34. 王様
「それで、この一週間で調査は進んだのか」
「バッチリよ。調査用ドローンで王宮の隅から隅まで、普段使われていない隠し通路まで把握できたわ」
転移に必要な魔力が足りないからと、時間稼ぎができたおかげで十分な調査ができたようだ。
「王様についてはどうだ?」
「もちろん、いろいろわかったわよ。まず、種族はオーク」
「オークなのか?!」
この世界の魔物が確認されたのは初めてだ。それが王様をやっているなんて、本当か?
「豚みたいに太って、ブヒブヒ言っていたから間違いないわよ」
「オークだという証拠はそれだけか?」
「他にもあるわよ。女好きでいつも女性を侍らせて盛ってたわ」
それはオークでなくても、権力者にはありがちなのでは?
「きっとエルフが大好物のはずよ。だから私を王宮に呼んだんだわ」
それはあながち間違っていない気がするな。
「でも、不思議なのよね。王様の周りにいる女性はみんな太っているのよ。きっと王宮の食事のせいね」
いや、それは王様がデブ専だからでは?
「アッシュも、これから食事をするなら気をつけないと太るわよ」
大きなお世話だ! まずは自分の今の体型を省みてから言ってくれ!
「それで、王様についてわかったことは他にないか?」
「あとは、不思議なんだけど、お王様はみんなに嫌われていて、不満を持っている人も多いんだけど、そんな人が王様に対面するとみんな従順になってしまうのよね」
「それって、王様が黒魔法を使って、人を操っているんじゃないか?」
「魔法かどうかはともかく、なんらかの方法で人を操っているのは確かね」
「隷属魔法だったりするのかな?」
なんだか少し楽しみになってきたぞ!
「それについてはもう少し調べてみるから、少しの間ここで我慢しててね」
「美味い食事が出れば問題ないよ。それに監視されているわけではないようだから、転送で遊びに行けるだろ」
「それもそうね」
せっかく王都に来たんだから、王都観光もしてみたいものだ。
「それはそうと、調べものをしていて気づいたんだけど、アッシュ、あなた病気みたいよ」
「え? 俺って病気なの!」
「時間があったから、例のアニメを調べていたんだけど、アッシュには『チュウニ病』という病気の疑いがあるわ。さっきも、黒魔法や隷属魔法と言って喜んでたでしょ。普段から体に異常はない?」
「……ないです」
ここは異世界で、魔法があるのが普通のはずなんだから、俺が魔法にこだわるのは決して厨二病だからではない!
「そう、でも気をつけてね。なんでも大人になると『黒レキ死』という後遺症がでて、最悪死んじゃうみたいよ」
確かに黒歴史が発覚すれば、それは社会的に死ぬだろう。
「うん……そうだね。気をつけるよ」




