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ヒスティマⅥ  作者: 長谷川 レン
第四章 闘争
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光り輝く刃の奇跡

お詫びの二連続投稿です。



「……ようやく来た」


 濡れ羽色の髪が艶やかに舞い、白夜は振り返る。

 その手に持つは漆黒の刀。振れただけでも呪われそな魔力が垂れ流れながらも、それは白夜の周りの浮かび上がる。


「白夜さん。今すぐユウに放った魔法を直す事は出来ませんか?」

「……無理。……私はただ破壊するだけ。……再生なんてする必要は、無い」


 無いの部分が、やけに強く言い放たれ、白夜の無表情に見える表情が、険しくなる。瞳はほんの少し鋭くなり、溢れ出る魔力が一段と濃くなってくる。


「そう、ですか。……ルナ、ツキ、みんな。行くよ。〈神速〉」

「……もう少し話さないの? ……感動の再会だって言うのに。〈闇影〉」


 歩をゆっくりを進める。それと同じように白夜もゆっくりと進み……。



 ――同時に蹴った。



「はぁ!!」「ふッ!」


 ぶつかり合う金属音。それと同時に魔力同士のぶつかり合いの風圧によって床が一部ひび割れ、誇りや転がっていた小さな石などがすべて吹き飛ぶ。


「話なら、戦いながらでも出来ます。でも今は、白夜さん。すみませんが、一発キツいの入れますからね!」

「……一発でいいの?」


 不思議そうに剣を構えながら聞き返すのに対し、ボクは明確に首を縦に頷く。


「ええ。だって、白夜さんは心の底から破壊したいなんて思っていない、平和主義者だから」

「……ッ! ……バカ、言わないで。……破壊神である私が平和主義者だなんて、あり得ない。〈黒砲〉!」


 手のひらから放たれた黒い魔力を身を伏せて回避。床にヒビを入れながら蹴って急接近をする。

 それを見越していたのか、黒い刀をボクと同じく振るい、刀を防ぐ。


「〈二の太刀 雪麗〉!」


 先ほどの〈神速〉だけでなく、さらに二の太刀で自分の速度、能力を上げる。あたりの視界がまるで止まったかのような感覚を覚えながら神撃の速度を誇る刀を振るう。

 だけど、やはりというべきか、白夜はその程度では倒す事は出来ない。


「……〈二の太刀 夜影〉」


 またもぶつかり合う刀同士に、突如として白夜の刀にヒビが入った。


「……くっ」

「はぁ!!」


 さらに続けて放つルナの刀を同じく防いで行く白夜。だがヒビが入った刀は脆く、即座に破壊されてしまい、白夜へと刀が襲いかかる。


「……〈ブレイク〉」


 そう呟きが聞こえるよりも早く、ボクは即座に白夜から狂気を感じて飛び退いた。白夜の魔力が見えた瞬間、あれに触れてはダメだと脳内で信号を強くだしたからだ。


「…………」

「…………。……魔力粒子が見るのは、厄介」


 第二とばかりに刀を複製。漆黒の刀だが、先ほどよりも込められている魔力の量が違う。

 どうする? どうすれば無力化出来るか……。


「ねぇ白夜さん。どうしてあなたは、死に急ぐんですか?」

「…………。……悪いけど、何を言っているかわからない」

「嘘言ったってダメです。ボクは、白夜さんの過去を見てきました。夢で。そして、そこで初めて、デュークさんって人に会いました」


 その時、微か。本当に微かだが、白夜の鉄仮面の皮にひびが入ったかのように感じた。

 感情を壊しても、彼に対する思いはまだ残っていると言う事なのだろうか? いや、白夜が彼が好きだったかどうかはわからない。本人だって、その気があるかどうかもわからない。だけど、白夜に取って、デュークはかけがえの無い仲間だったはずだから。


「そして、その時に、言われました。ボクは、白夜さんを殺してしまう未来を持っていると」

「……それで? ……私を殺せば、上に行けてヘレスティア王を止められる。……リクちゃんは、それでいい」

「どうしてそんな事言うんです?」

「どうして?」


 体を低くし、刀をまっすぐと白夜へと向ける。


「白夜さん。あなたは、もっとみんなを頼ってください。今はもう、一人じゃないんです。あの桜花魔法学校で、友達が作れたじゃありませんか。ボクもその一人です。そんなボクが、白夜さんを殺すなんて、天と地がひっくり返っても、この世界が崩落しても、まず、あり得ないんですよ! 〈七の太刀 風雪(カザユキ)〉!」


 氷の斬撃を飛ばし、すぐさま床を蹴る。


「…………」


 その時、ボクの叫びを聞いた白夜が、少し悲しそうな顔をする。

 まるで、自分の望みが叶わなかった子供みたいに。


 だけど残念ながら、白夜の死にたいという望みを叶えるような人なんて、友達には一人として居ないだろう。

 なぜなら――



 ――ボク達全員。仲間が居たから、ここまでこれたんだから。



「マナちゃんを救えたとき、白夜さんは助けてくれた! あの時シャドウデビルについて教えてくれなければボクは途方に暮れていたから! あの時の白夜さんが、嘘だとはボクは思えない!」

「……確かに私はリクちゃんにマナを助けるようにしむけた。……だけど、それはすべてこの時のため。……リクちゃんが強くなるようにしむけただけ」


 飛んできた斬撃を紙一重でかわし、刀を手にまっすぐ走ってくる。


「……それに、私は殺されたいなんて言ってない。……今ここで、死ぬのはリクちゃんだから」

「だったら何で、銃槍を使わないんですか!」


 ふるって来た刀をツキで受け止め、ルナを水平に振り抜く。白夜は身をかがめて斬り上げてくるも横に身を逸らして二刀で受け止める。


「……刀の方が使い慣れてる」

「全然そうは見えません。だって、白夜さんは本当はもっと強いはずですから!!」


 そう言うと、ボクは蹴りを繰り出したところへと、白夜が同じように蹴りを出して打ち合い、それを利用して白夜が一旦後退する。

 続けて〈黒砲〉が飛んできたがなんとか体勢を立て直してルナで斬り払い、魔法を使う。


「〈インフィニットゲート〉!」

「――ッ!」


 ボクが一歩足を前へと出しただけで目の前へと出てきたボクに若干眉を上げた白夜へと向けて、力の限り魔法を放った。


「〈三の太刀 月華氷刃〉!!」

「くッ! 〈ブレイク〉!」


 シヴァの魔力が溢れ出て、ボクの全体を覆う。だけど、一度見たならば対策が出来る。ルナの加護で、魔力粒子が見える事は、何よりも偉大だろう。



 ――ボクがこんな事も出来るのは。





「魔法ごと斬れ、〝ヘカテ〟!」





『これ、は……!』


 ルナの声が消え、刀が光輝く。それが何かはわからないが、ボクは自然とそう叫んでいた。


 〈ブレイク〉の魔力粒子を見切り、その合間を沿って魔力供給線を切断。すると、三の太刀の効果がそのまま発動されたのか、〈ブレイク〉に使っていた魔力粒子が瞬時に凍り始め、1つの巨大な華を咲かせ始めた。


「!?」


 その予兆を即座に認識できた白夜は今まで少ししか動いていなかったその表情を確かに驚きの表情へと変えた。そして、少し微笑んだような、そんな気がした。


 次には、この階には巨大な華が咲き誇り、辺一面、氷の華が咲き乱れ、氷の世界へと旅立ってしまった。


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