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美人エルフは宇宙人?! 『せっかく異世界に転生したのに「魔法なんてない」と言われても、納得いくわけないだろう!』  作者: なつきコイン


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38. クロフォード卿

「で、お前たちは何者なのだ?」

 まあ、大人のヴィーが一言も喋らず、子どもの俺が主導していれば不思議に思うか。しかも、お金はいらないから話をさせろでは怪しいことこのうえない。


「塔の頂上に監禁されている少年とエルフですよ」

 俺の言葉に合わせてヴィーが耳を隠すための帽子をとった。

 一瞬目を丸くしたクロフォード卿であったが、すぐに平常心を取り戻したようだ。


「それはおかしい。エルフはスレンダーだと報告を受けている」

「姿を見せなくなった、この二週間で太ったんですよ」

「それを信じろと?」


 あー! ヴィーが急に太るから疑われているじゃないか。

「仕方ないわね。太るの大変だったのに」


 そう言うと彼女はフーと息を長く吐き出した。すると驚いたことに彼女はみるみる痩せて元の体型に戻ったのだった。

「太るのに一週間もかかったのに、痩せるのはあっという間ね」

「どうなっているんだ?!」

「空気を抜いただけよ」

 つまり、風船は膨らませるのは大変でも、空気を抜くのは一瞬ということか。

「まさにバルーン星人だな」

「バルクァン星人よ!」


「彼女は本当に人間なのか?!」

 さすがのクロフォード卿でも、これには驚きが隠せないようだ。

「一応、種族は違うが人間のようですよ」

 ちゃんと確認していなかったがそれでいいんだよな?


「それと、彼女が話している言葉を理解できないのだが、君にはわかるのか?」

「ええ、翻訳装置をつけていますので」

 俺は耳の翻訳イヤリングを指で摘んで、少し引っ張ってみせた。


「それはエルフの道具なのか? 私が着けるわけにはいかないだろうか?」

 これから話し合いをするのに、言葉が通じないのは都合が悪い。ヴィーは予め用意していた翻訳イヤリングを差し出した。

 クロフォード卿は少しも躊躇うことなくそれを耳に装着した。


「随分と思い切りがいいのですね」

「おお、本当に言葉かわかるようになったぞ」

「害があるものだとは思わなかったのですか?」

「盗賊討伐の話は聞いているし、あの塔から難なく抜け出してきている君たちが、そんな回りくどいことしてこないだろ」


「もしかしたら、人を操る装置かもしれませんよ」

「……エルフにはそういう道具もあるのか?」

「私は持っていませんが。興味をひかれますね」


「その様子だと国王陛下が人を操っていることを知っているのだな」

「ええ、サンタナ宮に何かあるはずです」

「そこまで知っているのか!」


「それでどうやって人を操っているんです?」

「それは私にもわからない。でも、サンタナ宮に入ると意識が朦朧として国王陛下の命令に逆らえなくなるのだ」

「意識が朦朧ですか……、ガスかもしれませんね」


 人を操るというから、精神干渉波といった電波のようなものを想像していたが、そうか、ガスか。つまり麻薬のようなもので酩酊させて操っている可能性があるということだな。


「ガスならVバルツァンVで、完全に遮断できるけど」

「王様と謁見するのに、あんなの装着したままというわけにはいかないだろ」

「盗賊を討伐した時の装備のことか? それで謁見するのは無理だな」

 クロフォード卿もそれは完全に否定した。


「それにしても君たちのことを甘く見ていたようだ。易々とあの塔から抜け出したということは、もう、魔力は戻って転移魔法が使えるのだろう。いや、むしろ、最初から魔力が足りないというのはブラフだったか。そうして時間を稼いでいろいろと調べたようだな」

 さすがは宰相、すべてお見通しか。


「それで君たちは何がしたいんだ?」

「最初は、無事に王様との謁見が終わればいいと思っていたのよ」

「でも、今はあの王様をこのままにしては、国のためにならないと考えているんだ」


「王を変えるべきだと?」

「もちろん、今の王様が改心してくれることが一番ですが……」

「まあ、それは無理だろうな」

 ああ、やっぱり。宰相から見てもそうなんだ。


「それなら王様を変えるべきだわ」

「だが、後継者と目されている者たちも、今の王とさほど変わらないぞ。むしろ、政治に関心がないだけ今の王の方がマシかもしれん」

「だからといって、人を操って、好き放題浪費して、女性を侍らせているのは見過ごせないわ」

「浪費といっても国庫が空になるほどじゃない。それに女性だって寵愛を受けているだけで酷い仕打ちを受けているわけではないぞ」

「寵愛を受けているって、それが問題なのよ! 本人の希望ならともかく、無理矢理操られているのよ」

 それに、国王が浪費するお金は国民の血税だ。無駄遣いが許されるはずがない。


「もし、ダイアナが王様に呼ばれたら黙って差し出すの?」

「それは……」


「目ぼしい後継者がいないなら、今の王家は廃して、まったく新しい王家を立てるか、民主制にするのね」

「そんなことはできない。まず、教会が黙っていまい」

「教会?」


「今の王家は神からの神託によって選ばれたのだ。新たな神託でもない限り今の王家を廃することは神の意志に逆らうことになってしまう」

「神託ね……。神託は誰が受けているんだ?」

 場合によっては、その者に協力を頼めないだろうか?


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