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僕がなろう系で貴族になる話  作者: あまない
一章 悪魔と契約〜迷宮実習
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第29話 「氷は溶けたが」

「ん……ここは?」


目を覚ますとそこは迷宮の外だった。


最初に目に入ったのは日が落ち始めている青空だ。


「あ、アイラさーん!!」


「うわぁ! ス、ステラさん?」


目を覚ましてすぐに隣にいたステラが抱きついてきた。目には大粒の涙を浮かべている。


「よかった〜……ホントに良かったです……」


アイラは何が起こったのか全くわからなかった。


しかし、周りを見渡すと段々と思い出してきた。


まず信之にプルウィアから救ってもらい、そのまま顔を近づけて……


「ッッ!……」


思い出すと顔が真っ赤になっていく。しかし、まだ未遂だったのでまだ平常心は保てている。


そこからお姫様抱っこされて迷宮が崩れ、信之が一気に魔力を解放して全体を凍らせて……とアイラの記憶はこれまでだった。


そこからは覚えていない。いつの間にか安心してしまい眠ってしまったことは覚えている。


「の、信之は?」


流石にお礼は言わなければと思いステラに信之の所在を聞いた。


「あー……信之くん? 信之くんはですね……」


ステラの声がなぜかだんだんと曇ってくる。


「まさか迷宮の崩落に巻き込まれて……」


アイラは最悪な場合を想定してしまった。


「いやいや! ちゃんと生きてますよ! でも……」


また泣きそうになってしまったアイラを全力でカバーした。しかし、あまりいい状態ではないのかステラの顔が完全に晴れはしなかった。


「まぁ見れば分かりますよ」


ステラはアイラの手を取り、立ち上がり小走りで信之がいるという所に行った。


「な、なにこれ……」


そこにはなぜか氷漬けになった信之がいた。そしてその周りには火属性魔法使いのアルム生が必死に溶かそうと頑張っていた。


「な、なにしてるの? アイツは」


ステラから聞いた話によると、信之はアイラを救出し必死に彼女を抱えてなんとか外に出たが、魔力を一気に解放しすぎて暴走してしまい、このままでは周りの人たちにも危害を加えてしまうと思った信之は、自らを凍らせることによってなんとか暴走を食い止めたらしい。


「ってことです」


ステラはアイラに一通りの説明を終えた。


「まったく……カッコいいのかバカなのか……」


「カッコいい?」


アイラはうっかり口が滑ってしまい本音を漏らしてしまった。


そして、ステラに聞き返され顔が真っ赤になってしまった。


「あ、いや……その……き、聞き間違いよ!」


聞き間違いと主張している割には顔を必死に両手で隠している。


「待て待て、ここは水をかけるんだよ」


「あ、待て! これに水は!」


クラウスが水を掛けると、かけた分だけ凍ってしまった。


「あれ? なんで?」


「これに水を掛けるととんでもない冷気で凍っちまうんだよ! 水属性はあっち行ってろ!」


そう言われてしまったクラウスは若干しょんぼりしてしまった。


そこにすかさずステラは慰めに入った。これぞまさしく天使《やさしさ》。


「……そうだ! プルウィア……様は?」


次に思い出したのはアイラに水をかけ、信之の事を無理やり聞き出そうとしたあのプルウィアのことだ。


「こっちですよー! アイラさん!」


遠くから話しかけてきたのはイリスだった。


イリスの横には手に縄をかけられたプルウィアとその部下二人の姿があった。


アイラは小走りでイリスの元に向かった。


「ステラさんとクラウスくんが洗いざらい全て話してくれましたよ」


後ろにいるプルウィアの顔は歪んでいた。


「イリス校長! なんとか! 御慈悲を!」


イリスはプルウィアの方に振り返り、冷たい眼差しを向けた。


「あなた達の行動はすべてアクア家にお伝えさせていただきます」


プルウィアたちの顔が真っ暗になってしまった。


そしてそこから三十分後、信之の体を覆っていた氷は溶けた。


しかしすぐに意識は戻らず、クラウスがおんぶをして馬車に乗せた。


その後、イリス校長による成績発表が行われた。


結果は惜しくも二位だったが、クラウスとステラの顔には笑顔が溢れていた。


「ん……あれ? ここは……?」


馬車に揺られながら信之は目を覚ました。


しかし違和感がある。


馬車に寝ていたはずなのに頭が痛くない。何なら柔らかくていい匂いがするような気が……


「あ、やっと起きた。いつまで寝てんのよ。膝が痛くなってきちゃったじゃない」


信之は二回目のアイラ膝枕で目を覚ました。


「おー信之。アイラ様の膝の寝心地はどうだった?」


「ちょ、ちょっとクラウスくん! な、なんてこと聞いてるのですか!」


なぜかステラまで顔を赤くしている。


「あ……みんな無事だったんだ……」


信之はまだ少し寝ぼけていた。


「もういいでしょ? 早くどきなさいよ」


「ん? あーごめん」


アイラの膝枕中だったのをすっかり忘れていた。


「ありがとアイラ。お陰で頭が痛くならずに済んだ」


「助けてもらったお礼よ。その……結構大変な事してもらったから、これくらいはしてあげないとって思っただけよ」


アイラの頬が赤いのは夕日のせいだろうか。


いや、それとも……


「君たち〜今日もここでいいかい?」


「あ、お願いしまーす!」


御者のおじさんが馬車を止めた場所は昨日出発した河原だった。


馬車を止めてキャンプの準備を終え、火を灯す。


三回目だからか作業は驚くほど早かった。


「なんか、昨日も来たのに懐かしい感じがするな……」


「なんかねー」


日はほぼ落ちており、辺りは暗くなっていた。


川で取った魚を焼いて夕食をしながら四人は今日の出来事について語った。


「でさ、信之がそんな作戦を思いついて穴を開けたってわけ!」


「ほんとに……見ているこっちはヒヤヒヤしてしょうがなかったですよ」


なんだろう。


この時間が本当に楽しくて暖かかった。


日本にいたときは感じることのできなかった温かみと火の美しさが信之たちを包んだ。


一通り語り終えた四人はテントへ入った。


しかし、さっきまでアイラの膝でぐっすり寝ていた信之は中々寝付けず、外でキャンプファイヤーを眺めていた。


「本当に綺麗だな〜」


美しい空に見とれていると後ろのテントから足音が聞こえてきた。


「ねぇ、ちょっといい?」


話しかけてきたのはアイラだった。



こんにちは!あまないです!

この物語としては初めての平和回?でしたね。

さて、予定ですが一章はあと三話で終える予定です。

一章の終わり方が気になる!という方はぜひフォローよろしく

お願いします。(フォロバ絶対します!!)

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