表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宝くじ10億円でアバター救世主を請け負ったら、助けた英雄達が全員ヤンデレになってました。  作者: 無限飛行


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/51

第45話 冒険者への道4(背景と魔森)

「アルト、おはよう!」

「お?おおアリアかよ!?おはよう。って、この時間まで討伐か?相変わらずだな、お前ら」

「討伐じゃないよ。薬草採取の依頼だからね」

「ベス、その説明は説得力に欠けるぞ。そのグレートウルフ背にあるのはキングベアの手だろう?また随分と狩ってきたな!」

「嘘はついてないわよ。ギルドの依頼は薬草採取。ほら、ちゃんと依頼書もあるわ」

「はあ、それがなんでキングベア討伐の証拠がそんなになんだ?採取薬草も量が異常だし少しは自重してくれ」

「アリアに言ってくれる?私は薬草採取だから」

「タロが勝手にやっただけ。私はちょっと手伝っただけだから」

「お前ら、いつもそうだな。いい加減にしてくれ⋯⋯さあ通った、通った!」

「本当に薬草採取だったんだからぁ!」

「分かったよベス、いいから通れ!」



いつものように門番のアルトに急かされ、私達は町に入っていく。

これが最近の日課になった。

この西出入口の朝方警備はアルトだから、すっかり顔なじみといっていい。

因みに彼は25歳独身でギルドの受付嬢にほの字なんだとか。

奥手過ぎて未だ恋は叶ってないらしく、さっさと告白でも何でもして当たって砕ければいいのにとも思う。

あとアルト以外の門番はタロの姿に遠巻きだ。

従魔化してると伝えてあるが、怖いものは怖いらしい。

なお、私達は町に入る前に全身を隠すローブを付ける。

S級やA級の装備は羨望の的だし要らぬ誤解を招いて馬鹿な輩が寄ってくる。

出来るだけ波風は避けたいところだ。


そしてタロはここで別れる。

従魔化してるとはいえ、町に表立って入れる事は避ける為だ。

もちろん門番達にタロの存在は秘密にして貰っている。

領主とサーベルで決めた事で、出入りする通用門も領主専用の通用門。

当然ながら不特定多数の人物の目に触れる事はない。

タロの荷物はここで門番に受け渡され、私達は手ぶらで町に入る事になる。

まあ、別れるとは言ってもサーベル御殿では再会するんだけどね。



「タロ、また後でね」

「ば、バイバイ、タロ」

『バウッ』


ヒュウッ



その一瞬でタロの姿は消えた。

門番達もキョトンとしている。

実は私も最近まで知らなかったが、タロはその気配も姿も消す特技を持っている。

いわゆる《隠蔽》という力らしく、タロからの何となくの伝心で知ったところだ。

もちろん私達が背に乗った状態でも一緒に姿が消えるらしい。

これを知ったサーベルと領主は頭を抱えたのを覚えている。

だから町の門を通過するのは儀礼的なものに過ぎない。



「なあベス、あれは本当にグレートウルフなのか?」

「私に聞かれても困るわよ。だいたいグレートウルフって言ってるのはアルトが勝手に決めつけたんじゃない」

「そ、そうか?しかし姿を消せる魔獣はグレートウルフじゃないよなぁ」

「当たり前じゃない。神獣ってアリアは言っていたわよ」

「シンジュウ?何だそりゃ。聞いた事ないぞ」

「私もよく分からないけど、グレートウルフでない事は確かね」

「そうだよなぁ」

「ベス、冒険者ギルドに寄っていこう」

「待ってアリア。それじゃ私達は行くから」

「お、おお、分かった。気をつてな」



この西出入口は最も魔森に近い出入口となり、主な通行人は冒険者ギルド下の冒険者が殆どだ。

ブロンキスの町は開拓村を除くと、魔獣被害を押し留めている最前線にもあたる。

こんな朝方でも冒険者がチラホラと通行しているのだ。

一般通用門を右手に見ながら、こっそりと領主専用門の門番出口から町に入る。

誰にも気づかずに門を抜けて町の大通りをギルドに向かった。





ブロンキスの町は5つのエリアに分かれている。


❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇

❶この町を統括する領主と家族が住まうエリアが町の中央。

❷その周りを領主に仕える騎士や使用人、その家族が住まう住居エリア。

❸次にあるのが町の商人街と冒険者ギルド、商業ギルド、宿屋などの宿泊施設が多いエリア。

❹それに関連した加工業や商業で働く一般市民の住居エリア。

❺貧民街を中心とした西側外壁に最も近いエリア。

❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇


その他に町西外に開拓村があるわけだ。


開拓村は町と魔森の境に点在し、今も過酷な環境を強いられている。

犯罪者の村という位置付けではあるので、懲罰的意味合いがある為だと云われている。

だがその殆どが冤罪や迫害により移動を強いられた人々であり、勝手に国が要らない存在と認定した者達に過ぎない。

その大半は貧民街出身者で占められ、帝都の貧民排斥が開拓民の主な供給源となっている現実がある。つまり彼らは犯罪者でもなく国家政策の被害者という事なのだ。

ブロンキスは領主を始めその背景を知っているので、水面下での彼らへの援助は惜しまない。


ただ表立っての活動は冒険者ギルドに委ねられており、開拓村が魔獣被害対策の為に冒険者を雇う場合は相場より安く雇う事ができる。

最終的には成功報酬にギルドを通じて町から補助金が下りる仕組みだ。

これはブロンキス町冒険者ギルドと領主との間で内々で行われている事で、国は一切関知していない。

それでも守りが薄い開拓村が5年先まであるのは稀で、統合と新設の繰り返しは続いている。


何とも酷い話だ。

私達に出来る事は少しでも凶悪な魔獣を狩り、少しでも開拓村に魔獣が押し寄せないようにする事しかない。

対処療法に過ぎないが、今の私達が出来る事はこれくらいしかない。


それでも西に広がる魔森は素材の宝庫。

魔森は未開地だから開拓村の領分なのだが、そこに住む魔獣や植物からは貴重な素材が多く取れる。

町の産業は今も昔も狩猟産業で成り立っていて、開拓村ができる以前からその形は変わらない。


だからこその商業街。

辺境に似つかわしくない商人が意外と多いのは、魔獣の素材取り引きで町が大きく発展してきた経緯があるからだ。

ここの魔森は飛び地のように有る帝国内のどの魔森よりも規模が大きく、深く、どこまでも広がっている。

地球でいうアマゾンの大森林地帯を想像すればいいだろうか。

恐らくだがその全容は衛星写真でなければ捉えられない規模であり、その深淵を探って帰ってきた探検家や冒険者は未だ居ない。













❇❇❇❇



ガヤガヤガヤガヤッ


バタンッ



西部劇に出てくるようなウエスタンドア?似の簡易半切りドアを開けて冒険者ギルドに入る。

手前の酒場兼用待合ホールを抜けギルド受け付けに向かう。

24時間開いてるギルドは、夜通したむろする冒険者達の巣窟でもある。

入り口から受け付けに向かう通路は《洗礼の通路》とも云われ、駆け出し冒険者や年若い者を先駆の冒険者達が酒の肴として捻じったり、ちょっかいを出す事で有名だ。

当然かなら《洗礼の通路》には沢山の足が投げ出されており、新人冒険者の登竜門のようになっている。

まして年若い女が二人、絡まれるのは必然でもあった。



「おーと?これはこれは、こんな朝早くから新人冒険者の二人がいったい何用かな?」

「ゲヘヘ、おいベス!こっちきて酌をしろや。どうせ薬草拾いをしてたんだろう?そんな小銭ぐらいなら俺の酌をして尻を触らせたら払ってやるけどな」

「ガハハハッ、昨日もアリアちゃんの子守ってか?まあ、少しは成長出来たようだが、女としてはまだまだだ。ベスが娼館に入ってくれたら一番にそのデカいパイオツをモミに行くんだがな」

「ははは、全くだ。俺の息子が疼いて堪らねーぜ。娼館なんて面倒くさいから今日から俺の女になれや、なあ?」

「⋯⋯⋯糞が⋯⋯」

「アリアちゃん、しっ!」



最悪だ。

まさかギルドの厄介者、ロドリゲスとダグマンが居るとは思わなかった。

毎度毎度ベスに絡んでくるアウトローみたいな二人の男。

トサカ頭のロドリゲスに、顔半分にヘビの入れ墨があるスポーツ刈り頭のダグマン。

半裸の姿で革製のハーネスベルトみたいな小物入れポケットがあるものを付け、革製パンツに黒ブーツと鉄製の腕輪、そして鞘付大剣を背中に背負っている。

みるからに近寄りがたい風貌の二人だが、やたらにベスをターゲットに寄ってくる。

この二人に会わない為にいつもこの時間にギルドに入っているのだが、どうやら二人は昨夜から酒盛りをしていて夜を明かしたようだ。。



「あ?アリアちゃん、何か言ったかい?」

「おおい、よく聞き取れないなぁ。もう一度言ってくんない?大声でさぁ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ