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限界転移者の異世界人情旅 ~どんな理不尽も人情と呪印で乗り越えます~  作者: 山田 太郎丸


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3/5

3.

 



 謝ったら許して………もらえないよなぁ。不法侵入がどうとか言ってたし。普通に俺お尋ね者だよなぁ。




「よし…反対方向に歩いてみよう。ここが大陸の端だったら詰むけど」




 マップにはモヤがかかっていて見えないけど、大きさ的にここは真ん中辺りなはず。だから詰む心配は無いと思うけど、万が一がある。


 街を超えて指名手配とかされてなければいいけど、その場合は大人しく捕まろう。ある程度働けば許してもらえると信じよう。













 三日三晩歩き続けた。存在強度は体力にも影響を及ぼしていたようで、休憩を挟みつつもなんとか足を動かせていた。

 でももう限界。三日間で口にした物は、そこら辺に生えてた食べられそうな雑草とナッツみたいな木の実。それに川の水を飲んだだけだ。魚もいたけど、処理する手段が無かった。


 倒れそうになる身体に鞭を打つ。すると、背後から馬の蹄のような音が聞こえてくる。馬車だ。

 こんな所を死に体で歩いているのを不思議に思ったのか、馬車が俺の前で停止した。




「おいヘンテコな格好のそこの兄ちゃん、こんな所で何してるんだ。クランデミアまではまだまだ距離があるぞ?」


「クランデミア………ってどこです?」


「いやいや、かの有名な中立都市を知らないなんて、冗談にしてはちときついぞ。あんた何者だ?」




 怜は、制服という見慣れない格好とこの世界の常識を知らないことから、御者の男に怪しまれてしまう。さらに馬車の中から武装した男たちが降りてくる。

 武器を構えた男たちに取り囲まれ、どうにかこの状況を切り抜ける言い訳を探す。




「まさか、どっかの国のスパイか?」


「違う!俺は…その……………た、大陸の外から来たんだ!気が付いたら知らない土地にいて、三日三晩ここまで歩いたんだけどもう限界で………」


「大陸の外だと?にわかには信じ難いが、実際にこの大陸の物とは思えない骨董品は存在する。あり得ない話じゃないか………」


「それならその奇怪な身なりにも説明がつく。いいぜ、乗っていきな」


「…!ありがとうございます!」




 その場凌ぎの出まかせだけど、何とか信じてもらえたみたいだ。骨董品ってのも気になるし、いずれ探してみるのもいいな。

 俺は早速馬車に乗り込み、中立都市とやらに向かう。


 馬車が動き出すと、さっきの男の人たちから自己紹介を受ける。




「俺はレドーという。こっちのチャラいのがメリル、背が高いのがポーノだ」


「メリルっす!よろしくっす!」


「ポーノです。君のことはなんと呼べばいい?」


「レイといいます。助けて頂いてありがとうございます。ところで皆さん、もしかして冒険者ですか?」


「ああ。『緑の荒鷲』ってパーティーで活動してる。これでもそこそこ名の知れたパーティなんだが」


「この大陸ではね。大陸の外から来たんじゃ、僕たちの常識は通用しないんじゃないかな」


「あはは…すいません、ご迷惑をお掛けして」



 その後、彼らからこの世界の常識を一通り教わる。冒険者について。入場料や通行許可証について。

 そしてこれから行く、中立都市クランデミアについて。



「クランデミアには、大陸中からありとあらゆる物資や人材が集まる。五大国のどこからも干渉されず、独自の管理体制が敷かれているからな」


「冒険者ギルドの本部もクランデミアにあるんすよ〜。宿屋もいっぱいあるんで、冒険者として身を立てるならまずはここからって人も多いっすね〜〜」


「冒険者カードは身分証にもなります。カードには特殊な刻印が彫ってあって、それでランクや依頼の達成率、犯罪歴なども記録されているんです」


「クランデミアに着いたら、真っ先に冒険者ギルドへ行け。ギルドはお前みたいなあぶれ者も歓迎してくれるはずだぞ」



 マジか。想像以上に冒険者の地位が高かった。なるほど、そりゃ稼ぎも良くなるわけだ。

 つまり、そうしなければいけないほど、この世界には危険が蔓延ってるってことでもあるんだよな………。




『緑の荒鷲』の人たちとあれやこれやと話していれば、あの街とは比べ物にならないほど大きな都市が見えてきた。



「さあ着いたぞ。ここが、中立都市クランデミアだ」




 怜の入場料は、レドーが負担したのだった。











 ——— ——— ——— ——— ——— ——— ——— ———










 一方その頃。五大国が一つ、グロリア王国では、秘密裏にある儀式が執り行われていた、




「フハハハ、遂に我がグロリア王国が大陸に覇を唱える時が来たのだ!」


「この勇者召喚の儀が成功すれば、他の国とは隔絶した戦力を確保できましょう」


「その暁には、あの忌々しい中立都市から葬ってくれようではないか!!フフ……ハハハハハハ!!!」




 そこに在ったのは、愚かな王と黒いローブに身を包んだ得体の知れない男の姿だった。




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