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宝くじ10億円でアバター救世主を請け負ったら、助けた英雄達が全員ヤンデレになってました。  作者: 無限飛行


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第39話 国の不条理

その後、サーベルが話した開拓村の真実は次の通りだった。


まず町の開拓民に対する扱いだが、基本的に開拓民は犯罪者の位置づけとなっている。

大半は軽微な犯罪者なのだが、中には中央で反乱を企てた貴族など、政治犯の子や妻も含まれていたりするそうだ。

そういった人々の流刑地の一つがブロンキス郊外の開拓村となり、町は原則として中央から開拓民への直接支援を禁じられているらしい。

理由は流刑地なのに普通の生活が出来るのはおかしいと云うのが国の見解だ。


しかしながら開拓民は移動の自由以外の権利は認められている。

自分達で開拓した土地を所有できる権利。

自分達で作り出したものを所有使用出来る権利。

開拓が進み一定以上の収量を得られるまでの間の納税義務の免除など、だ。

確かに初期に何も無い状況からの立ち上げは辛く苦しい事だが、それなりの人数があるグループでの入植だし、作物が育てば町との交易は成り立つ見込みはある。

町はあくまで公的援助が出来ないだけで、民間レベルの交流まで規制する事はしない。

結果、開拓村事態が自立出来るなら、それは人道から大きく外れるような事では無い事が分かる。



「もちろん人道に繋がる開拓村からの要請は冒険者ギルドが町に代わり受ける事が出来た。だがら魔獣の討伐依頼はギルドが開拓村からの要請に応じていたんだ。費用はもっとも安定して長く運営されていた開拓村が支払う事が出来た。開拓村同士では助け合いは密接に行われていたからな。だが今回、そういった古参の開拓村まで廃村した。全ての原因は魔獣達の活性化だ」

「活性化、ですか?」

「ああ、先に話した通り近年は魔獣が森から溢れる事態が多発し、町のギルドが冒険者を他の町から集めている事は言ったな?これはブロンキスに限った話ではなく、魔森を抱える他の辺境町でも起きている事態だ。その為に冒険者の救援が間に合わず古参の開拓村が二つも全滅する事態となった。これで当面ブロンキスには開拓村は根付かないだろう」



つまり開拓に慣れた古参の大きい開拓村が潰れた。

背景には魔獣の活性化があるわけだが、古参が潰れた為に《助け合い》が機能せず、今後は脆弱な新規立ち上げの開拓村になってしまうと云う事だ。

当然ながら魔獣の活性化が明確な事態。

本来なら開拓村を新たに開くのは抑制されるべき状況であるわけだ。



「それでも国はここに開拓民を送り込む。辺境開拓は国家戦略の要だからだ」

「それは無意味では?!第一そんなに都合よく沢山の罪人が生まれる訳もないでしょう?」

「無意味と言ったな?それは現場を知る人間の言葉だ。中央に現場を知る者は居らず、この事業で金を得ている人間がいる。国も国家戦略と位置付けた以上直ぐに止める事は出来ない。そして罪人の融通だが罪人が居なければ罪人を作ればいい」

「罪人を作く、る???」

「そうだ。罪人は低階層、貧民街の連中を充てがう。今帝都は貧民街を無くす再開発プロジェクトが稼働している。当然そこに住まう人間達はプロジェクトの弊害だ。不法占拠などの微罪を適用してどんどん此方に送り込むだろう。まさに一石二鳥というわけだ」

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」



現場と中央の乖離。

日本にもお役所仕事という言葉がある。

硬質化した行政はイレギュラーを嫌い今迄通りの業務に固執する。

既得権益があれば尚更で、携わる人間は業者と癒着して予算を食い物にし国のシステムを簡単に劣化させてしまう。

そして最後は不法行為の温床となるのだ。



「このままでは何度も開拓村が作られて多くの人間が命を失うだろう。また孤児も沢山生まれるかも知れない。生き延びればの話だがな」


ぐっ


思わず拳を握った手に力が入る。

これはもはや国家規模の犯罪、まさに国の理不尽ではないか。

ひとでなしの所業だ。

こんな事がまかり通って、中央に誰も止められる人間が居ないのだろうか?



「リングルベル⋯⋯」

「?」

「リングルベル侯爵家。かつて帝国の良心と言われ、腐敗した貴族社会の中で唯一純粋に帝国民の為の政治を提唱した前宰相家の家門だ。リングルベルが今も要職にあったなら、こんな横暴は許さなかっただろう」



リングルベル⋯⋯何だろう。

とても気になる響きだ。

まるで身体が覚えているような、とても懐かしい響きを感じる。



「ではそのリングルベル侯爵家に、もう一度要職について貰う事は出来ないのですか?」

「リングルベル侯爵家は他国と共謀して反乱を企てたされ、その家門は取り潰しとなった。6年前の事だ」

「取り潰し⋯⋯」

「だがこれは冤罪だという噂で持ち切りだ。リングルベルは前皇帝アウグスト3世の懐刀として皇家に絶対の忠誠を誓っている。他国との小競り合いでは、その類まれな魔法力で帝国に幾多の勝利を齎した。逆に他国からは相当に恨まれていたはずだ。それが他国と共謀などあり得ないわけだ」



何だろう。

胸の鼓動が早くなる。

アリアの身体が反応している?!



「じゃあ、リングルベルの人、達は?」

「当主を始めその血筋は皆処刑された。唯一行方不明の孫娘を残して」

「!」

「孫娘は当時生まれたばかりの乳飲み子。リングルベルに仕えた使用人夫婦が摘発前に連れて屋敷を出た。しかし執拗な捜索が行われたが見つからず行方不明とされた」

「⋯⋯⋯乳飲み子⋯⋯6年前⋯⋯」

「リングルベル家の魔法の才は水魔法。家系は全員水色の髪色なんだそうだ。そう、今のお前のようにな」


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