第十五話 平和回詐欺じゃん!
「ん……あ……?」
信之とミラの二人は最寄りの村へ向かって、草原の一本道を談笑しながら歩いていた。
魔族と勘違いされて攻撃されてから二時間後、信之の背中で熟睡していたフィリアはようやく目を覚ました。
「の、信之……」
「あ、起きた?」
まだ寝ぼけているようだ。彼女の頬には、長時間信之の背中にぴったりとくっついていたせいで彼の服の跡が残っている。
「っ! お前はマレリスっ!」
そのまま手から火を出そうとする。
背中もちょっと焼けたような気が……。
「ちょっと待って違う! この人は郊外警備隊の人だよ!!!」
珍しく信之が大声を出したので、フィリアはハッとした。
そして、信之を焼いたこともある炎を引っ込める。
「確かに角がない……」
ミラの頭を見て安心したのか、フィリアはもう一度信之の背中で眠る体勢に入った。
「あの……フィリアさん……? 自分で歩いてほしいのですが……」
「嫌だ。ここがいい」
そう言うと、フィリアは再び顔を背中に埋め、そのまま眠ってしまった。
そのやり取りを見ていたミラが、信之に質問を投げかける。
「失礼だが、二人は付き合って……」
「いないです。一緒にパウルスに帰っているだけです」
こんな会話が、日が落ちきるまで続いた。
◇ ◇ ◇
「本当にありがとうございます! わざわざこの村まで案内してくださって」
ミラは最寄りの村の入口まで案内してくれた。
「いや、いいってことよ! おかげで仕事サボれたし、口うるさい部下からも逃げられたし」
多少気になる発言ではあったが、信之はスルーした。
すると、村の外から何かがこちらへ向かってくる気配を感じた。
今、信之たちがいる村の門へ全力で走ってきたのは、ミラと同じ制服を着た若い男だった。
「はぁ……はぁ……ミ、ミラ隊長……何してるんですか……? 隊のみんな、めっちゃ怒ってますよ……!」
「あー、そう? やっぱ『恋の予感がする!』って言って抜け出したのはマズかったか……。すぐ行く、すぐ行く!」
一体なぜこんな人が隊長になれたのか不思議だ。
しかし、部下がここまでして呼び戻しに来るということは、それだけ慕われているということなのだろう。
「き、君は! もしかして……!」
ミラに夢中だった部下が、信之を見た瞬間駆け寄ってきた。
「あなた、もしかして契約者様ですか!?」
「あ、はい。まぁ一応は……」
その部下は目を輝かせながらこちらを見つめてくる。まだ三十歳にもなっていないくらいの年齢だろう。
「ミラ隊長以外の契約者様は初めて見ました! これからも頑張ってください!!!」
「あ、はい!」
そう言い残すと、部下はミラを連れて村の外へ走っていった。
信之たちは今夜泊まれる宿を探しながら村を歩く。
もう夜なのだが、かなり大きな村なので、まだ多くの人が歩いていて明るい。
(頑張ってください……か)
今までは、自分がこの指輪を持っていることを「良くないこと」だと思っていた。
実際、魔法学校にいる時は口外厳禁だ。
だから、時々「なんでこんな物を持っているんだろう」と考えてしまうこともあった。
しかし、この国では逆に栄誉あることとして認められている。
今まで会ってきたアルレウスやミラも、自分が悪魔の契約者であることを隠さず、自らの誇りとしていた。
「信之、お腹すいた」
「そうだなぁ。ここは作物が育ちやすくて物価も安いそうだから、今日はちょっと豪華にできるかも」
フィリアが信之の背中で小さく微笑む。
直接は見えない。
だが、不思議と笑っていることが伝わってくる。
こんな平和な異世界の旅が、いつまでも続けばいいのに……。
「……ん? 何だあれ?」
考え事をしながら歩いていると、いつの間にか村の端まで来ていた。
視界の先には、暗くてよく見えないが確かに動物の影のようなものが見える。
それも、かなりの数だ。
(何かの動物の群れ……かな?)
その瞬間、村の高台にある鐘が鳴り響いた。
「ルプセルの群れだーーー!!! 避難ーーーーー!!!」
高台にいた男が叫ぶ。
その瞬間、村全体が大騒ぎになった。
「逃げろーーー!!! あの人殺し魔獣が来るぞーーー!!!」
信之は心の底から思った。
(なんで平和になりそうな時に、毎回こんなことになるんだよ……)
「普通に旅がしたいだけなのにーーー!」
その叫びは、村中に響き渡った。
こんにちは、あまないです。
DANDANとフィリアが懐いてきましたね…
私はこのような小動物系の子大好きです!!!
みなさんは好きですか?好きですよね?
ね!?




