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僕がなろう系で貴族になる話  作者: あまない
一章 悪魔と契約〜迷宮実習
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第30話 「氷漬けと覚悟」

「うわぁ! びっくりした!」


 突然後ろから話しかけられたので信之はびっくりして肩をビクッとさせた。


 後ろを振り向くと、見慣れた金髪の女の子が立っていた。


「ってなんだ……アイラか……」


「そんなにびっくりするの?」


 アイラはそう言いながら信之の隣りに座った。


 それもほぼくっついているぐらい近い距離感で。


「まぁビビりだし……」


「へぇ、意外ね。私をプルウィアから助けてくれたときは正義の味方が来たって思ったのにね……」


 なんか言葉に引っかかる所があるような気がするが、そっかと聞き流した。


「正義の味方?」


 信之はアイラのその発言を思わず聞き返した。


「やっぱ魔法の暴走を止めるために自分を凍らせるバカが来たと思いました」


 アイラの顔が少し赤くなったような気がしたが暗くてよく見えなかった。


「ねぇ信之」


「どうした?」


 アイラが更に距離を詰めてきた。


 ここまで来るとお互いの体温が分かる程だ。


「信之にとって正義って何?」


 ヒーローモノでしか聞いたことないセリフが来たが信之はそんな事気にせず答えた。


「正義? 正義かぁ……」


 信之は少し考え込んだ。


 ここですぐにパッと言うことができればカッコいいのになぁと内心少し思ってしまった。


「大切な……」


 信之が質問の答えを口にしようとした瞬間、後ろからピキピキとなにやら音が聞こえてくる。


 気のせいかと思いながらも彼は後ろを振り返った。


「アイラさん、これってかなりマズイヤツでは……?」


 信之とアイラの目に写ったのは、氷漬けになっていく馬車とその中で寝ている御者のおじさんだ。


「ちょ、ちょっとアンタ何してんのよ!!」


「ごめん魔力の暴走! 終わってなかったみたい!」


 もう寝ようと思って外していたいつもの手袋を外していたのが裏目に出てしまった。


 しかもついさっきまで魔力の暴走を止めるために自ら氷漬けになっていたのもすっかり忘れていた。


「どどどどうしよう!」


 こうしている間にも氷漬けは進んでいる。


 パニックになっている二人はとりあえず寝ているステラとクラウスを叩き起こした。


「なななななにやってんだ信之!」


「ホント何やってるんですかぁ!!!」


 二人がこんなに大声を出しているのを見るのは初めてだ。


「本当にごめんなさーーーい!」


 信之はこれ以上氷漬けが進まないように川の中に立っとけと言われて震えながら川にいた。


 良くは見えなかったが、ステラが被害が広がらないように壁を作ったり、前回と違って水を掛けると普通に溶けてくれたのでクラウスが必死に水をかけたりしてなんとか事なきを得た。


「本っっ当にバカじゃないの?」


「スイマセン」


 信之はずっと冷たい清流の流れる川にいたので、アイラが再度火を灯したキャンプファイヤーの前で光魔法を応用して服を乾かしながら説教をした。


 ステラとクラウスは魔力切れで崩れるようにすぐに寝てしまった。


「で?」


 まだ説教は続くのかと一瞬思ったが、違ったようだ。


「さっきの続きは?」


「続き?」


 やっと思い出した。


 先程、信之はアイラに質問をもらっていた。


 そして答えようとしたら魔力の暴走に気がついたんだ。


「大切な人を守ることかな。急にパッといなくなったらさみしいでしょ」


 満面の笑みで質問の答えを返した。


「ッッ!……」


 アイラの顔は、今回ははっきり分かるほど赤く染まった。


「そ、そう……アンタにしてはやるじゃない……」


 信之は正面を向いていたので見えなかったが、アイラの目は明らかに泳いでいた。


 照れてタジタジになっているのも伝わった。


「はい、おしまい。疲れたから……おやすみ」


 乾かし終えるとそそくさとテントの中に入ってしまった。


 テントの中に入ってすぐ、ステラの横から布団を奪い、隅っこに移動し布団にくるまった。


(なんであんな答えに動揺してるのよ……)


 信之はその頃、キャンプファイヤーの火をどう消そうか悩んでいた。


◇ ◇ ◇


「じゃあ、これからも頑張ってね!」


 次の日、朝イチであの河原を出た私達はかなり早くサピエンティア王国の王都リベリタスに着くことができ、馬車乗り場に今までリアナ迷宮に連れて行ってくれてなんの事故もなく返してくれた御者のおじさんと馬に別れを告げた。


 初日に強烈な出来事があった馬も少し笑っているように見えた。


「本当にありがとうございました!」


「「「ありがとうございました!」」」


 四人はきちんとお礼をおじさんと馬に伝え、馬車乗り場を後にした。


「マジで昨日焦ったんだからな! アイラ様に起こされたと思ったらテントが凍り始めてるし……」


「ホントにごめん」


 馬車乗り場を後にした四人はリベリタスの通りを歩いていた。


 信之とクラウスは前の方でいつもと変わらず談笑している。


 しかし、様子が少しおかしいのはアイラだ。


「それでですね!……ってアイラさん?」


 アイラは今日の朝からおかしかった。


 移動中話しかけても窓を見てボーっとしていたり、話しかけても目をすぐに合わせてくれなかったりしてステラは心配していた。


「もしかして体調が優れませんか?」


「い、いいえ! すごく元気よ!」


 しかし、根からの心配性なステラなのでたまらず質問をした。


 この時、信之とクラウスには聞こえないように彼らと少し距離をおいてくれた。


「なにか悩み事でもあるのですか?」


「ッッ!……」


 図星だった。


 こんなにわかりやすい反応をしてしまっては……と観念したのか、心の内をステラに明かした。


「そうね……悩み事が無いと言えば嘘になるわね」


「私で良ければいくらでもご相談に乗りますよ」


 本当にこの人は天使のような人だとアイラは改めて感じたのであった。


「今、自分が何をしたいのかがよくわからないの。何か行動を起こさなきゃって思ってるのに、結局何もできずに終わってしまうの……」


 察しのいいステラなので、アイラの喋り方と視線で、相談相手の彼女はなんとなく事柄を察した。


 すこし回答を悩んだが、結局すぐに思い浮かんだ答えを話した。


「そうゆうときは素直に本能のまま動いちゃえばいいと思います」


「本能のまま?」


 意外なことを口にしたので、アイラは思わず聞き返した。


「あ、いえその……なんというか……」


 聞き返されたステラも少し考え込んだ。


「色々考え込み過ぎなんだと思います。人って考えすぎちゃうと思ってもないことを言っちゃう生き物だと思うんです」


 ステラの話に言葉が出なかった。


 自分の核心を突かれている気がして何も言えなかった。


「それで勘違いしてしまった相手がどんどん離れていったり、いつの間にかもう会えなくなったりして……」


 アイラは何も言えなくなってしまった。


 なぜなら過去の自分と重なるから。


「あ、す、すいません! 偉そうに語ってしまって……」


「いいえ。本当に話してありがとう」


 アイラはステラにそう言うと、信之の所に走っていった。



こんにちは!あまないです!

やっといい感じになるか?!と思ったらまさかの…

みたいな流れはギャグ展開に必要不可欠ですよね?ね!?

(圧かけてごめんなさい)

さて、もうすぐ一章が終わります。

終わり方はハッピーなのかバットなのか…

気になる方はコメントよろしくお願いします!


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