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宝くじ10億円でアバター救世主を請け負ったら、助けた英雄達が全員ヤンデレになってました。  作者: 無限飛行


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第40話 生い立ち

リングルベル。

それがアリアのルーツなのだろうか。

なら、ハンギ兄弟に殺された彼女の両親は使用人の夫婦だった?

分からない、全て憶測に過ぎない。

だけど何故だろう。

その言葉から離れられない。



「その、リングルベルが私の生家だと」

「あくまで可能性の話だ。まあ、お前がリングルベルの家門に繋がる何か、紋章のような物を持っていれば別だがな」

「⋯⋯⋯⋯⋯」



実は巨鳥を解体しようとした時に見つけた錆びついた刃毀れのあるナイフ。

水で洗ってよくよく見れば、その柄の部分に翼の彫刻が施されていた。

しかも金細工の加工が施されていたのだ。

日本でもそれなりの値がつきそうなアンティークナイフ。明らかに平民以上の特権階級の持ち物だと理解した。

後で売れば小銭を稼げるなどと不埒な事を思っていたのだが、サーベルの話から色々と符合が揃ってきて心臓が鳴り止まない。


だけど万が一にもアリアがリングルベルだとしたら、サーベルはどうするつもりなのか?

彼の意図が見えない中でナイフの事を明かすのはリスクでしかない気がする。

どうするのが良いのか、正解が見えない。 



「因みにリングルベルの家門は左右に広げた白い翼だ。翼を持って自由に羽ばたくリングルベル。初代皇帝から皇帝に次ぐ権限を持っていた頃の象徴だな。それだけリングルベルは皇家から信頼の厚い侯爵家だったんだ」

「⋯⋯!」



私はもう一度手元に掴んだナイフの柄を触って確信した。

色はともかく彫刻は、間違いなく左右に翼を広げている⋯⋯⋯確定だ。

アリアはリングルベル侯爵家唯一の血を引く一族と云う事になる。

何という事だろうか。

アリア本人の魂は既に輪廻に入り二度とこの身体に戻ってこないのに、私が彼女の無念を晴らしたいと思う気持ちが更に強くなってしまった。

ああ、何故だろう。

何かが胸を熱くする。

これは私の気持ちなのか、アリアの身体が反応しているかは判断がつかない。



「⋯⋯あるんだな。リングルベルの証が」

「な、ぜ!?」

「気づいていないのか。お前は今涙を流している事に」

ばっ「!!」



慌てて頬を両手で押さえたら、ほんのりと手に光るものが付いた。

気付かなかった。

私は知らぬ間に涙を流していたのだ。

まるでアリアの身体がリングルベルの家族を想って、恋しいと感じているかのように。



「な、ぜ⋯⋯⋯⋯⋯?」

「当時乳飲み子だったとしても、魔法の才を持つ者は直感で正解に辿り着く。お前の涙はリングルベルが間違いなく、お前の血筋だという事を無意識に理解したんだろう。さあ、悪いようにはしない。証を見せてみろ!」



サーベルの目は明らかに私の機微を見抜く特別な力があるようだ。

もはや言い逃れは出来ない。

私は懐に持っていたナイフを取り出しサーベルに手渡した。


それをじっと見つめるサーベル。

その目には何か自身の野望を追求する強い決意の光があった。

打ち明けたのは失敗だったのだろうか?

僅かにほくそ笑む彼に、私の直感は強い危機感を感じざるおえない。



「⋯⋯私がいた小屋には古ぼけた刃の欠けた、そのナイフしかありませんでした。これがその繋がる何かなら、私はどうすればいいでしょうか?」

「間違いないな。お前は正真正銘、リングルベルの忘れ形見だ。くくっ、ついに俺にも運が向いてきたというわけだ。ふはははは!」

「!!」



失敗だったのか!

サーベルの反応は明らかに野心だ。

彼は恐らく私を皇家に差し出す貢物と捉えているのだろう。

全身に緊張が走る。

私は彼に警戒しながら後退りを始めた。

このまま捕まるわけにはいかない。

隙を見て逃げ出そうと背後の下階層に降りるドアを伺い見ていると、サーベルが私の動きに気づいたのか口を開いた。



「すまんすまん、警戒させたようだな。ああ、お前が考えているような事にはならないから安心しろ、って言っても信用が無いか。とにかく慌てて出ていく事もないだろう。まあ話を聞け」

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」

「言っておくが、今俺が笑ったのはリングルベルと接点を持つ貴族派閥に近寄れると思ったからだ。つまり、お前の味方になる方々がいる」

「味方?」

「そうだ。リングルベルの反乱を冤罪だと、ずっと主張している貴族派閥がいる。彼らは血眼にお前を捜しているんだ。リングルベルを再興し、この冤罪を招いた人物を断罪する為にな」



味方!?

それも力のある貴族がアリアを捜している。

まさか考えもしなかった展開だ。

それが本当なら私の、アリアの為の復讐が叶うのかも知れない。

そしてアリアと本当の両親の仇を取れれば、少しはアリアの供養になるのだろうか。


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