合流
視点はリクちゃんに戻ります。
「キリさん!」
ボクが目的地である塔の門前で待っていると、キリが走ってくる姿が見えた。
声を掛けたボクに気がついたキリは、少し離れた所からひとっ飛びしてきてボクの前で着地する。
「早かったな、リク」
纏っていた雷を解除し、それから話し始めたキリに、ボクは笑って答えた。
「はい。ボクの所は竜田とハナさんしかいませんでしたから」
「マジかよ……」
「キリさんは誰かいたんですか?」
そう聞き返すも、キリは少し気まずい顔をしてから話しだした。
「途中でショウに居なかった弦と会った」
「え!? 弦さん、ずっとここに居たんですか!?」
「あぁ。と言っても、もう大丈夫だと思ってな。それに、一つ面白い奴を見つけた」
「え? それって、なんですか?」
「あぁ、そいつだが――」
「リクちゃ~ん!」
キリが言おうとした時、マナが上空から飛んできた。近くの所でゆっくり着地すると、炎の翼を着地して仕舞い、走り寄ってくる。
「リクちゃん早かったね~!」
「マナちゃんもそんなに時間掛かって無いと思いますよ?」
ボクがそう言うのと同時に、道から水が流れてきた。
「水?」
その水に敵意は無かったし、一体何だろうと思ったその時。
「お久しぶりですわリクさん! 仙ちゃん!」
「「!?」」
ボク達が驚くのと同時、ボクへ向かって水上スケートをしていた藍色の髪をした女の人が抱きついてきた。
いきなりの事に驚きに包まれたがその人が知っている人だと言うのに数秒かかった。
「ま、まさか……レナさん?」
「そうですわリクさん! 先程までわたくし操られておりまして、マナさんに助けてもらったのですわ!」
「マナちゃんが!?」
抱きついていたレナから、マナへと視線を変える。マナは自分の来ている服を差しながら説明した。
「レナさんが契約している神様、水系統だったからちょっと苦戦しちゃったけど、ユミさんの所で貰った魔法鎧のおかげでほとんど無傷だったよ~。これ着てなかったらたぶんかなりヤバかったかも」
「本当ですわ。意識があった時にマナさんの足首を水で掴んで建物を破壊させたり地面に思いっきり叩きつけたりしても平気で動いた時はわたくし、驚きで声が出ませんでしたもの」
「叩き、つけ……ッ!?」
見た所、マナに外傷は見当たらない。本当に魔法鎧が全て吸収してしまったんだろう。この時代には少しチートすぎやしないだろうか。
「でもマナちゃん、無事でよかったです。レナさんも過去に居なかったし、アキさんだって……。本当に無事で……よかったです……うぅ」
「わわわ、リクさん!? 泣いていますの!? 大丈夫ですわ! 大丈夫ですから安心してくださいまし!」
目から溢れてくる涙にレナが慌ててハンカチで目を抑えてくる。
本当に無事でよかったと半泣き状態の時に、ようやく最後の一人がこの場へとやって来た。
「えっと、どういう事? レナさん、貴方今までどこに?」
「それが……」
レナが遅れてやってきたソウナへと説明をしてくれる。おかげでソウナはこの場で起きた状況を理解してくれた。
「なるほど……。レナさんは捕まっていたのね。だからカナさんも過去に飛ばせなかったのね。ところでリク君、そろそろ泣きやんで? 有力な情報を持ってきたの」
「有力な、情報、ですか……?」
さすがに時間が経ったので、涙はもう出てこないが、それでも人前で泣いた事にちょっと恥ずかしさを覚えてレナにハンカチを借りてしっかりと拭いてからソウナへと顔を向ける。
「ええ。ここへ来る途中、街並みが変な事に気がつかなかった?」
「そういえばそうだな。まるであの時の電光王国の街並みだ」
「あ、それはウチも思った。その理由をソウナさんはわかったの~?」
ソウナはコクリと頷くと、ゆっくりと歩いて扉の前まで向かい、コンコンと二度叩いた。
「全て、この塔の所為みたいよ。この塔がこの街を顕現してるの。そして、この塔を顕現しているのが前リク君が持っていた聖地だって言うの」
「え? 聖地が、ですか?」
「ええ。その聖地。つまりユミさんの魂の欠片がこの塔を顕現するための鍵を代用だけど揃えて、塔を顕現させたの。塔が解放されたら、同じく街も解放されるみたい」
そこから、ソウナの説明がしばらく続いた。と言っても数分しか掛からなかったし、十分納得しうる情報だった。
途中で、守護十二剣士の老兵にあったと言うのは驚きだ。
「それって、その老兵、もしかして守護十二剣士で太陽を司る幻際暁さんじゃないですか!?」
守護十二剣士の名前の書かれている日記には唯一、爺と、老人を思わせる単語があった人の名前だ。一番初めに書かれていたし、十分印象に残っていた。
「太陽? へぇ、あのお爺さん、太陽を司っているの? そんなふうには見えなかったけど」
「少しは覚えてろよな。爺さんも泣いてるぜ?」
「そうね。次あったらちゃんと名前呼んであげるわよ」
だけど、今回は太陽を司る暁の名前を知らなくて幸いだったような気がする。だって名を当てれば、試練が始まり、勝てば鍵を渡される。今戦うべきではないし、それに一応敵では無い。
ただ、今は非常事態だし、無いとは思われるが。
「でも、何とか全員無事に揃いましたね」
「一人増えたけどな。足引っ張んなよ」
「あら、それはこちらの台詞でもありますわ。塔に操られてから、カイシンの使い方をかなりマスターしましたの」
「の割には炎使いのマナさんに負けたのね」
「それはわたくしが力を抑えようと必死だったからですわ!」
「でも、本当にレナさん強くなってるし、貴重な戦力だね~」
ここからが本番の戦闘だって言うのに、余裕の表情でいるボク達。たぶん、ここがこの戦争で余裕で入れる最後の場所だと思うから。
この調子で、ライコウも、白夜さんも取り戻す。絶対に、負けるわけにはいかない。
「それじゃあ行きましょう。ヘレスティアに勝ちましょう!」
「「「了解!!!」」」
★★★★★★★★★★
「……来た」
「ふんふん、確かに来たね。門に居たのは確か……あの人か。ところで私は一体何をしてればいいのかな? 白夜ちゃん」
私の元に、一人の少女が現れる。少女は床からわずかに浮いており、その靴には翼が右足左足にそれぞれ一翼ついている。
その靴を履いている少女、すなわちアキは頭にかぶっているベレー帽をくいっと上げて笑う。
「……表面上、リクちゃん達を倒せばいい」
「ふ~ん。……なるほど、了解。それじゃあ私はのんびり下に向かうね」
アキは軽い足取りで塔の階段で下へと降りて行く。
その間、私は城下町に広がる煙や幻魔達を眺めながら、最後の風景を眺めた。




