちに回復時間を要するため、一日に使える回数は一度のみである』か……」
正直、使用後のペナルティが怖くて今まで使うことはなかった。
使わなくても、その場を乗り切ることができてきたからだ。
しかし――。
◇ ◇ ◇
ルプセルの群れはこちらを向いて走ってくる。
その数は何百にも及ぶ。
しかし、信之は逃げずにルプセルの方を向いている。
「信之……?」
「大丈夫! まぁ見てて!」
前世では友達がほぼいなく、テレビと図鑑が友達だった。
(作者の実話)
そのため、他の子どもとは桁違いの様々なモノの情報量を持っていた。
そこで学んだ狼についての知識を呼び起こす。
そのリーダーを倒すとどうなるのか……。
(よし、禁書庫の本で見た三種の切り札の内の一つ……!)
信之は砂煙を上げながら迫りくるルプセルの群れに向かって左手を向ける。
魔力の充填は終わった。
そして、彼の周りには目視できるほどの魔力が集まっており、魔法陣のようなものが展開されている。
「ルビュート・アレフ!!!」
次の瞬間、信之からいつもの百倍の量はある氷柱が放たれた。
そして、そのほとんどは群れの真ん中辺りに命中した。
「な、何をやったの?」
「狼ってアルファっていうオスとメスを倒すと群れは分裂して解散するんだ。だから……」
ルプセルの群れはバラバラに散っていった。
そう、狼はリーダーであるアルファを倒すと群れは解散してしまうのだ。
「前世で培った知恵が役に立っ……」
そして、地面に倒れた。
この切り札を使えるのは一日に一回きりなのである。
その後、すぐにフィリアに回収された。
◇ ◇ ◇
「……さん? アイラさん……? アイラさん!!!」
突如、後ろから声をかけられ、アイラはハッとした。
今は放課後。
今日も一人で足早にルーラの待つ馬車に向かっていた。
信之がいなくなって三ヶ月弱。
今、生きているかどうかもわからない彼のことで頭はいっぱいだ。
声の主はステラだ。
「ど、どうしたの?」
「前のようにもう魔物はいないので、もう教えてください!」
ステラは自分の手をぎゅっと握ってきた。
その手は温かい。
まるで自分を包み込むような手だ。
「っ……! そうね……いい加減話すわ……」
「俺のこと忘れてるぜ!」
その声が聞こえた方を向いてみると、クラウスが満面の笑みで立っていた。
その光景だけで、アイラは少し涙目になってしまった。
「え!? そ、それは本当ですか!?」
「マジで!?」
周りに聞かれると大変なことになるので、二人を帰りの馬車に乗せて、その中で今まで起こったことすべてを打ち明けた。
クラウスとステラは開いた口が塞がらない。
「そう……ですか……」
馬車の中によくわからない空気が流れる。
聞こえるのは馬車の車輪の音のみ。
「それなら早く助けに……」
「ストップ!! 誰かいる……」
アイラが声を上げた。
ルーラにも馬車を止めるように言う。
そして次の瞬間――。
「こ、これは……?」
ステラが外を見ると、馬車は魔族に囲まれていた。
前に迷宮実習の時に会った魔族とは、まるで別の生き物のようなオーラを放っている。
「なにかヤバそうなのがいる……」
クラウスが窓の先を指さした。
その先には――。
黒と朱のドレスを身にまとった魔族の姿があったのだ。
こんにちは、あまないです。
とうとうなんか盛り上がってきましたね…
あとやっぱ推しはステラです。この友達を思う心が好きです。
皆さんはどうですか?よろしければコメントしてください。




