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僕がなろう系で貴族になる話  作者: あまない
第一期 悪魔と契約〜迷宮実習
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第28話 「ヤバイヤツに神は振り向かない」

次の瞬間、信之の目の前には氷の壁ができた。


「あっぶな…」


この攻撃は、火属性魔法使いのプルウィアの部下の一人から繰り出された魔法だ。しかし一瞬で信之はルビュートで部下の手ごと凍らせて固定した。


「ルビュート!」


もう一人の部下が直後に攻撃してきたが、こちらも一瞬で固定してしまった。


「ほう…やはりやりますねぇ…」


しかし、プルウィアはまだ余裕そうな雰囲気を醸し出している。


「前回の闘技場の時は負けたが…はたして今回はどうかなぁ?」


そう言うと、プルウィアはなにやら腰のポケットから小さな包を取り出した。


「これは、選ばれたものしか飲むことを許されない神の薬!メデウスとでも言うといい!」


プルウィアはそれを飲んだ。その瞬間、プルウィアの周りには明らかに先ほどとは違うオーラが放たれていた。


「どうだ!神から力を授かった私の姿は!頭を垂れてるがいい!」


完全に調子に乗っていた。たしかにこのまま戦っても勝てないかもしれない。しかし奇遇なことに、こちらもそれに似た物を持っている。


「じゃあこっちも…」


信之はポケットから例のモノを取り出した。そう、あの指輪泥棒おじさんからもらったディアリング所有者専用の魔力増大剤だ。


「なんだそれは?」


「怪しい商人からもらった薬です。ノデウスとでも読んでもらいましょう…」


しかし、プルウィアは強気な姿勢を崩すことはなかった。


「そんなモノで私に敵うと思っているのか!?神の力を下に見るなぁーーー!」


攻撃が来ると思い信之は身構え、いつでも氷の壁を作れるように準備をした。しかし、なにか様子がおかしい。


「……あれ?」


プルウィアは全く攻撃をしてこない。それどころかどんどん魔力が減っていっているように見えるような…


「か…神よ!!我に力を与えたまえ!」


しかし何も起こらない。


その時、プルウィアと信之には謎の声が聞こえた。


『プルウィアくーん!私の力を使ってノブユキクンに勝とうだなんてだっさいよ〜』


プルウィアにとっては初めてだろうが、信之は聞き慣れた声だった。


『ってことで!その力は使えないようにしたから!』


声の主は、信之をこの世界に送り込んだ張本人の一応女神のルイナだった。


「ふ…ふざけんな!!!おい!降りてこい声の主!」


プルウィアは必死に声が少し共鳴する洞窟内で叫んだが、何も降りてこない。


「な…なぜだ……」


信之はルイナの声を聞き終わった瞬間、ゆっくりと歩いていった。


「ひ、ひぃ!…」


「アイラに何をしていたんですか?」


一秒後、信之は氷柱で相手を気絶させた。


クラウスとアイラはプルウィアたちを一箇所に集めて応急処置、信之はアイラの所に駆け足で行き、氷で作成したナイフで手と足を縛っていた縄を切った。


「大丈夫?アイラ」


魔力を温存しておけというルイナの助言の意味は最後までわからなかったと思っていた。そして信之は自身の上着をアイラにかけた。


「だ、大丈夫よ…」


そう言っている割には信之の上着を手でガッチリと掴み離さない。


そして、信之の顔を見た瞬間、アイラは信之に思いっきり抱きついた。


「怖かった…怖かったよぉ!…」


まるで子供のように泣いていた。アイラがここまで泣いているところを信之は初めて見た。それほどに辛いことがあったのだろうと、察しの悪い信之にも十分すぎる程伝わってきた。


「信之…」


アイラは目をつぶって顔を近づけてきた。もしやこれは、アレなのだろうか…


(え?え?え?)


アイラの顔は真っ赤に染まっていた。信之も内心パニックだ。しかし、アイラの顔との距離感はどんどん近づいていき…


(お父さん、お母さん、信之は立派になりました…)


その次の瞬間、洞窟内に轟音が響いた。


信之とアイラは急に我に返り離れた。どうやら迷宮の崩壊が始まっているようだ。理由は簡単、なぜなら信之たちは壁に大穴を開けて無理やり侵入してきているので…


「ヤバイヤバイ!クラウス!ステラ!紐で引きずってでもいいからそいつらといっしょに外へ!プルウィア様も起きろ!」


信之はプルウィアを叩き起こし、外に逃がした。


「アイラ!走れる?」


アイラ本人はこの質問には答えなかったが、見るからに歩けそうな状態ではなかった。しかし、あのプルウィアの部下たちのように紐で引きずり回して連れ出すわけにもいかない。


信之は考えた挙げ句…


「アイラ、ちょっと失礼!」


「え?え?ちょ、ちょっと!」


他に術がないので信之はお姫様抱っこでアイラを持ち上げ全力疾走した。


「ヤバイヤバイ!どんどん崩れていってる!」


全力疾走で迷宮の崩壊に巻き込まれないようにしていたが、崩れるスピードにアイラを抱えた信之にはそれから逃げるのは無理があった。


アイラの両腕は信之の首にしっかりと巻き付いており、彼女の顔は真っ赤になっていた。


「の、信之…もうだめじゃない?」


たしかにそうかもしれない。後ろを見てみても誰もいない。おそらく自分たちが最後なのだろう。


しかし、信之はあの助言を思い出した。


「そっか…こうすれば!!」


信之はそう言った瞬間、指輪をはめている左手を高々と天に上げた。


「の、信之?なにを…ってまさか!」


一度、深呼吸をする。そして自分の全魔力を左手に集中させる。


「ジェルアーレ!!」


次の瞬間、辺り一帯は凍りついた。そして迷宮の崩壊も止まった。


そう、信之はこれまで溜めに溜めた魔力で迷宮丸ごとを凍結させてしまったのだ。


「あ、アンタ…こんなに…溜めてたなんて…」


アイラは安心しきったのか、そのまま眠りについてしまった。


そして、信之とアイラは外に出るために歩き出した。


こんにちは!あまないです!

とうとう来ました!信之カッコいい回!

ちゃんと主人公が主人公をした話なのではないでしょうか!?

次回、はたして二人はどうなってしまうのか…

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