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26、赤のデンキパイロット・2



 赤のデンキパイロット……西洋の鎧武者を思わせる外見の機械は、2本の足で移動している。

 その点は、対ニンゲンの技術で戦い易そうだが、攻撃に使う腕は触手、しかも2本のよりかなり多い。先端部が刃物になっているのも、厄介である。



 ビュオッ!



 風が吹いた。



 グワラガギャーーー!



 「三輪、こっちは片付けた」



 純野さんは、赤のデンキパイロットを破壊していた。



 バシャアアア!



 反対側を見ると、登雄流さんも赤のデンキパイロットを水流で押し流している。


 こっちはまだ、間合いに入ってすらいない。

 実力の差を感じつつ、登雄流さんも純野さんも、手伝ってくれる気配はないので、右手右足を前に構える。



 ……正直、自信がない。そして、怖い。


 赤のデンキパイロット、触手の先が刃物で、恐ろしい。触手だけでも、金属製の鞭みたいなものなのに、先に刃物までつけるなと強く思う。



 ガチョン!ガチョン!




 赤のデンキパイロットが、2本の足で移動する。そして、触手を伸ばして攻撃してきた。

 触手の長さがわからないので、大きく避けた。

 多少反応が鈍くなっても、少し酒を飲んで怖さを誤魔化せば良かった。そう思わせる程の、風をきる音がした。


 さすが、新型のデンキパイロットだ。金や銀のデンキパイロットとは、格が違う。

 簡単に片付けた、純野さん達が異常である。



 「無能者ヲ排除シマス」



 デンキパイロット共通の台詞を、素敵な機械音で発しながら、赤のデンキパイロットが5本の触手を振り回す。

 前に出した右足の先を横に向けつつ、左に送る。その右足に重心を移し、左足を斜め前に移動し重心を左に戻すと、赤のデンキパイロットの右横に出た。

 若い頃に学んだ拳法では、右利きでも右側を前に構えるのが基本だ。

 結果、対人戦で他流とあたると、普段通りに避けたら相手の攻撃しやすい位置に出てしまうこともある。 しかし、デンキパイロットは機械なので、動き易い方へ動いた。



 ガッ!……ぐちっ



 赤のデンキパイロットの頭部を、つい拳で打った。 しかし、特殊な金属製であるデンキパイロットにダメージをあたえるより、こちらの拳を痛めた。



 「ああああああ!」



 それでも痛みをこらえ、右足を赤のデンキパイロットの右足に掛け、右腕を頭部に回して、体をひねった。



 ガシャン!



 赤のデンキパイロットを、倒すことは出来た。金属製で重量があるため、地面にヒビが出来る。

 すぐに立ち上がり、赤のデンキパイロットの頭部を全力で踏みつけた。



 「無能……者ヲ……」



 赤のデンキパイロットを、さらに踏みつける。踏む。踏む。踏む。踏む。



 「……」



 赤のデンキパイロットが、何も言わなくなってから警戒しつつ、数歩離れた。



 「三輪、運が良かった。倒した時に、触手を動かす部分が壊れたみたい。そうじゃなかったら、触手で斬られて死んでたかも」



 純野さんに言われて、ゾッとした。

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