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美人エルフは宇宙人?! 『せっかく異世界に転生したのに「魔法なんてない」と言われても、納得いくわけないだろう!』  作者: なつきコイン


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28. 宇宙へ

 村長が盗賊と取引していた証拠を掴むため、俺はヴィーと一緒にDSDSアマデウスで宇宙に来ていた。


「おお、これが宇宙か!」

 アマデウスのブリッジのドームには外の様子が映し出されていた。

「どう、宇宙に出た感想は?」

「まるでプラネタリウムだな」

「プラネタリウム? なにそれ?」

 ヴィーは耳の翻訳イヤリングを二度ほど叩いた。前にもやっていたが、あれで再翻訳されて詳しい内容がわかるのだろう。


「あー。確かに星空を映し出している事実を言い当てているけど、他の感想はないの?」

「無限の広さを感じる?」

「ありきたりで、さっきのことを考えると皮肉にしか聞こえないわ」

「まあ、言葉には出来ないけど、宇宙にいることに感動はしているから」

「言葉にならないほど感動してもらえてよかったわ」

 逆に、彼女に皮肉を言われてしまったようだ。


「ところで、俺たちはなんで宇宙に来たんだ?」

「村長が盗賊に会っていた、証拠を掴むためでしょ」

「宇宙にその証拠があるのか?」

「うまく見つけ出せればね」

 彼女はその証拠が何か、俺がわからないことを楽しんでいるようだ。


「それじゃあ行くわよ」

「行くってどこへ?」

「そうね、とりあえず、七日前からでいいかしら」

「まさか、アマデウスはタイムワープができるのか!」

 過去に戻って現場を押さえようということか。


「残念! アマデウスにそんな機能はありません。だいたい、私のいた世界にはタイムマシンはなかったわ」

「違ったのか。しかも、タイムマシンがないなんて、それならここは俺の時間遡行魔法で……」

「魔法なんて使えないでしょ!」

 ツッコミありがとう。


「もう。タイムマシンがなくても過去を見ることはできるのよ。光速を超えて移動できればね」

「それってワープ?!」

「特に跳躍ワープはしないわよ。光速を超えて飛ぶだけよ」


 俺は光速を超えることをワープと捉えているが、彼女の世界では、光速を超えることイコールワープではないようだ。


「まあ、実際に飛んでみせるわね。アマデウス、目的地はここから7光日のポイント、発進して」

 アマデウスが発進すると俺が住む衛星チターンも、その主惑星サンタナもあっという間に星粒となった。


「ここに表示されているのが今の速度ね。1光速が光と同じ速度で、2光速はその二倍、3光速ならその三倍よ」

 表示されている速度は加速度的にどんどんと上がっている。

「DSDSアマデウスはなん光速まで出せるんだ」

 彼女は、転移した場所からここまで3万光年を3か月で来たと言っていたから、最低でも12万光速出せる計算になるんだが。


「理論上は無限よ。空間シフトドライブによって常に坂道を転げ落ちるように速度がどんどん上がっていくの。距離が長ければ長いほど速度が出ることになるわ」

 なるほど、原理はともかく、目的地に向かって自由落下していると思えばいいのか。



「あれ? 速度が落ちてないか?」

「ああ、中間地点を過ぎたのよ。これからは減速して行くわ」

 表示されている速度がどんどんと減っていく。そしてついに表示がゼロになった。


「到着! ここがアッシュが住んでいる星から7光日のポイントよ」

「つまり、今見えている衛星チターンは七日前の姿ということか」

「正解!」

「確かに過去を見てるんだろうけど、これじゃあ遠過ぎてなにもわからないだろ」

「チッチッチッ、DSDSを甘く見てはいけません。アマデウス、村長の家を拡大表示して」


 ブリッジのドームに村長の家を上空から見た様子が映し出された。

「これ、リアルなのか?!」

「七日前の様子をリアルと呼ぶならね」


 すごい、まるでスパイ衛星だ。これなら村長の動きを確認することもできるだろう。


「それで、村長はいつ出かけるんだ?」

「そんなのわからないわよ」

「これってずっと監視していないといけないのか?」

「早送りならできるわよ」

「できるのか!」

「船を近づけていけばいいいだけよ」

「ああそうか。じゃあ早送りで」

「はい、はい、アマデウス、表示はそのまま、衛星チターン方面に戻って」

「おお、これで早送りになっているのか。んん? なんだか家が斜めになってないか?」

「それは、チターンが自転しているからね。もうすぐ見えなくなるわよ」

「え? それじゃあ見落としが出るだろう」

「そうね。だから見落としがないように別方向からも同じことをするわよ」

 ということで、同じ作業を二度繰り返すことになったが、お陰で動かぬ証拠を掴むことができた。


「父さん、これを見てくれよ。村長が盗賊と取引していた決定的な証拠が手に入ったんだ」

「なんだと」


 俺はヴィーと一緒に掴んだ証拠をプリントアウトして父に見せた。そこには盗賊のアジトの前で村長と盗賊が話し合っている様子がバッチリ写っていた。

「これで村長の悪事を証明できるだろ」

「うーむ。これをどこで手に入れたんだ」

「え! えーと、ヴィーの装置でチョチョイと」

 あれ、なんか思っていた展開と違うぞ、ちょっとまずいような。


「あのな、非常によく描けてるけど、想像で描いた絵は証拠にはならないぞ」

「いや、想像で描いた絵じゃなく、実際の場面を写した写真なんだけど!」

「写真? それがどんなものか知らんが、お前たちはここにいたのか?」

 しまった。この世界には写真がなかった! それに写真がその場の状態を写すものだと証明できても、その場にいたことを証明できない。


「いや、空の彼方から見てたんだけど……」

「お前は神様か! そんなことを言っていると教会のシスターに怒られるぞ」


 結局宇宙まで行って用意した証拠はなんの役にも立たなかった。


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