彼女の育て方
彼女の育て方で育って、彼女がくれたミニトマトを、おれはどうにか体に入れなけりゃならなくて、そのままで、だけどむり、いつものやり方でおれは彼女のミニトマトに接する、それはそんじょそこらのミニトマトではない、それは彼女がくれたミニトマト、なのにおれはまるで、通常のトマトに接するのと同じように、つまり、彼女のミニトマトはへたを取られレンジのなかでグズグズになる、彼女いわく無個性なミニトマトになったうえ不細工にもなる、それは、彼女が最も望まない、彼女を最も悲しませるかたち。
彼女から来た短いメールを翻訳すればそれはこういっていることになる、どうして私の育て方をあなたは気に入ってくれないのですか。
おれはいつも思うことを今回もまた思う。
どうしておれのやり方をどうしても気に入ることのない自分でいるのに彼女は違和感すら抱いてない様子なのだろう、と。
それからその夜、多分、二人は同じ空想をしたんだとおれは思う。
彼女が自分の育て方で、しかもきちんと育った、正常な彼女の正常なミニトマトたちを、彼女が有無をいわさず彼女の手で、ひとつ残らず、おれの口の中にコロコロと流し込んでいく図を。
それは外野から見れば狂気の絵かもしれない。
飲み切れないおれの口から溢れた、青くさいトマト汁が二人の制服を汚し、取り返しがつかないレベルの汚れに繋がってしまうかもしれない。
でも二人にとっての、一つの選択肢としてはそれはきっと正しい。




