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美人エルフは宇宙人?! 『せっかく異世界に転生したのに「魔法なんてない」と言われても、納得いくわけないだろう!』  作者: なつきコイン


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37. 訪問

 この監禁部屋に来てから一週間、いやー、本当に太ってきたよ。ここでの料理も食べ飽きてきたし、早急に王様を何とかして普段の生活に戻りたいところだ。

 この一週間で王様についていくつか追加でわかったこともある。


 まず、王様は人でなしであった。

 いや、本当にオークだったという話じゃないよ。人を操れることをいいことに、好き放題、酒池肉林、残虐非道な行いを繰り返していた。

 この人をこのまま王様にしておいては駄目でしょ。そのうち国が滅ぶわ。


 そんな王様でも国が何とかなっているのは、優秀な宰相がいるからだ。その宰相がクロフォード卿、なんとダイアナの父親だった。


 次に、王様は決して住まいのサンタナ宮からでない。執務も謁見も全てサンタナ宮で行われていた。もっとも、執務といったが、そんなものはほとんど何もしていなかったが。

 サンタナ宮から出ないのは、ただの出不精ではないだろう。別にデブ症と言いたいわけじゃない。人を操るのにそこが都合がいいのだろうという話だ。人を操るための何らかの道具が置かれているか、はたまた、サンタナ宮全体がその装置なのか。

 ヴィーはドローンで探ろうとしているが、完全に外界から遮断されているうえ、警備が厳重で、まあ、規模が大きいが自宅警備員付きの引きこもり部屋だ、ドローンを送り込もうにも隙がないようだ。


 ドローんでの調査が難しいとなると、できるのは内部の様子を知っている者に話を聞くくらいだろう。


 ということでやってきましたクロフォード邸!

「おい、本当にケッティア星に送り届けてくれるんだろうにゃ」

「こちらに協力してくれればね」


 俺たちがイリスに持ちかけたのは、ケッティア星まで送っていく代わりに、普通の猫の振りをしてダイアナに会ってくれというものだった。ダイアナを通してクロフォード卿とコンタクトを取ろうという計画だ。猫を見つけたら連絡するというダイアナとの約束も守れて一石二鳥だ。


 門番に、猫を見つけたからダイアナに取りついでくれと話をすると、案外あっけなく屋敷の中に通された。

 応接室には既にダイアナが待っていて、少し興奮した様子だ。


「アッシュ、猫ちゃんが見つかったって本当!」

「ほら、この猫だろ?」

「ぅわー! 猫ちゃん!」


 カゴに入れて連れてきたイリスを目の前に出してやると、ダイアナはイリスを抱き上げ頬擦りを始めた。

 イリスは迷惑そうにこちらを見てくるが、嬉しそうなダイアナを止めることはできない。


 すまんイリス! 俺は心の中で手を合わせて謝罪した。


「ところでダイアナ」

 俺はダイアナが十分にイリスを堪能したところで声をかけた。

「何かしら?」

「お父さんから猫を飼う許可は取れたのか?」

「う!」

「その様子じゃ、許可は取れていないんだろ。よければ俺たちも一緒に説得してやろうか」

「え! いいの?」


「俺とダイアナの仲じゃないか」

 って、どんな仲だよ。ただの通りすがりだろ。

「アッシュ! ありがとう」


 ということで、俺たちはクロフォード卿が帰るまで、そこで待たせてもらうことになった。もし、その間に監禁部屋に誰か来たら、トイレに行く振りをして転送で戻るつもりだ。


 待つこと三時間、途中でクロフォード邸で食事が提供され、俺は監禁部屋で出された分と二食を食べるはめになった。こりゃ益々太ってしまうぞ。

 帰って来たクロフォード卿は、使用人に話を聞いたのか、俺たちがいる応接室にやって来た。


「娘の我が儘を聞いて猫を連れてきてもらって感謝する。だが、その猫を飼うことはできない。見つけてもらった謝礼は払うから連れてかえってもらおう」

「お父様! 私、この猫ちゃんをどうしても飼いたいんです」

「前にも言ったが、猫を飼うことはできない」

 まったく話を聞いてくれない父親の様子に、ダイアナが助けを求めてこちらを見る。


「猫を飼えない理由を聞かせてもらっていいですか?」

 一緒に説得してやると言った手前、何もしないわけにはいかないだろう。

「妻が猫アレルギーなんだ」

 ああ、これはどうしようもないパターンだ。


「ダイアナ、そんな理由があるなら猫を飼うのは無理だよ」

「そんな……」

「この猫の面倒は俺たちが見るから、それで我慢してくれ」

「……仕方ありません。ですがたまに様子を見に行っていいですか?」

「それなんだが、俺たちは遠い村に住んでいる。用事が済んだら村に戻るから、会いに来るのは難しいと思うぞ」

 それに肝心のイリスに至ってはケッティア星に帰ってしまうだろうし。


「それでもいいです」

 どのみち、イリスをここに残していくわけにはいかないのだし、後のことはどうにかなるだろう。


「それではこの猫は俺たちが連れて帰ります」

「うむ、助かる」

「それで謝礼なのですが……」

「ああ、十分にわたすとしよう」

「いえ、お金はいりませんから、少しクロフォード卿と俺たちだけで、お話しさせてもらっていいですか?」

「え? 私は?」

「ダイアナも遠慮してくれるか? 別室で猫ちゃんと遊んでいればいい」

「じゃあ、そうする!」

 ダイアナは嬉しそうにイリスを連れて出ていった。


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