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僕がなろう系で貴族になる話  作者: あまない
第一期 悪魔と契約〜迷宮実習
24/27

第24話 「実習開始!」

朝、目が覚めた。


今回も腕に違和感が……というイベントはなく、普通に目覚めの良い朝だった。


みんなほぼ同じ時間に起きて少し眠そうだったが、出発の準備をテキパキと終え、馬車は出発した。


「出発しますよ〜」


御者のおじさんが河原でのんびりしていたパーティーメンバーを呼び、みんなを馬車に乗せた。


馬も昨日のトラウマのせいか普通に走ってくれた。


昨日同様、景色が右から左に流れていく。


その景色は昨日と同じ広大な大地が広がっていた。


どこまでも広がる草木の生い茂った草原。


澄み渡る青空。


(前世でもこんな冒険ができてたら良かったのにな……)


前世で実習と聞くと苦い思い出しか無い信之なので、今この瞬間が楽しくてしょうがなかった。


(中学生の修学旅行の時、迷子になったのに影が薄すぎて誰にもいないことに気付かれなかったことがあったな……)


(作者の実話)


「何独り言呟いてんだ?」


隣に座っていたクラウスが話しかけてきた。


まだ眠いのか、目は少しトロンとしていた。


「いや……こっちの話」


答えを聞いたクラウスは、まだ眠いと言って二度寝してしまった。


馬車に揺られること約二時間。


僕達の馬車は目的地のリアナ迷宮を視界に捉えた。


そこに、周りを豪華な装飾でまとい、足の筋肉がしっかりと付いた白馬の馬車が並走してきた。


「おはようございますアイラ様。良ければ私達の馬車と競争をしませんか?」


この物語史上二代目のうざそうな貴族が勝負を持ちかけてきた。


「なんでそんな事しなければいけないのですか?」


アイラが窓から顔を出し、話に応じた。


「いや……シュヴェルト家のご令嬢が乗る馬車にしてはショボすぎるかと」


もちろん、こんな勝負を受けるメリットはない。


だがしかし――


「分かりました。受けましょう」


アイラのプライドがそれを許さなかったので、この勝負を受けてしまった。


ルールは先にリアナ迷宮の集合場所についた方が勝ちというシンプルなものだった。


「それではアイラ様、ゴールで先に待っています……よーい……スタート!!」


あちらの貴族の合図で勝負は始まった。


なんとなく予想はできていたが、あちらの馬の筋力はこちらの無気力馬に比べると天と地の差だった。


馬も追いつけないと思ったのか、ほぼ諦めていた。


しかし、僕達にはあの天使様がいる……


「ステラ! いつもの!」


(おいおいまさか……)


昨日同様、ステラの愛の鞭作戦が決行された。


しかし、一度もその鞭を使用することはなかった。


なぜなら――


「なんか鞭を見ただけでスピード上がってない?」


既に馬にトラウマを植え付けていたので、鞭を見せただけで全力疾走になった。


しかし、それでもまだスピードが足りないし、あの貴族の馬車にも追いつけない。


「大丈夫です! ウォール・クレアーレ!」


ステラがそう唱えると、貴族の馬車の目の前に壁が現れた。


しかし、そう上手くもいかず、馬車にはあっさりと避けられてしまった。


「どどどどうしましょう! 皆さん!」


「ここは俺に任せろ! アクア・リバー!」


ステラからクラウスにバトンタッチされた。


しかし、またクラウスの水で足を滑らそう作戦は、馬の脚力によって阻まれ失敗した。


(あの馬車ごと氷漬けにすることもできるけど……)


信之は迷宮実習前に下手に魔力を消費するわけにはいかない。


かといって、この先何があるかも分からないため魔力増大剤は使うわけにもいかない。


そう考えている間も、貴族の馬車はどんどん小さくなっていく。


「そ……そうだ、あれ!!」


信之がパーティーのバッグをゴソゴソと漁る。


「信之、何するつもり?」


アイラが不思議そうにこちらを見つめている。


「クラウス! これをあの馬車に投げることってできるか?」


信之がカバンの中から取り出したのは、絶対に使い道がないと思っていた例の魔道具だった。


「わ……わかったわ! やってみる」


一方その頃、貴族の馬車内では――


「シュヴェルト家も落ちたものですね……あんな庶民的な馬車に乗るとは……」


「全くです。昔は世界の均衡を崩しかねない危険な魔道具を管理するほど世界からの信用が厚かった名家だったが、まさか最近になってグラキエスを盗まれるとは……」


「話によると、盗んだ犯人は相当な手練れだったらしいぞ……」


そんな会話が繰り広げられるほど中は平和だった。


しかし、その平和ももうじき崩れることになる。


それは一つの音によって崩され始めた。


「ん? なにか音がしなかったか?」


「いえ……なにも……」


その次の瞬間、馬車の中は怪しい紫がかった煙で満たされ始めた。


「お……おい! なんだこれは!」


「わ……わかりません!」


そして馬車の中が十分に煙で満たされた時――


「「「いーーーやーーーー!」」」


「お! 上手くいったぜ信之!」


相手の馬車に投げ込んだのは、目の前に魔物の大群が見えるようになる魔道具だった。


もちろん急にこんな事をされた馬車は馬までパニックになり失速。


結果、ぶっちぎりで信之パーティーの馬車が先に到着した。


「ここがリアナ迷宮……」


百聞は一見にしかずという言葉があるように、言葉だけで聞いていたリアナ迷宮だったが今目の前にしてかなり感動している自分がいた。


「では生徒の皆さんは私の所に集まってください」


時間になると前に酒に酔って生徒(信之)の布団で寝ていた校長のイリスが招集をかけた。


イリスが招集をかけると今までバラバラだった生徒が集まってきた。


それと同時に緊張感も伝わってきた。


なぜならこの実習の結果が進級に大きく関わってくるからだ。


「これからリアナ迷宮実習についての説明をしていきます。みなさん心して聞くように」


それから前に伝えられなかった実習の詳しい説明がされた。


「まずあなた達にはこれからこのリアナ迷宮に行き、そのどこかにある魔晶石を取ってきてもらいます。もしも一つも魔晶石を手に入れられなかった場合、大きな減点とします」


「あのーちょっといいですか?」


一人の生徒が手を上げて質問をした。


「先に来た人にすべて魔晶石を取られてしまった場合、どうすればよいですか?」


校長イリスは淡々と答えた。


「一つのパーティーで所有できる魔晶石の数は一つまでです。しかも迷宮内には生徒の人数以上の魔晶石があるのでなくなることは無いです」


「私もいいですか?」


また一人の生徒が手を上げた。


「迷宮内には魔物はいるのでしょうか?」


イリスはまた淡々と答えた。


「もちろんです。深くにいけば行くほど強力な魔物が潜んでいます」


生徒たちはまたざわついた。


みんな怖がっているようだが当たり前だ。


いくら世界的な名門校のアルム魔法学校の生徒であっても魔物との戦闘経験は浅い。


(僕は氷魔法以外全く使えないせいで成績がかなり危ういからここで挽回しないとかなりまずい…)


「時間がないのでここでお話は終了です。では皆さん、こちらの転移魔法陣の上に乗ってください。最初はこれでランダムに迷宮の1〜3層に飛ばされます」


「とうとう来たな、信之」


「そうだな」


「が…頑張りましょう!」


「そ…そうね!」


僕達信之パーティーは転移魔法陣の上に乗った。


「それでは…転送開始!」


イリスがそう唱えた瞬間、リベリタスに行ったときと同じように目の前は真っ白な光りに包まれた。


「ん…着いたのか…」


ゆっくりと目を開けた瞬間、目の前には衝撃の光景が広がっていた。

こんにちは!あまないです

長々とお待たせしました!とうとう迷宮実習編です

この迷宮実習が終われば第一期完結です。

最後まで応援してくださると嬉しくて飛び跳ねます。


⬇️私のXアカウントです!ぜひフォローをよろしくお願いします


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