最底辺男子、女子に声をかける
地下にあるG組の重い鉄の扉を開けた俺が目にしたのは、学び舎とは程遠い光景だった。
窓も無い教室。
机は傷だらけで、そこに座る女子生徒たちの首には管理番号が刻まれたチョーカーが巻かれていた。
最下位クラスであるG組に集められた女子たち…うん、普通に可愛い。
俺に対する当てつけで、いや、これは上位クラスに対する配慮と言った方がいいか。
この地下にある教室にしてもそうだ。
一階には七つ以上の教室があるのが見えたんだ。それなのに、わざわざ地下に教室を用意している。
だから女子生徒にしても、先ほどチラッと見えたA組のような可愛い子はG組には居ないと思っていた。
返済の代価として差し出された、人格を剥奪された存在であるという女子生徒。
この子たちは元々上位クラスの男子の担当だったのだろう。
それが急に決まった最低ランクの男子を教育する実験で、俺が来る事になってしまった。
女子の質も落としたかったのかも知れないが間に合わなかったのだろう。
その代わりなのか?制服はお下がりのようなボロボロでヨレヨレだし、髪もわざとらしくボサボサ。
だが隠しきれない美少女感。
きちんとすれば可愛いだろう。
おっと、入り口で立ち尽くしているままでは話が進まないな。
教室を見まわした所、俺の机は無い。
全て埋まっている。
あるとすれば教壇の横、いわゆる担任の先生の机。そこだけが空いている。俺の席はそこなのだろう。でも座っていいのか?
でも、まずは自己紹介からだ!
教壇に立つとやはり気になるのは、普通黒板がある場所に設置された全面モニター。
一番から二十番まで番号が振ってあり、累計ポイントと心拍数が分かるようになっている。俺の心拍数も別にある。
まず思ったのは、このクラスの女子、心拍数が異様に高いなという事。
俺の心拍数が六十なのに対し百二十~百五十と二倍以上の子ばかりだ。
皆、顔を下に向けていて誰とも目が合わない。
みんな緊張して心拍数が高いのか?
「ええと、はじめまして。俺の名前はカズキ、その、一年間よろしく!」
「「「…」」」
そうだよな。
目の前の俺は自分たちを救う存在ではなく、自分たちの残りの命をすり潰すしかない存在だもんな。
無視されて当然か。
ただ、何もしないで居るわけにもいかない。
目の前に居る銀髪の女子、名前が分からないから首のチョーカーに書かれた番号で呼ぶしかない。
「六番の…」
俺が六番の女子に声をかけると、ビクっと肩を震わせた。
それに合わせるように、あきらかに教室の空気が緩んだ。
ホォと息を吐く子。
目に涙を浮かべる子。
全面モニターの心拍数も軒並み下がっていく。
六番の子の心拍数は高いままだが。
「…何?早く『仕事』をすればいいじゃない。どうせ二ヶ月後には死ぬんだから好きにすれば…」
仕事?
俺は話がしたいだけで。
君の名前が聞きたいだけなんだが?
「パルス、流すんでしょ?三ポイントよね?覚悟は出来てるわ。今、ここでシて」
勝手に覚悟を決めないで欲しい。
パルス?
エヴァの歌詞にあったヤツ?
♪熱いパルスで♪
みたいな?
パルスの意味をすぐにでも調べたい!
どこか違う気もする…
もしかして絶頂の隠語か?
三ポイントというのとも説明が付く!
女子が逝くとか言うの恥ずかしいもんな!
だけど、ここでは出来ないだろ!
皆の前でヤる訳にはいかないだろ!
それに俺は早漏なんだ!
出来ればバレたくない!




