第35話 友達
少し時間は戻って⋯⋯⋯⋯当日の朝方。
「ベス、おはよう。朝方から悪いけど話を聞いてくれる?」
「むにゃむにゃ、アリア?おはよう。随分早起きね?」
「うん、それでね。私の友達を紹介したいんだけど、いいかな?」
「ともだち?ともだちってアリアの友達?」
「そうだよ。私の友達」
「アリアの友達って元の開拓村の子?」
「少し違うけど開拓村近くの森の子かな?」
「開拓村近くの森の子???」
「うん、そう」
「⋯⋯⋯アリア、あなたは知らないかも知れないけど、開拓村近くの森は《魔の森》と云われていて魔獣だらけの危険な森しかないの。だから定期的に町の冒険者達が魔獣を狩ってるんだよ。そうしないと魔獣が森から溢れて大変な事になるから。開拓村が廃村になった理由を聞いたでしょ?あれは森が溢れた結果なの。そんな森に人が住むのは自殺行為よ。本当に森に住んでる子なの?」
「森に住んでいた⋯⋯まあ、人じゃなくて、白くてフワフワな愛犬だから」
「白くてフワフワなアイケン??」
「呼んだ方が早いか。タロ」
『バウッ』
ズィーッペタ
私の言葉を受けて、タロが頭を窓に突っ込んできた。
そしていつも私にするように鼻先をベスの頬にくっつける。
ん、私の愛犬はいつも可愛い。
「ほら、愛犬のタロだよ。ベスに紹介したかった私の友達。白くてフワフワで、とっても可愛いんだから⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯?ベス??」
バタンッ
「え?た、大変だ!ベスが白目むいて口から泡を出してるぅ!?だ、誰か!!」
『バウゥ?』
ベスが突然倒れてしまった。
口から泡も出てるし気絶してしてる!?
理由が全く分からない。
まさか何かの病気に掛かっていたとか?
バタンッ
「何だ?どうしたんだ?!」
「ああランベル、いいところに。ベスが急に口から泡出して倒れ込んだの。何かの病気だったらどうしよう!」
「ベスが病気だって?いったい何の病気に??」
べローリッ
「ら、は?ν∪ξξπθθθθ????」
「こらタロ、むやみに人を舐めないの!」
『バウゥッ』
「!!!!!!うわあぁアアアーッ?!!!」
ドタンッバタンッガタンッ
「ええっ?ランベル、大丈夫??!」
ランベルが真っ青な顔でベスの隣に卒倒した。
直ぐに確認したらベスと同じように気絶してる。
並んで気絶は幼馴染だから?
仲がいいとはこういう事を云うのかも。
「じゃなくて、これはどうすればいいの?」
カタンッ
「!」
物音に気づいて振り返れば、あの幼い幼稚園児くらいの子供達。
ランベルとベスの弟分と妹分の子達だ。
今の騒ぎで起きてきたらしい。
「大っきな怖いのがいる」
「ランベルおにぃとベスねぇが寝てるよ」
「新入りのおねぇちゃん、でっかい白いのの側にいて平気なの?」
「わかんないけど、あんまり怖くないみたい」
ドアから顔を出し此方を伺っている。
タロの大きさに圧倒されてるようだ。
いくら可愛いくても大きなタロを初めて見たら誰でも躊躇するよね。
「みんな、これは私の友達のタロだよ。宜しくね」
『バウッ』
お?私の言葉に一人代表?してコチラに女の子が歩いてくる。
なけなしの勇気を出して、でもタロに興味があって、という事だろう。
「アキンだよ、おねぇちゃん。その、わ、わたしも白い大きいのと、ともだちになれる、かな?」
「アキンちゃんっていうんだ?うん、タロは皆んなと友達になりたくてココに来たんだ。だからアキンちゃんとも友達になれるよ」
「タロ⋯⋯ちゃん?」
『バウッ』
「お返事、した!」
「そう、タロはアキンちゃんが好きだって」
「ほんとに?触っても怒らない?」
「うん、大丈夫」
アキンちゃんは恐る恐るタロに近づく。
タロは近づくアキンちゃんを見ているが、私の指示で動かないようにしている。
そしてアキンちゃんは怖いけど好奇心の方が勝ったようだ。
近づいてそっとタロのお腹に手を伸ばす。
「ふわふわ~」
「でしょう?ふわふわ~で可愛いんだよ」
「大きいけど可愛いの?」
「大きいから可愛いの」
「そっかぁ、大きいから可愛いんだ」
『バウッ』ペロッ
「はわわっくすぐったいよぅ」
「アキンちゃん、タロとお友達になったね」
「うん、おともだち」
「「「「「「わあああーっ私もー」」」」」」
「「「「ぼくもー」」」」
アキンちゃんの様子を見て安全だと分かると、ドアの前で躊躇していた子らが一斉に部屋に入ってきた。
そして代わる代わるにタロに抱きついていく。
うん、すっかりタロは皆んなの人気者だね。
『バウッ』




