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僕がなろう系で貴族になる話  作者: あまない
二章 お家に帰りたい
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第三話 どうしても…

「アイツが最初にいた所にアンタを入れたくは無いわ……」


「・・・」


シュヴェルト家の地下牢、最初に信之が疑いをかけられて囚われていた場所。


そこには髪が以前のように整っておらず、服も汚れているアイラと、鉄格子越しに座って下を向いて何も言わないイリスがいた。


果たして何があったのだろう……。


「信之ー?」


信之が二匹の魔族と戦う前の日、『用事がある』と言ってどこかに行ってしまったきり、馬車にも帰ってきていなかったので、痺れを切らしたアイラが校舎を探し回っていた。


(ったく……どこに居るのよ、アイツは……)


次の瞬間、アイラは魔族の気配を感じ取った。


校舎裏からだ。


アイラは注意をはらいながら、気配のした所に走っていった。


(何……? あれ)


校舎裏が少しだけ見える様な物陰に隠れた。


そして、アイラの目に写ったのは見慣れない馬車だった。


(どこの家の馬車?)


貴族の馬車には、その家の象徴や権威、力などを示すためのマークが家ごとの馬車に装飾されている。


アイラもお嬢様なので学校に来ている貴族のマークは全て覚えている。


しかし、今アイラの目に写っている馬車に貴族のマークは無い。


(っ!……あれは……魔族!?)


その不審な馬車を見ていると、運転席に二匹の魔族が見えた。


(アイツら何を……いや、関係ないわ! 私が切刻んで!……)


貴族のプライドにかけてここで見て見ぬ振りをするわけには行かない。


アイラは腰の剣を抜こうとした。


だが、その馬車の後ろには見慣れた人影が居た。


(え……? ど、どうゆうこと? 何でイリス校長が?)


視界に入ったイリスに気を取られていたら、馬車が動き出した。


アイラは馬車の荷台に目を向けたその時……


(っ!……信之!?)


布がはだけた一瞬、信之がいつも着けていた手袋がはっきりと見えた。


アイラはすぐに追おうとするが、馬車は少し進むと謎の光りに包まれ消えてしまった。


「な、なによ……これ……」


アイラが放心状態になっているとイリスが歩いてきた。


「……見ましたか?」


イリスの目に光は無かった。


これまでの雰囲気とは明らかに違う。


「ッッ……?!」


次の瞬間、イリスの攻撃が来た。


「な!?」


しかし、イリスの思い通りのはいかなかったようだ。


彼女の風魔法がアイラに届く前に、アイラの剣はイリスの首を捉えていた。


「はぁ……はぁ……な、なんのつもり?」


イリスは諦めたように上げていた腕を下げた。


そして膝から崩れ落ち、目には大粒の涙が浮かんでいた。


「ごめんなさい……アイラさん……」


この場ではこれ以上、彼女は何も離さなかった。


アイラはとりあえず持っていたロープでイリスの腕を拘束し、ルーラの所まで運んだ。


それからルーラに事情を話し、馬車に乘せて走り始めると、ルーラの尋問が始まった。


「イリス校長、何かおっしゃったらどうですか?」


「・・・」


イリスは下を向いたまま何も言わない。


顔は涙で赤く腫れている。


馬車の中にはガタガタと揺れる馬車の音だけが、乗っている三人の耳に届いていた。


「お……」


イリスが何かを言いかけた。


アイラとルーラが耳を澄まして話しを聞こうとした。


「お父さんの、じょ、情報が手に入ると思って……」


その後、シュヴェルト家の屋敷に着くまで事の経緯をすべて話した。


時は、信之のプルウィア戦の日の一週間後まで遡る。


その日、イリスのもとにある一通の手紙が来た。


「手紙には、『アルム魔法学校にいるディアリング所有者をこちらに明け渡せば父親の情報を提供する』と書かれていました」


手紙の話を聞いて、アイラは彼女に聞いた。


「ちょっとまって、何で信之がディアリング所有者だって分かったの? アイツはいつも特殊な手袋を……」


「その時は、まだ信之を疑っている程度でした。しかし迷宮実習の時、確信しました」


イリスは迷宮実習の際、信之の魔法で迷宮全体を凍らせるところを見ていたらしく、そして状況から見て悪魔の契約者が彼だと確信したのだという。


「なんでそこまでして父親の情報が欲しいのよ!?」


イリスは細々とした声で父親の事を話した。


しかし、アイラの態度はほとんど変わることはない。


「それで、どうしても会いたくて……」


「だからと言ってこんな事をしていい理由にはならないでしょ!!?」


イリスは何も言わない。


下を向いたままだ。


「何か言ったらどうなの?!」


アイラは立ち上がり、腰の剣を握った。


「いけません! お嬢様!」


剣を抜ききる直前でルーラが止めた。


アイラは剣から手を離し、ルーラの隣の席についた。


屋敷に着くと、イリスは最初に泥棒の疑いをかけられて信之が囚われていた独房に入れられた。


そして、鉄格子が閉まるとアイラはイリスの前に立った。


「それで、信之はどこに行ったの……?」


少し考えた後、彼女は答えた。


「……恐らく魔物の国、ファルシタスに……」


その時、彼女の心の中の何かが崩れる音がした。


「嘘……でしょ……?」


ファルタシスがいかに恐ろしい場所か、アイラもよく分かっている。


彼女の顔はイリスと同じように輝きを失った。


そして、薄暗い地下に絶望の叫びが聞こえた。


◇ ◇ ◇


「お腹すいた……」


一方その頃、さっきよりも少し明るくなった不気味な森の長ーい一本道を歩いている二人の魔法使いの姿があった。


「最寄りの街まであと三日かな」


強化バージョンのスコルピウスと戦ってから(倒したのはフィリア)半日が過ぎた。


二人は朝から何も食べず歩き続けていたのでお腹が空いていた。


「たしか近く川に魚ならいるよ」


「マジ!?」


しかし、この後に聞こえてきた言葉で希望は打ち砕かれる。


「毒持ちだけど解毒魔法で10%の確率で解毒できる。その毒が人間の中に入ればほぼ即死の魚」


(危なすぎるロシアンルーレット……)


超平和主義者の信之は即答で……


「却下」


ここは魔族の国の最寄りの森なので仕方ないかと諦めるが、そう簡単には人間の三大欲求には勝てない。


そのためか、明らかに歩くペースが落ちてきている。


「そんなにお腹が空いたの?」


そう聞いてくるフィリアにある疑問を持った。


「そう言うフィリアはお腹はすかないの?」


そう聞かれたフィリアは少し固まった……気がした。


しかし、すぐに回答が来る。


「私は少食だから」


そうなんだと返した。


そして、信之は根性でフィリアの歩くペースに合わせようと頑張りながら進み始めた。



こんにちは!!!あまないです!!!

(今回シリアスがほとんどだったのでここで元気を表します!!)

さて皆さん、フィリアにはどんな《《秘密》》があると思いますか?

こんな謎キャラも私は大好きです…

皆さんの意見も応援コメントでお願いします!

(ほぼ100%返信します)


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