第15.5話 ひとりに決めて
背筋にじっとりと冷たい汗が伝い、握りしめた拳の中にも嫌な湿り気が溜まっていく。
目の前では、一糸まとわぬ姿の凪葉と美咲が、獲物を追い詰める肉食獣のような瞳で俺を見据えていた。
二人は床に両手をつき、這うようににじり寄る前かがみの姿勢。凪葉の柔らかく形良い胸と、美咲の弾力に満ちた豊かな双丘が、重力に従って大きく揺れた。動くたびに、二人の股間に淡く茂った秘部が露わになり、その生々しい光景が俺の思考を麻痺させていく。
「…………」
荒れ狂っていたリビングの空気が、ようやく静寂を取り戻した頃。
凪葉が、ふっと長い吐息をついた。その吐息には、隠しきれない湿った熱が混じっている。
「……遥斗。今度の週末――あたしと美咲で、順番にデートしない?」
「デート……?」
思わず聞き返す俺に、美咲も凪葉の言葉を肯定するように小さく頷いた。潤んだ瞳の奥には、もはや引き下がる気のない冷徹なまでの決意が秘められている。
「そうだね。そこでお互いにアピールするから」
凪葉が、鼻先が触れそうなほどの至近距離まで詰め寄ったまま、言葉を繋ぐ。
「それで――」
二人の視線が、同時に俺の瞳を射抜いた。
肌のぬくもりが直接伝わる距離から放たれる、圧倒的な熱量と圧迫感。
「「ちゃんと、ひとりに決めて」」
それは、これまで三人の間にあった曖昧な逃げ道を完膚なきまでに断つ、執行猶予のない最後通牒だった。
俺が答えを濁すことを、もうこのリビングの空気も、目の前の彼女たちも許してはくれない。
「凪葉に負けないように、エッチがんばるから」
美咲が、普段の奥ゆかしさを脱ぎ捨てるように、淫らな響きを込めて耳元で囁く。
「美咲よりも楽しい魅力……アピールするからね」
凪葉が、挑発的に自らの胸を腕で寄せて強調し、不敵に笑った。
「「楽しみにしててね?」」
「あ、あぁ……」
二人の息ぴったりなハーモニーが、鼓膜を通じて脳を激しく揺らす。
心臓は、恐怖と興奮が混ざり合った最悪の速度で、ドクドクと高鳴り続けていた。




