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僕がなろう系で貴族になる話  作者: あまない
第一期 悪魔と契約〜迷宮実習
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第26話 「また消えた」

「アイラーーー! どこだー!」


 あの謎の煙が消えて10分ほど、彼女の姿を必死に探したが見つからない。


「アイラさーーん! どこにいるんですかーー!」


「いないならいないって返事してー!」


 だがアイラが見つかることはなかった。


 彼女はあの謎の煙が出てくるまではたしかにいた。しかし煙が晴れたと思ったら、パーティーメンバー全員の視界からは消えていた。


 それからもかなり歩き回ったが、アイラがどこに行ったのかを示せるような証拠品はどこにもなかった。


(これが女神の言ってた魔力を温存していなければいけない理由なのか?)


 そのことは一旦置いといて、一刻も早く見つけ出さなければいけない。


 このまま見つからなければパーティーリタイアとされ、このパーティーメンバー全員が失格になってしまうからだ。


「あの……信之くん。ここからは三人バラバラで探したほうが……」


「ステラ、それはダメだ」


 クラウスが話に割って入ってきた。


「これ以上メンバーがいなくなるとパーティーリタイアは避けられないからな」


 二人はクラウスもたまにはカッコいい所あるじゃんと思った。


「そ……そうですね……」


 ステラの顔が若干赤くなった気がした。


 こんなときにもラブコメ的展開を起こすステラはいけない子だ。


「とりあえず、できるだけ下の階層を目指しつつアイラも探すしか無いね」


 色々考えは出たが、結局信之のこの案が採用された。


 そして、信之パーティーは一人メンバーが欠けてしまったが、彼女本人のためにも前に進むことにした。


 一方その頃、アイラは――


(痛ったった……ここはどこ?)


 彼女の目の前に広がっていたのは、周りが岩だらけの迷宮内の小さな部屋だった。


「お目覚めですか……アイラ様……」


「ッッ!……」


 目の前にいたのは、少し前に信之に勝負を挑んでボロクソにやられたプルウィアだった。


 その両脇には、屈強でいかにも強そうな魔法使いが直立不動で彼の横にいた。


「ッッ!……」


 アイラは今、喋れない。


 なぜなら手も足も口も縛られているからだ。


 そして、腰にいつも常備している剣はプルウィアの横にある。


「いや〜大変でしたよ……これほどの魔法使いを雇うのにいくらかかったことやら……」


 アイラの顔はどんどんと青ざめていく。


 怖いに決まってる。


 何をしてくるかわからない男三人と同じ部屋にいるというシチュエーションってだけで怖いに決まってる。


「さて……ここで問題です……なぜ私達はこんな事をしたのでしょう……」


 その質問に答えることはできなかった。


「正解は……信之について詳しく教えていただきたい……私は……彼のあの強さについてもっと知りたいんです!」


「……」


 部下は、このままだと何も話せないだろうと言って口を塞いでいたタオルを外した。


「早く解放しなさい!」


 タオルを外した瞬間、アイラは声を上げた。


「残念ですがそれはできません。信之のことについて詳しく話してくれるならすぐに解放します」


 アイラは口を閉ざした。


 ここで気安く信之のことについて話すわけにはいかない。


 信之が悪魔の契約者だとわかれば学校を退学になるのはもちろん、シュヴェルト家にまで影響が及び、管理しているパウルス公国にまで影響が及ぶ可能性があるからだ。


「い……言わないわ! 何でアンタなんかに言わなきゃいけないの!」


「「「……」」」


 どうしたのだろう。


 急に三人は黙り込んだ。


 そして、プルウィアは部下二人にハンドサインのようなモノを出し、その二人は何かを準備し始めた。


「そうですか、では……」


 部下の二人は大きな水の入った水筒を何個か取り出した。


「な、何するつもり?」


「大丈夫ですよ。すこし多めに水を飲んでもらうだけです……」


 そう言ってプルウィアはアイラの頭から水筒の水をかけた。


 一方その頃、信之たちは――


「うわぁーー! ステラ! 壁壁!」


「クレアーレ・ウォール!」


 クラウスを追っていたスコルピウスの亜種が、彼との間の壁に激突し成仏した。


「しかし信之君、かなり魔物も強くなってきましたね……」


 ここは、先程アイラが消えた7階層から進んで9階層まで来ていた。


「みんな! 魔晶石見つけた!」


 魔晶石も着々と見つけていた。


 見つけた魔晶石はすべて手に入れ、一つのパーティーに一つしか石を所持してはいけないので、それまでに持っていた石は新しく手に入れた石の所に置くというサイクルを続けていた。


「あ、お〜い君たち! この辺でアイラ様見かけなかったか?」


 このようにクラウスがアイラのことを知らないか、他のパーティーを見たら必ず聞いてくれていた。


 しかし――


「いや、見かけてないな」


 今まで10組ぐらいのパーティーに質問を続けてみたが、返って来る返事は例外無くこの答えだった。


「クラウス、とりあえず最下層まで行ってみよう」


 そして、僕達は最下層まで歩き始めた。


 そして、下の階層へとつながる階段にたどり着いた。


「すごく狭いですねこの道」


「みんな気をつけてって……」


 次の瞬間、信之は足をすべらせてしまった。


「痛ったた……って……ん?」


「だ、大丈夫ですか信之君!! 今すぐに治癒魔法を!」


 ステラはぶつけて擦りむいたところを治癒魔法ですぐに直してくれた。


 本当に天使《女神》のようだった。


 しかし、信之はある違和感を覚えた。


 それはころんだ時、岩から聞こえたのはドスン! という鈍い音ではなく、カーン……というなにか響くような音だった。


「ど、どうした信之。やっぱどこか痛むのか?」


「この壁、空間がある」


 信之は転んだときの痛みの代償として、男の子が好きそうな『謎の空間』というモノの手がかりを手に入れたのだ。

こんにちは。あまないです!

今回のお話はすこーし暗めなシーンが多かった気がします。

まぁ仲間の一人が消えているこの状況で変なことはできませんからね…

しかし、なーんか違いますね(笑)。


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