第15話 「なんだかんだ言って…」
いつからだろう…この世に自分がいらないと思い始めたのは…
学校に行っても目立つタイプではないし、特別何かの能力に長けていわけでもない。顔がいいわけでも、身長が高いわけでも、性格がいいわけでもない。
「それでさー、前にあのカフェでさー…」
「え!?マジ?超アツいんですけどー!」
今日も下を向いて過ごしていた。誰かと話すわけでもない。勉強しているわけでもない。何で生きているのかもわからない。
「おーい、雪枝ー行くぞー」
「お、おう…」
村上という友達こそいたものの、なんのために友達という存在があるのかもわからなかった。
それは、ほんの少し前、僕が小学生の時だろうか…
「お前汚いんだよ!」
「ホントそう…あ、息しないでよ!汚い…」
「あ、ご、ごめん…」
僕は昔、生まれながらにアレルギー性の皮膚炎を患っていて周りの人よりも肌が汚く見えていた。そのため、小さな時からいじめの標的だった。
中学生になり、皮膚炎こそ治ったもののいじめられていた過去からなのか人に近づくことが怖かった。そんなときに心の支えとなったのが…
「いいねーこの物語の進み方きらいじゃない…」
小説投稿サイトだった。ここには自分の好みの小説や未来の小説家の卵達がにいた。
「あ…おはようございます…」
小説を読み始めたからなのか、ほんの少しではあるが挨拶程度なら話せるようになってきた。そして、高校生になってその入学式で…
「ん?何読んでんだ?」
「あ…えっと、これです…」
村上という友だちもできて、少しずつ少しずつ人との関わり方を学んでいった。
でも、日本で16年生きても、自分の存在価値はわからないままだった。
「信之?あんたいつまで寝てるのよ…」
「…え?村上は?」
目が覚めると、朝、学校に向かうための馬車の中にいた。目の前にはアイラが座っていた。
「ムラカミ…?誰よそれ?」
「あ…えっと…なんでもないです」
「変なの」
二人は10分ほど馬車に揺られいつものように転移魔法陣に乗り、学校に行く。
「それではお二人とも、行ってらっしゃいませ」
「行ってきます、ルーラさん」
二人は白い光に包まれて転送先の魔法陣についた。
「あれアイラ様じゃない?」
「ホントだ!いや〜今日も美しい…」
周りの生徒はアイラをチヤホヤしていた。
「おはようございます、皆様」
二人は教室に行き、席につく。日本の高校とは比べ物にならないぐらい内装はきれいな教室だ。隣にはアイラがいて周りのお嬢様と話をしている。
「よっ!信之、おはよ!」
「あ、クラウス、おはよ」
制服を少し着崩してイケメンとも言えるしフツメンとも言える顔立ちに信之よりも少し大きい身長があるこの男は最近友だちになれたクラウス・フレーテル。この魔法学校生活の男友達だ。
「おはようございます、信之くん」
「あ、ステラ、おはよう、」
身長が小さく、上目遣いで挨拶をしてくる白髪の小動物のような女の子は魔法学校でできた女友達のテラ・ステラだ。
「おはようございます、ステラさん」
「おはようございます、アイラさん…あの…少しお話よろしいですか?」
いつもは引っ込み思案なステラだが珍しく自分からアイラに話しかけたのだ。
「どうしたの?ステラさん?」
「えっと…その…の、信之さんとはどのようなご関係なのですか?」
ステラからの質問を聞いた瞬間、アイラの顔は赤く染まった。当本人の信之は窓際でクラウスと談笑している。
「えっ?い、いきなり何を聞くの!?」
その瞬間、アイラのお嬢様モードは解かれた。
「だって…いつも一緒に登校して一緒に帰ってるじゃないですか…」
「そ…それは…」
紛れもない事実を言われてしまい言い返す言葉が見つからない。
「だって、一応同じ家だし、同じ馬車だからよ…」
「そう…ですよね…」
納得したように最後に笑顔を見せた。
「何でそんなこと聞くの?」
「え?えっと…それは…」
ステラがアイラへの質問の答えを口に出そうとした時、前の扉からイリス校長が入ってきた。
「皆さん、席についてください」
そして朝のHR、1限目、2時限といつものように授業が進んでいった。
「それでさー!あいつがよ〜」
授業中に友達と談笑しているクラスメイトがいた。その瞬間
シュンッ!
「ひっ!…」
イリス校長がゆっくりと生徒側に目を向けた。
「そこの君、うるさいですよ?…」
顔は笑っているが、目が殺気に満ち溢れているイリス校長がうるさかった生徒のノートに切り傷を入れた。
(こっわ…イリス先生…)
イリス校長は風属性魔法を極めた魔法使い。巷では「風の支配者」なんて呼ばれたりもしている。彼女は幼い頃から才能に溢れた人だったらしく、アルム魔法学校史上、最大の天才と言われていたらしく、入学したての一年生から学校最上級生である4年生の首席を模擬魔法戦において一瞬で勝ってしまうほどだったらしい。そして学校側はそんな彼女の才能を買い、史上最年少で校長となったらしい。
授業が終わり、帰りのHRが始まった。
「えー…それでは、1週間後の迷宮実習についてお話します」
迷宮実習というワードが出てきてクラスがざわついた。
(なにそれ?職業体験みたいなものなのか?そんなんだったら嫌だな…)
信之の職業体験には嫌な思い出しかなく、知らない大人しかいない環境で働かされたトラウマがあった。なんなら体験中もずっと働きたくなくてトイレでサボっていた思い出ある。
「1週間後、君たちはリアナ迷宮に実習に行きます。期間は4日間、初日は学校の転移魔法陣を使ってサピエンティア王国北部に行き、そこにある王都リベリタスにて自由行動です。2日目に移動日を挟み3日目に実習、4日目も移動日です。」
(この学校の修学旅行みたいなものなのか…?)
修学旅行にも苦い思い出しかない。中学生の時、修学旅行にて6人の班員とともに旅行先を巡ったのだが、信之は前を歩く5人の後ろをトボトボと着いていくだけの時間で唯一旅行中、話せた相手といえば道端の猫と鹿だけだった。
(まーたクソみたいな思い出しかないな…)
「この実習には成績が非常に大きく関係していて、行動不能のケガなどの不測の事態以外でのリタイアは留年とします」
またもや留年というパワーワードが出てきてクラスがさっきよりもざわついた。
「マジか…」
もう半分絶望していた時、隣からアイラが小声で話しかけてきた。
「ねぇ、あんた大丈夫なの?」
「大丈夫…なはず…」
自信を持って言えない自分が悲しかった。
こんにちわ!あまないです
ようやく一期の終わりが見えてきました…
恐らく見てる皆様方からしたら超短いと思うかもしれませんが書いている人ってめっっちゃ長く感じますね笑。今見ていただいている方々!!どうか!1期の最後まででもいいので見てください!!




