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ヒスティマⅥ  作者: 長谷川 レン
第二章 連合軍vsヘレスティア
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守護十二剣士の老兵



 しばらく走っていると、除所にライコウの街並みがおかしくなってきた。中心へと走って行けば行くほど、ライコウの街が崩壊し、どこかで見た事があるような町並みへと変化していく。一度足を止め、それを考えていると、ちょっと思う所があり、塔への道をそれて裏道に入って行く。


(まさか……)


 私は裏道に入ると、右に曲がり、真っ直ぐ進んでいく。すると、そこには見た事がある雑貨屋の建物が立っていた。


「モンスター……雑貨屋……」


 看板にはそう書いてあった。リクやマナ、キリに聞いても訳が分からないと言う風にしか反応が帰ってこないだろうが、私に聞けば必ず反応すると思われる。


「どうしてこの店が……現代(、、)に?」


 この店は、私が七千年以上前。アリスを捜すために向かった店その物。反対側の店を見てみると、あの時と同じ、パンドラが置いてあった店が存在していた。あの時は出たらただの廃墟となっていたのに今は しっかりと存在している。

 私が驚いていると、また悪魔達が次々と近づいてくる。数が多い。


「まったく、邪魔――ッ!?」


 私が動き出そうとしたその時――悪魔達が一斉に崩れて燃え上がった。


「な、何が――」

「まだこの動きについて来れんか」

「――ッ!?」


 とっさに後ろに振り向く。そこにはあの時と同じ、老人が立っていた。


「貴方、この時代に……どうして?」

「もうわかっているのではないか? あの時と同じ姿の理由まで」

「…………」


 同じ姿。同じ服。同じ魔力。どれをとってもあの時とまったくと言うほど同じな老人。ただの老人では無い事は分かっていたが……。


「まさか、守護十二剣士とか言わないでしょうね?」

「わかっているではないか。名まで当てられるか?」

「わからないわ。私、日記あまり見ていないもの。それに、今はそれどころじゃないからね。貴方が此処に居るとなると、鍵について疑問に思うのだけど」


 私は騎士に周囲の警戒を頼み、老人と向かい合う。


「いろいろと教えて欲しいわ。どうして守護十二剣士が全員やられていないのに塔はああやって顕現されているのかしら? どうして私達全員を操ろうとしないの? それには理由があるのかしら?」

「ふむ。一度にいくつも聞く奴だ。一つ一つ答えてやろう」


 老人はそう言うと、店の中へと入って行く。同じように物が売ってあるのだろうか。追って中に入って行くが、やはり今は廃墟の様に何も無い。それでも、老人はイスに座り、現れたコップの中に入っているお茶を一口流した。


「まず、塔が現れた理由か。あれは、聖地だ」

「聖地? 聖地は塔を現す鍵で、塔を封印する鍵は貴方達が持っているんじゃないの?」

「なら、お前は治癒の力が弱体化した様に感じるか?」


 そういえば……。この世界に来ても魔法は普通に使える。守護十二剣士はそれぞれ司っていて、殺されるとその力が弱体化するのだったか。


「お前の場合、治癒の魔法は光の守護による力だ。今守護十二剣士で生きている者は太陽、封、炎、水、風、光だ」

「半数生きているのね。じゃあ何故塔が?」

「聖地で複製出来るからだ」


 鍵が複製できるって事は聖地さえ奪われてしまえば塔が出現するって事。


「そう……。じゃあ何故操らないの?」

「コピーがそういくつもできるか。我々が持っている本物を使わない限り、世界を変転などできん。崩落など持っての他だ。今もなお、鍵を捜しているが、我々を殺すのならば『始祖の愛し子』と同じか、超える力が必要だ。『白銀の後継者』と同じな」


 『白銀の後継者』。たぶん、それがリクだろう。


「それにしても、そんな簡単な理由だったのね」

「ユミが好きではなかったからな。良くも悪くも、あいつは脳筋だ」

「仕える主人に対してそんな事言っちゃっていいのかしら?」

「がっはっはっは!」


 守護十二剣士の老人は一際笑う。普通は主人を恐れるような物だが、ユミの場合は違うと、私でも頭の中で思ってる。

 少し落ち着いた所で、私はもう一つの質問を投げかける。


「この近辺の街が電光王国時代の物になっている事も教えてくれないかしら?」

「それか。それなら同じく、塔による影響だ」


 また塔。塔は聖地により顕現され、街は塔によって顕現された。


「聖地と言うのはな。姫様の魂でもあり、この電光王国を示すものでもある。塔が無くなれば、聖地もまた眠りに着く。そしてな」


 老兵は懐に手を入れ、そこからキセルを取り出し、口にくわえてから灰を落として火をつけた。


「その電光王国の風景は、姫様の記憶だ。隅々まで記憶している彼女によって、この街も顕現されると言う訳だ。聖地を眠りにつかせれば、塔も、街も元通りになる。寝かせてやってくれ」


 老兵はそう言うとキセルを吸う。

 その時、外から爆発音が聞こえてくる。誰かが爆発系統の魔法を発動しているのだろう。


「そろそろ行くわ。いろいろと答えてくれてありがと。とりあえず、全ての原因が聖地が使われた事だと言う事がわかったわ」

「ふっ。まぁ簡単に言えばそういう事だ。聖地を寝かせるなら、また寝床が必要だな」

「寝床? それはやっぱり、リク君が良いのかしら?」

「そうだな……だからこその『白銀の後継者』なのだから。だが、それだけでは済まないだろう。塔をまた封印するなら――」


 老兵はその続きを話すと、薄くなって行き、しまいにはなんにも見えなくなる。


「……ほんと、不思議な老人ね。守護十二剣士の老人。名前、なんて言ったかしら?」


 私は店を出て、群がっている黒い液体のような人型の敵を一瞥し、騎士に命令して全滅させる。

 もう塔の外に強い力を持った敵は感じない。後は塔の中だけだ。


「引きこもりなんていけないわね。九年間引きこもってた私が言うのもなんだけど」


 全てはジーダスの悪魔から始まった。父が死んで、マナが悪魔に憑かれて、学校が襲われて、他国に密偵をしに行って、過去にタイプスリップした。

 全てリクの後をついてきた結果で、自分もとても、楽しかった。


「『天使』。神に仕え、神の代わりに行使する者、ね。初耳だわ」


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