作戦会議
急遽ゲームマスターの中間視察が今日、入学してからちょうど一ヶ月のこの日に行われるという。
これは、俺たち何かやっちゃいましたか?の流れだ。
作戦会議が必要だな!
「いいか、みんな。学園が黙認する電気刺激は、どれだけやっても一人三ポイントが限界だ。二十人全員を合わせても合計六十ポイント。これが、上のクラスが考える『支配』の天井なんだ」
クラスメイトたちは、俺の説明を固唾を呑んで見守っている。
「でも、俺たちが昨夜までに出した数値は…八十を超えた。きっと、このせいで中間視察が行われるのだと思う」
信じられるか?皆、四ポイントずつ持ってるんだぜ。シラユキなんて七ポイントだ。
ご飯食べて、風呂に入って、何か困っている事はないか話を聞いて。
発作を処理してもらっただけだぞ。
「これを今、そのままランキングに反映させたら。上位クラス、または学園の上層部は間違いなく異常だと気づいて、俺たちを調査、または解体しに来るだろう」
「つまり~、目立ちすぎると消されるってことね~」
アカリが腕を組み、真剣な表情で頷いた。
「消される事は無いだろうが、女子生徒の入れ替え、くらいはするかも知れない」
嫌だ。カズキ君がいい。
奴隷には戻りたくない。
ここに居たい。
「そう。だから、俺たちG組は来月の最終日まで『合計ゼロポイント』の最底辺クラスを演じるんだ。まずは今日の視察をゼロポイントで乗り越える」
「「「は?」」」
「えっ!?ゼロポイント!?そんなことしたら最下位で『家畜』送りに…」
一人の女子が不安げに声を上げた。
「大丈夫。来月のランキング発表の直前、残り一分で俺がみんなに『合図』を送る。その瞬間だけ、みんなで俺のことを、その、名前で呼んで欲しいんだ!感謝を込めて」
「「「…………!!」」」
今日までアカリ指導のもと、実験を行ってきた。
どうしたらポイントが下がるのか。
どうしたら上がるのか。
色々と分かってきた。
満足度を上げる下げるは好感度のような物。
みんなの嫌がる事をしていればゼロポイントになる。
みんなが好む事をすれば上がる。
そして「カズキ君ありがとう」
「カズキ様(考察厨の私と話して)」
「カズキ(好き)」「カズキ(私が守る)」
俺の名前を感謝を込めて呼ぶ。
なんだか違う感情が乗ってる気がするが。
それだけでも一ポイントが入るのは実験済みだ。
「みんなには嫌な思いをさせるかもしれないけど。G組は、俺は他のクラスの男子から最底辺だと思われている。それを逆に利用して目立たずに勝つ!」
「…分かったわ。それじゃ、ポイントを下げてくれる?」
「シラユキ…」
ママ活、ミドリとのペアルック、シラユキ《《さん》》。シラユキのポイントが下がる嫌な言葉を並べた。
よし、これで全員が四ポイントで並んだな。
あとは一気に全員のポイントを下げる。
「みんな、深夜の背徳グルメは止めよう。最近みんな太って…ひぃぃ!嘘だから!ポイントを下げるための嘘だから!怖いって!」
みんなの目がマジだ…
「少しくらいポッチャリしているくらいが…ひぃぃ!」
「胸に栄養が行くから…ひぃぃ!」
「違うから!小さくても好きだから!知ってるだろ!お風呂で興奮してるの!」
「おい!なんでポイント上がってるんだよ!」
ポイント管理も楽じゃない…
なんとかポイントをゼロにして皆で講堂にやってきた。
既に全校生徒が揃っているのだろう。
A組男子の周りはハーレムのように上位奴隷が囲み、肩を揉んだり飲み物を口に運んだりしている。
少し離れた所に下位奴隷が生気もなく死んだような顔で下を向いている。
B組C組女子は全員が覇気がない。
女子同士で話をするでもないし、動きが鈍い。ため息が多い。
疲労かストレスか、うつ病みたいだ。
DEF組は女子全員が怯えている。
俺たちG組女子は…
作戦通り絶望を演じていた。
床に座り込み、虚無の瞳で壁を見つめている。シラユキにいたっては、ボロ布のような毛布を被って丸まっている。
おい!どこから持ってきた!w
笑う訳には行かない、俺たちは絶望のG組なんだから。
でも、そんな事よりマズい事が起きている。
G組女子が美少女過ぎる!
ボロい制服を着ているものの。
髪はツヤツヤ、肌はプルプル!
他のクラスとの差が激しい。
他の女子の髪は、どこかベタつき、肌もボロボロ。
何で?
他のクラス女子は週に一度の温水シャワーが許されている?
一度?温水?
私たちと違うのは温水を使える事だけ?
冷水じゃないだけマシ?奴隷だから。
アイツら女子を風呂に入れてないのか?
化粧水も無し。
普通なの?
え?ご飯も具が無いカレー食べてるの?
王だけ男子寮で豪華な食事なの?
これ、マズいよな。
高級シャンプーにちょっとだけ高い化粧品。
やり過ぎたか。
今さら元に戻す気は無いけど。
せめて髪だけでもボサボサにしてくれば良かった。
強いて悪い所を上げるとすればニンニク臭いという事くらい。
そんな俺の焦りも知らずにG組に近寄る男。
A組のアイツだ!
女子を替えろとか言わないよな?
「ふん、情けない男だ。奴隷も生きるのを諦めているのか。奴隷諸君、こんな無能な王に仕えたことを後悔しながら、来月には工場へ行く準備をしておくがいい!ふはは」
なんかセーフ!
俺が焦り、頭を抱えていたのを良いように解釈してくれた。
そうこうしている間に壇上にゲームマスターが登場したんだ!




