4、ザバラキィーン
「そうですか、安心して住める地を探しているんですね」
「左様です。冷血人間も、最早私ぐらいかもしれませぬ。いずれ滅ぶにせよ、安らかに生きたいものです」
ガイラルアッヴァーン氏と飲んでいた。持っていた酒では足りなかった。
有難いことに、彼は酒を買い足してくれた。幸い、この丘の様な山は低い。麓の酒屋へは、すぐに着いた。
酒を手に入れた僕らは、山を少し登った所にある野外ステージの、客席部分に座り、いろいろと話している。
ガイラルアッヴァーン氏は、冷血人間でも安心して住める場所を探していた。また、ザバラキィーンという友達のつてで、この街に来たらしい。
バッサバッサ…
「血を下さい、暖かい血を」
「……私の血で良ければ、差し上げよう」
「……お前の血は冷たい。凍ってしまうよ」
「冷血人間ですからね」
「冷血人間だしな」
「左様ですな」
どろん!
巨大なコウモリがやって来て、ガイラルアッヴァーン氏と話し始めた。話に加わったら、巨大コウモリが、顔色の悪い紳士に変化した。
「ガイラルアッヴァーン、その方は誰かね?」
「おお、ザバラキィーン!こちらは……」
「三輪といいます。よろしくお願いします」
「これはどうも、ザバラキィーンと申す。かつて、この冷血人間の血を吸って死にかけた、吸血鬼です」
ザバラキィーン氏は、吸血鬼だった。吸血鬼というと、強いイメージだが、冷血人間の血を吸って死にかけた辺り、親しみ易そうだ。
「ふむ、ちとのんびりしてしまったが、ガイラルアッヴァーンよ、力を貸してくれ」
「もちろんだ」
「我々吸血鬼ともつながりのある食屍鬼の夫婦が、ヒトの姿をした何かに襲われている。助けたい」
食屍鬼の夫婦……、グラヨンベスパ達か?
「すみません、ザバラキィーンさん」
「何かな?三輪殿」
「その食屍鬼って、グラヨンベスパのことですか?」
「おお、知っているのですか?でしたら、三輪殿にも、ご助力願いたい」
「はあ。いいですが、僕は弱いですよ。ゼッタニードルさんが、助けを必要とするようなの相手に役に立つか怪しいですが」
ゼッタニードルさんは、かなり強そうだった。
「ゼッタニードル殿もご存知か。なに、グラヨンベスパをうまく逃がせれば、我らと彼女が連携して対処出来よう」
ザバラキィーン氏は、コウモリの姿で空を飛んで、先導してくれた。
カッ!
ュッ!
あまり遠くない神社で、ゼッタニードルさんは白い何かと戦っていた。包丁を、恐ろしい速さ振るっている。
ガイラルアッヴァーン氏は、自分の手をナイフで傷つけ、出てきた血を投げつけ参戦する。
ザバラキィーン氏も、吸血鬼の姿に戻り、戦いに参加した。
僕は、目立たぬようにグラヨンベスパに近づく。
グラヨンベスパは、腰を抜かしていた。彼をかばいながらでは、ゼッタニードルさんも全力は出せないだろう。
ゼッタニードルさん達と戦っている相手は、かなりいい動きをしている。
「グラヨンベスパ…逃げるぞー」
「三輪、助かった」
僕は、グラヨンベスパを連れて離脱した。




