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ファミリア  作者: あさま勲


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73・見えない糸

 そーいやオレがファルコンモードになるのって、喰われた時以外だとコレが最初のような?

 まあ、翼猫状態で空は飛んでたけどさ。

 ファルコンモードの方が空気抵抗が少なくて軽快に飛べるぜ!

 ……って、地上のキーアリーハの気配が微妙に変化する。こりゃ、なんか魔法を使ったな?

 影魔法と……風の精霊が騒ぐような気配も。

 次の瞬間、真下から吹き上げる強烈な風に乗って背中に翼を生やした黒髪のキーアリーハ……ブラック・キーアリーハが急上昇してきたよ。

 ……オレと合体しなくてもブラック・キーアリーハになれるのね? だと、オレの存在意義ってなんすか?

 そんな事を考えてるオレを飛び越え急上昇し……そして急降下でオレの前に現れる。

 精霊魔法の力加減が上手くできてない感じだな?

「こうも簡単に追い付かれるとは、さすがに思ってなかったぜい?」

「アンタはアタシの半身なんだから、勝手に、どっか行っちゃダメでしょっ!?」

 オレの言葉に、キーアリーハは言ってくれるが……なんか頑張って羽ばたいてるけど色々と余裕無さげなふいんき……

 だからオレは翼大猫モードに変身し、その背にキーアリーハを乗せた。

「半身と言われても、オレって全然、ピンと来ねぇんだけどなぁ……?」

 オレは、ぼやくように言う。

 そして、背に乗ったキーアリーハの気配が変化するのを感じた……ブラックモードから通常モードに戻ったのね?

「あたしは最初から、アンタがアタシの半身だっては、解ってるの!」

 ……たぶん、思い込みだと思うぞ?

 そうは思えど、それを口にする気はない。

「オレの好きに飛ばせてもらうけど構わねぇか?」

「良いわよ。シャドウが行きたい場所は、アタシの行きたい場所だもん!」

 んな事は無いと思うぞ? まあ、良いやね。

「オレって単に、この辺の地形を見て回りたいだけなんだけどさ」

 そう言いながら、少しずつ高度を上げてゆく……大容量の外付けバッテリーたるキーアリーハが、思ったより消耗しちゃってるのよね。だから、前に合体した時みたいに遠慮なしに魔法なんて使ったら電池切れで墜落……なんて事になりかねない。

「そう言えば、あたしも学園回りは空から見たことは、ほとんど無かったっけ」

 そりゃ三味線弾いて目立たないようにしていた手前、ファルコンを喚び出して空から学園を眺めるなんて事は出来なかっただろうよ。

「センセ方……キーアリーハが意外に優等生で慌ててるかもな?」

 オレの言葉には、キーアリーハは興味なさげである。

「アタシがブラムベル公国の公女だってことは先生方の一部は知ってるわよ?」

 知ってんのは一部だけで、キーアリーハには非干渉だった……エリザさんみたいに公国の回し者か、それとも王国の回し者か。

 って、王国側もキーアリーハがソーノベンに絡まれてたのは……そーゆー事やる輩は目立たないようやるから先生方も気づいてねぇか。仮に気づいても、キーアリーハが大騒ぎしない限り静観するだろうしさ。

 で、キーアリーハも黙って堪え忍んでいたと……公爵令嬢の立場を使って反撃してやればよかったのに。そうまでして一般人を装う必要なんてあったのかねぇ?

 ま、オレのご主人様なワケで、オレが彼是アレコレ言うことでもないか……

「まあ、ともかく……魔法使いがいっぱい居る学園なら、あのストーカーも仕掛けてこねぇだろ」

「目立たない騒ぎにならない範囲でなら、あると思うけどね」

 オレの言葉にキーアリーハは言ってくれる……キーアリーハさん。アナタ口調から察し、その手の輩に絡まれた経験あって対策方法も多少なりと心得がありますね?

「ソーノベンに絡まれた時、本気でウンザリしてたから魔力解放して影法師の軍団を喚び出した事があるのよ。あの時のソーノベンは、アタシが本気で喧嘩を買うとは思ってなかったみたいで、慌てて引き下がったけどね」

 キーアリーハさん。オレの頭ん中を覗かないでください。

「里帰りする前、ソーノベンに絡まれた時は、ソレやらなかったのは何故に?」

「シャドウの召喚とラッペトスで魔力をかなり消耗してたからね……あと、アタシの影魔法は、夜の方が力を発揮できるんだ」

 太陽という強力な光源の下で影法師を維持するのは大変……って事かね?

「そう……ツマリそーゆー事ね?」

 だからねキーアリーハさん。オレの頭ん中を覗かないでくださいよ?

 できるモンならオレもキーアリーハの頭ん中を覗いてみたく……は無いかなぁ?

「え~? アタシの事は知りたくないのっ!?」

 いや、オレの頭ん中を覗かないでくださいよ?

「思考の表層……声に出さず飲み込んだ言葉を読み取るぐらいしかできないから、大騒ぎすること無いじゃない?」

 キーアリーハは言ってくれる……まあ、別に知られて困るような事でも無いんだけどさ。

「キーアリーハについて、大事な事なら既に知ってるからな」

 その言葉に、キーアリーハはオレに抱きつく……なんか体が熱くなってませんかね?

 まあ、いいやね。

 キーアリーハはオレの大事なご主人様。ソレだけ理解してりゃ十分なワケよ?

 って、キーアリーハさん。オレの首に腕を回すは良いとしてスリーパーホールドを極めないでくださいっ!!

 息が……って、オレって呼吸してないっぽいんで全然苦しくねぇや。

 なんつーか、オレとキーアリーハって見えない糸で結ばれてるみたいで、全然、離れられないな……オレがキーアリーハの使い魔だからかね?

 まあ、別に大して困っちゃいないけどさ。

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