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天然牢獄  作者: niya
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6/7

二日目。十四時二十三分。

暇で怠惰な時間を横になり過ごすマウリだったが、その身体に振動が襲う。

「うわっ! なんだこの揺れ!」

 ペットボトルに入っている水が小刻みに揺れた。

揺れている最中、姿勢を屈め匍匐前進しながら壁へと近づいていった。そこから見た風

景はまたもこれまでに見たことがない光景だった。そこには独房から見て奥に位置した場

所で、土が盛り上がりそれが独房のある位置方向に迫ってくる。ある程度まで進むと前進

を停止させた。それに伴い、振動も治まった。

「あそこに何か居る?」

 何かは分からないが、土の中に何かが居るのは確かだった。

「ここは俺を何度驚かせるんだ」

 マウリが注視して見ると盛り土の中から、何かが急に飛び出した。それはクラーケンの

触手を思わせる長いものであった。同時に土煙が舞う。その何かは上空へと目掛け向かっ

て行く。その数秒後だった。空から何かが、異様な音を響かせながら落下してきた。地面

に衝突すると同時に更に大きな音と濃い土煙が舞う。土煙が落下地点を覆い、落下したも

のを隠していた。徐々に煙が空気の流れに掃除され、落下した地点から何かが現れた。

「鳥の……化物!」

 そこには、大きな羽を持っていはいるが、体型は人間のように直立二足歩行をで地面を

立っている鳥の化物であった。炎のような赤い羽が全身を覆う。薄っすらと空気の流れが

羽を揺らす。まさに神話に登場するガルーダを彷彿とする姿だ。

この構図は、地中に居る何かがガルーダに対し、明らかに喧嘩を吹っかけたと言っても

過言ではない状況だ。マウリはこの状況に固唾を飲んで見守るしか手段が無かった。

ガルーダは頭部をテイクバックすると口を大きく開き、ガルーダの口内から強烈な空気

流を吐き出した。ミストが混ざった強烈な空気流は、盛り上がった土に直撃する。それは

可視化された為にマウリにも確認できた。激しい空気流が直線的に盛り土へと直撃し、激

しく土煙が舞う。ガルーダの空気流により徐々に盛り土の下に潜んでいた何かが正体を現

していく。そこにはまるで大きな蠍、スコービオンが居た。身体は鋭そうな繊毛と赤黒い

硬い皮膚で覆われており、手にあたる部分は巨大なハサミを両手に備えていた。スコーピ

オンの口部分には顎が激しく上下動いている。

「気持ち悪っ!!」

ついマウリの口から本音が零れ落ちた。仮にガルーダにも言葉を発する能力があれば、

マウリと同様なことを口から出たかもしれない。

ガルーダは倒れた木を思いっきり蹴っ飛ばした。全力で蹴り上げた木は、上下左右にと

回転しながら宙を舞い、スコーピオンのボディに直撃した。スコーピオンはまるでベルの

ような金切り声を挙げた。これを好機と見たガルーダは、次々と倒れた木々を豪快に蹴り

飛ばした。複数の木々が空中をスコーピオンへと目掛けて飛んでいく。スコーピオンはそ

れに応えるかの如く、両手のハサミを振り上げた。右手のハサミで大木を払いのけ、左手

のハサミで大木を捕らえ切断した。また、先に針を持つ大きな尻尾を派手に動かし、大木

のド真ん中を突き刺す。その後、その場に投げ飛ばした。周囲にスコーピオンにかわされ

た複数の木々が無造作に転がっている。

「あの木を薙ぎ払うってどれだけのパワーを持っているんだよ」

 スコーピオンが今度は仕掛けた。巨大な尻尾を振るい、勢い良くガルーダに突き立てよ

うと迫る。スコービオンの攻めに何もせず餌食になるガルーダではない。ガールダも口か

ら突風を吹き付けた。途中まで速いスピードで迫っていたが、突風に負け勢いを失い、吹

き飛ばされる。尻尾が半円を描き、また所定の位置に戻った。ガルーダは空気を吐き続け

目標を尻尾に定めていたが、目標を変更しスコーピオンのボディへと吹き付ける。強烈な

突風がスコーピオンを襲う。その猛風は非常に強く、まるで竜巻のようでだ。ガルーダが

吐く突風がスコーピオンを襲い続け、猛風であるために徐々にスコーピオンの体が、空中

に浮き始めた。浮かんでは足が地面に付き、浮かんでは足が地面に付きを繰り返してはい

るが、完全に吹き飛ばされるのは時間の問題だ。ガルーダは今吐き続けている突風を更に

強め、スコービオンへと吹き付けた。あまりの強さに周囲のものが巻き込まれあちこち飛

んでいく。徐々にスコーピオンの体が浮き上がり、スコーピーオンの節足動物らしい複雑

な構造をしている腹の部分が見えた。地面と体が離れ、角度が約六十五度まで浮き上がっ

た。その部分にも風が直撃し続ける。そして、そのまま身体を仰向けのまま倒れてしまっ

た。スコーピオンが倒れたと同時に粉塵が空気中を激しく踊った。

「これは勝負あったか?」

そうマウリが実況している間にもスコーピオンは足を忙しく横に縦にと動かす。勝利の

一声をあげるガルーダ。それでも何とか反撃をしようと唯一ガルーダに対し効果的な部位

であろう尻尾をスコーピオンは動かし襲い掛かった。しかし、即座にガルーダは飛びあが

り、尻尾の攻撃を避ける。そして、スコーピオンの尻尾の上空に陣取って降下し、ガルー

ダは足で尻尾の先を鷲掴みにした。そして、何の抵抗もできないスコーピオンを上空へと

軽々持ち上げた。マウリはそのまま視線を上に向けようとした。その次の瞬間に上空から

地面に叩きつけられた。それはまるで爆発したかのように、非常に大きな轟音と激しく土

煙が高くあがった。土煙が薄れスコーピオンの姿が見え始めた。そこには、衝撃のあまり

に動くことが出来ず、身体を震わせているスコーピオンが居た。そんなスコーピオンに対

し、手を抜かず急降下しまたも尻尾の先を掴んだ。そのまま同じ光景を繰りかえした。そ

れで終わりではなく、その光景を複数回再現する。その過程でスコーピオンの体位ある穴

ができていた。深さは子どもの身長くらい深さがある。穴の中心で全く動くことのないス

コーピオンが居た。小刻みに身体を震わせているところを見るに、まだ息が途絶えてはい

なさそうではあった。ゆっくりホバーリングをしながらスコーピオンの上空に滞在するガ

ルーダ。更に降下すると静かなスコーピオンの身体を掴んだ。その時、ガルーダの足爪が

深く突き刺さる。そして、徐々に翼を激しく動かし始め、徐々に上昇していく。そして、

ガルーダは空の彼方に消えていった。

今回のやりとりは、スコーピオンがガルーダを餌食にしようとして、逆にガルーダの餌

食になってしまった結果だ。今回の結果が、同じ光景が繰り広げられるとは限らない。た

だ、ガルーダが勝利しただけに過ぎない。これが自然の摂理だ。


 続く

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