暑い時はプールでしょ
『毒抜き当番』も中盤に差し掛かった頃。
学園は連日の猛暑に見舞われていた。
冷房の効かないG組の教室は、充満するニンニクの匂いと女子たちの熱気で、まさに蒸し風呂状態。
汗で張り付くブラウス、透けるブラジャー。
下半身に悪い…
「…あ~、暑い。死ぬ。カズキ、何か冷たいもの…アイスとか、冷やし中華とか、背徳的なやつ作ってよ」
シラユキが机に突っ伏し、だらしなくブラウスの裾をパタパタと仰いでいる。
チラチラと見えるおへそ。うん。いいな。
「冷やし中華か。いいね。でも食材がもう」
俺も毒抜きの副作用?と暑さでフラフラで買い出しに行けていない。
その時、A組のミキが、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「ねぇ。こんなに暑いなら、いっそのことプールに行かない?」
「「「「プール!?」」」」
学園の男子寮の隣、かつてエリートたちが利用していた豪華なプライベートプールがあるらしい。
暑い時はプールだな。
「いいかしら? みなさん、ただ泳ぐだけじゃつまらないわよね?」
ミキが、教室のステージに立ち、マイクを握る振りをする。
「ここに、私たちの『王様』であり、毒に冒された『獲物』でもある、カズキさんがいます!」
また何か始まったよ。
ダメなモノはダメと言おう!
「これから『第一回・ドキドキ水着コンテスト』を開催します!審査基準はただ一つ。カズキさんのデバイスの『心拍数』を最も高くした人が優勝!」
おおっ!いいんじゃない?
皆の水着が合法的に見られる!
「優勝者には、素晴らしい賞品が授与されます!…それは『一日中、カズキさんを好きにできる権利』です!」
「「「「「おぉぉぉぉぉっ!!!!!」」」」」
女子たちの目が、一斉に肉食獣のそれに変わった。
そんなのでいいのか?
「好きにできる」「ごくり」
「優勝者は二人きりで一日中毒抜きをするもよし、自分だけに背徳飯を作ってもらうもよし、あるいは…」
「…コンテストに勝つためには、まず武器(水着)が必要よね。食材の買い出ししながら一緒に水着も買いに行きましょう!」
「「「お~!」」」
俺は、シラユキとミキ、そして数人の女子生徒たちに連れられ、高級ブティックへと連行された。
「…さあ、カズキ。私に一番似合う水着を選びなさい」
シラユキが、試着室の前で腕を組み、俺を睨みつける。なんで、偉そうなんだ?
「え、えぇ、俺が選ぶのか?ビキニでいいんじゃないの?水着なんて、どれも同じ…」
「…バカ、全然違うわよ…私の、この豊満なバストを、一番魅力的に見せるやつ…あなたが、一番ドキドキするやつを選んで…よ」
シラユキは、わざとらしく胸を張り、俺の目の前に突き出してくる。
「っ!?あ、赤…赤い、ハイレグのやつ…コレとか」
俺は顔を真っ赤にして、視線を泳がせながら見つけた、赤いハイレグ水着を指差した。
「…ふん。やっぱり、そういうのが好きなのね…エッチな王様。待ってて着てみるから」
シラユキは、満足げに赤い水着をひったくり、試着室へ消えた。
ふぅ、下着を選ぶのも大変だったが、水着も大変だな。
「次は私ね、カズキさん♡」
ミキが、俺の腕に抱き付いてきた!
「私は、シラユキさんみたいに大きくないけど…でも、カズキさんって、こういうの、好きでしょ?」
ミキが差し出したのは、なんと!『真っ白なスクール水着』だった。
「う、うわあああ!それは、それはダメだ! 反則だ!俺の脳が、脳がショートする!」
「あはは、面白い。カズキさん、耳まで真っ赤…じゃあ、これにするわね。コンテスト楽しみにしてて♡」
ミキは、俺の反応を見て確信犯的な笑みを浮かべ、白い水着を持って試着室へ。
他の女子たちも、次々とギリギリの水着を選び、俺に「どう?」「赤くなった?」とからかいながら、コンテストへの準備を進めていくのだった。




