第二話 顔が思い浮かんだから
(ん……?意識……戻ったか……)
目の前はまだまぶたが開かず真っ暗だが、意識はだんだんと戻ってきた。
しかし、なんだろう。
異様に自分の周りが暑いのだ。
たしかこの森はひんやりとした空気のはず……。
(暑い……暑い……)
目を開けると、視界には炎が見えた。
そう、自分は燃やされていた。
「って! アッツッ!!! なんだなんだ?」
飛び跳ねるように起きると、目の前には見知らぬ美少女がいた。
見た目は青い髪にジト目、そして小動物のように華奢な体。
イリスとステラを足したような見た目をしていた。
「あ、生きてたんだ」
状況からするに、この子が自分が抱きかかえて木の陰に隠した子だろう。
「な……なんで僕は燃やされてたの?」
目を開けると自分が燃やされていたという異常な状況だったので、おそらく事情を知っているであろう彼女に聞いた。
「もう死んでると思って……火葬をしてあげてたの」
優しい子なのか、ただのサイコパスなのかがわからない子だなと思った。
「あの……色々聞いてもいいかな?」
信之は人見知りながら、初対面である彼女に色々聞いた。
彼女は名前をフィリア・アエニグマと言った。
やはり彼女もあの二匹の魔族に誘拐された身らしい。
「ってえ? リベリタスに居たの?」
話を聞くと、元々いた国が嫌になって親に『修行に出る』という名目で出てきたらしい。
そして、リベリタスに転移したあの丘に居たのもフィリアだということが分かった。
「何で僕たちを見ていたの?」
信之はフィリアが何故僕たちを見ていたのか知りたかった。
「指輪の雰囲気がしたから」
「……え?」
フィリアに自分の指輪のことは言っていないが、もう既にフィリアにはバレているようだった。
しかし、何故バレたのだろう……。
「お父さんが土属性のディアリング、『テラ』を持っているから」
テラという名前に何処か聞き馴染みがあった。
そう、ステラのフルネームはテラ・ステラという。
何か関係あるのだろうか……。
「あの……ステラと言う名前に心当たりは……」
「ない」
キッパリと言われてしまった。
もう少し考えてくれてもよくない?
いや、それよりも今の状況を知りたい。
「ここはどこなのか知ってる?」
「魔族領の国、ファルシタスの目の前の森……かな?」
ファルシタスという国名は聞いたことがある。
というかルーラに『常識がなさすぎます!』と言われて教えられた記憶がある。
ルーラの話によると――
「文字通り、魔族が支配している国。人間は誰も近づかない国。世界地図の一番西側にある国で……」
「ちょっと待て……今なんて?」
世界地図の一番西側?
パウルス公国があるのは一番東側にある。
巷では『極東の国』なんて言われている。
なんか聞いたことがある感じがするが、パウルスは日本に気候が似ているため過ごしやすかった覚えがある。
「ここが世界の一番西側だって言うの?」
ありえない。
少し強めの睡眠薬を飲まされてはいたが、いくら長くても移動期間は三日間しかなかったはず。
その間にパウルス公国の隣にあるサピエンティア王国のアルム魔法学校から、ここまで移動してきたというのか?
「信じられないなら道案内の看板でも見てみる?」
フィリアはそう言うと焚き火の側から立ち、道にあると言うので信之も付いて行った。
「ほら、本当でしょ?」
道の脇に立っていた看板を見た瞬間、信之は背筋が凍った。
いや、絶望したと言う方が正しいのかもしれない。
「『コレより先魔族領、立ち入りを禁ずる』か……」
信之は看板を見たまま固まってしまった。
「えっと……信之……だっけ?」
フィリアが声をかけてきた。
信之はゆっくりと彼女の方を向いた。
(なんだろ……一緒に帰ろうとか言ってくれるのかな!?)
彼女は口を開いた。
「後ろ、危ないよ……」
信之は後ろを振り返った。
振り返った先には、迷宮以来の、しかも少し強化されたような見た目のスコルピウスがいた。
「うわぁーー!!!」
信之はビックリして飛び跳ねた。
指輪は先ほど無理矢理使ったせいでカラカラだ。
「フランマ・イグラス……」
次の瞬間、スコルピウスの強化バージョンはフィリアの魔法によって焼かれ、塵になった。
(強っよ……)
一目見ただけで、コレまで会ってきた魔法使いとは格が違うと思った。
イリスに似た雰囲気が漂っている。
「信之って、その指輪を持ってるのに意外と使えてないんだ……」
「まだ持って一年弱ぐらいしか経ってないからね」
フィリアは一歩、二歩と近づいてきた。
「帰りたい?」
信之は正直諦めかけていた。
この世界には車や飛行機などはもちろんない。
「ここからパウルス公国までどれぐらい掛かる?」
この質問の回答次第では、信之の中に希望が湧くかもしれない。
そんな望みをかけて聞いた。
「普通に移動して二年半、馬車とかを乗り継げば一年半……」
時間は掛かるが、途方もない距離でもない。
しかし、とてつもない距離な事に変わりはない。
その時、ある一人の美少女の顔が浮かんだ。
『信之のバカ!!』
「信之……?」
信之はフッと笑みがこぼれた。
アイラの顔を思い出したからだろうか、分からない。
だがこのまま帰らなければ、あのツンデレお嬢様が何をするかわからない。
「帰りたい……フィリア、付き合ってくれる?」
フィリアはすこし驚いた顔をしたが、首を縦に振った。
「いいよ、暇だったし」
この時、フィリアの顔にも少し笑みがこぼれたような気がした。
「ありがと! じゃあこれから……よろしく!」
フィリアは小さく頷いた。
そして続けて話した。
「じゃあまずは最寄りの街に行こ。そこで物資を揃えよう」
信之は了解と言って焚き火の所に置いてあったほんの少しの物資を持って、フィリアの隣を歩き出した。
一方その頃――
信之を魔族に売った校長は、アイラの目の前にいた。
こんにちは!あまないです。
ついに始まりました!第二章!
この作品は私の第一作目となっておりますので知り合いに
すごくすごく助けられながら執筆しております。私は異世界(特に魔法)
が大好きなのでそれ系をたくさんかくと思います!(もしかしたら学園モノも…)
どうか…どうか応援よろしくお願いします!




