毒抜き当番
二人に、あんな事やこんな事をされた後。
地下の教室では、元ABC組とG組の女子たちが、一枚のホワイトボードを囲んで真剣な顔で会議をしていた。
【カズキ様・毒抜き当番表】
午前(安らぎ担当):癒やし系チーム、Dカップ以上
午後(刺激担当):テクニシャンチーム、Cカップ以下
深夜(緊急排出担当):シラユキ&ミキ、固定
俺の知らないうちに何か始まっていた。
何だよ、毒抜きって。
「いい? カズキさんは私たちの『共有財産』であり『命の恩人』よ。彼を壊さないように、でも確実に毒を抜く。これが私たちに課されたミッションよ!」
ミキが仕切る『毒抜き組織』。
しかし、よく聞いていると。
その実態は、俺に触れたい、触れられたい女子たちの熾烈なヤキモチのぶつかり合いだった。
「…ちょっと!サキさんミキさん、昨日の壇上でのカズキへのキス。あれ、私たちへの当てつけでしょ!?」
シラユキが身を乗り出して抗議している。
「当てつけじゃないわよ。本心よ。あんなにボロボロになって『エッチなことがしたい』なんて言われたら♡応えないわけにいかないじゃない。シラユキさんこそ、正妻気取って独占しすぎよ!」
「…なっ! 私は、あいつが『もやしと玉子』しかなかった時から支えてたんだから!」
女子たちの激しい言い争いは、最終的に食欲へと転換されたようだ。
「…分かったわよ!そんなにカズキを独占したいなら、もっとスタミナをつけなさい! あいつ、解毒剤飲んでから凄いんだから♡貴女たちが先に倒れたら元も子もないんだからね!」
シラユキ…君、先に倒れてたよね?
俺は朝からフラフラにされたというのに、キッチンへと引きずり出された。
シラユキとミキ、そして背後で見守る女子たちの『もっと凄いのを食べさせて!』という無言の圧力を背中に感じながらキッチンに立つ。
俺が軍資金を惜しみなく投入して作ったのは『背徳の塊・超極厚チーズベーコン丼』だ。
厚さ三センチのブロックベーコンを一塊まるごとカリカリに焼き上げる!
それを炊きたての米の上に、さらに背脂入りの生卵を落とす!
そこへ、溶かしたチェダーチーズとモッツァレラチーズをダムが決壊したかのように流し込んだ!
仕上げに、黒胡椒とフライドガーリックをこれでもかと振りかける!
「はい、お待たせ。みんな、嫉妬してる暇があるなら、これ食べて落ち着いてよ!」
「っっ!!!!」
一口食べた瞬間、女子たちの脳内でドーパミンが暴走した。
チーズの濃厚さと、ベーコンの脂の旨味。そして、俺の「毒抜き」で火照った手が作った、どこか熱っぽい味。
ピピピピピピピピピピピピピピッ!!!
全員のデバイスが狂ったように光り、モニターの数値がまたしても更新されていく。
「…っ、おいしい…でも、やっぱりカズキに触れなきゃ、この熱は収まらないわ!」
「そうよ!食べたらすぐ『毒抜き』再開するよ!」
「「二人だけ、ずるいわ!」」
「「午前中は私たちが当番でしょ!」」
「ミドリ、護衛なら助けてよ。なあ、俺の身体、卒業まで持つかな?…あぁ、ミドリも触られたいのか?頭?いいよ、よしよし…」
俺は、幸せな悲鳴を上げながら、再び『毒抜き』という名の愛の嵐に飲み込まれていくのだった。




