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ヒスティマⅥ  作者: 長谷川 レン
第一章 桜の思い出
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 Intermission 

視点はリク→白夜→???



 まだ全員がそろっていないと言う事で、ボク等は雑談でもしようかと思ったのだけど、ソウナももう作戦を聞くつもりであることから、キリは資料から目を離して渡してきた。


「全貌は大体わかったが、一番しっくりくる戦争の仕方だな」


 キリがそう言うと言う事は、キリも同じように考えていたような作戦だったんだろう。

 ボク達がその資料を開いて中を見てみると、まず書いてあるのは参加する味方の国の部隊人数とその部隊の数、それとボク達四人の名前と……母さん?


「なんで、母さんが?」

「知らねぇ。でも、動くってことはマジに戦うってことだろ? ヘレスティアはそれだけ強いんだろ」

「でも、私達も強くなって来たわ。絶対に白夜さんを取り戻さないと」


 頷いて、また資料に視線を戻した。

 次に書かれているのは配置だ。


 まず、ライコウの地図が書いてあり、そして名前を四角で囲ったように書かれてある。母さんはその一番兵力があると推測されている真正面に書かれてあり、その隣にボクの名前も書いてある。他の国の騎士団と比べても一番強いと思われる母さんと、騎士団達を一掃した四人の内一人がそんな場所へ書かれていると言う事はもしかして完全に塔まで届けるための布石なのだろうか。だけどそこら一般の兵士に負ける要素はボクにとっては無いのだが。


「四人とも、全員バラバラね。一番気になるのはやっぱりカナさんとリク君の組み合わせなわけなのだけど」

「おそらく一番初めに塔に着くのはリクとカナだって考えた方が良いな」


 ライコウの門は四方に一つずつあるだけで、北の門からボクと母さんとライコウ軍。西の門からはキリとハーロン軍とショウ軍。東の門からはソウナとウルシール軍とゲネテシス軍。南の門からはマナとアラレウンド軍とロースクルス軍だった。人数的には北の門が一番少ないけど一番強い所でもある。


 ショウはライコウの北側にあるのも考えて、戦争を開始する爆発音を轟かせるのは南に居るマナ達のグループと書いてある。

 そこからは各自すみずみと進行しながら各個敵を撃破。塔へと乗り込む算段となっている。

 作戦はそんな感じだ。こんなに資料入らないんじゃないかと思っていくつかめくってみると、驚いた事に参加する全ての騎士兵士の名前がずらりと乗っている。

知り合いがいないかと思ってショウやロピアルズを見てみるとショウにはリンスマリアの名前が。ロピアルズにはガルムやデルタ、そして棺やミュアの名前までのっている。


 その時、扉がノックされてそれに出ると、外からは涙の跡を完全に消しさったマナの顔が見えた。


「マナちゃん。待ってましたよ。これが鍵ですけど、先に資料見てきますか?」

「そうさせてもらうね~。それと……ありがとね」

「え? マナちゃん、今なんて?」

「ううん。なんでもないよ~」


 マナは何のそぶりも見せずに中へと入ってくると……あ、部屋の中もう一杯だ。


「うわ。ちょっと蒸しっぽいね~。窓開けてもい~?」

「別にいいが、カーテンは締めとけよ」

「わかってるよ~」


 もう暗いし、当然だろうとばかりに言うキリと、それに苦笑しながら窓を開けてカーテンを閉めておくマナ。遠慮もせずに、いつも通りの光景に心の中でホッとしていた。

 夕日はもう落ちて、夜となっている。街は明かりをつけて綺麗な景色となっていた。


 こうして、ボク達四人は母さんに渡された資料を参考にして、どういう動きをするのかを決めていた。

 作戦の決行は……。



 ――三日後の深夜十二時。



★★★★★★★★★★



 その日の夜。私はまだ魔力が強く残っている森へとやってきていた。


「…………」


 地面へと手を当てて、しっかりとその魔力を感じ取る。自分が待ち望んでいた魔力だ。まさか二ヶ月も待たされることになるとは思わなかったが、それでもようやくその日が来たかと思う。本来ならば心が躍るような事があるのだが、感情を壊している自分にそんな思いなど何処にも存在しない。


「白夜さん? こんな所で何しているんですの(、、、)?」


 ちらりと、後ろへと振り返る。藍色の髪をしている少女がその場所に立っていたが、私は振り返らずに話した。


「……どうしてこんな所に? ……ここは見回り場所では無いはず。……レナ(、、)


 藍色の少女はその場に立ち尽くし、険しい顔をして魔力を力の限り放っている。


「そうですわ。でも、貴方達に覚醒(、、)させられた(、、、、、)おかげで塔の力に少しは抗えるようになったんですわ」


 私の見解では、魔力を力の限り放つ事によって抗っているのだろう。所詮建物の力はその程度かと思うが、覚醒した状態のレナがここまで強くなるとは思わなかった。


「……だったら、少しでも力を強めないと」

「だったら、それ以上にわたくしは抗い続けますわ」


 いつもの強気な態度。ルクセル家の令嬢にして海の神様と契約している守り人。淵海。少し過小評価をしていただろうか。

 まぁどの道。彼女の心が折れる方が先だとは思うが。


「……レナに人を殺しても何とも思わないような心があるなら、抗える事が可能」

「――ッ!」

「……その殺す相手がライコウの知っている人なら尚更」


 私はレナの隣を進み、ライコウの国へと戻って行く。


「待ちなさいですわ!」

「……何?」


 まだ話があるのかと、私は足を止めてレナを見る。さすがにずっと魔力を全力で放出し続けている所為でもう魔力が切れ掛けてて塔の力が強まって行く。

 なのにレナの瞳はしっかりと私を捉えている。


(……何処にそんな力が……)


 私が怪しんでいると、レナは口を開いた。


「ジーダス潜入する時ですわ。白夜さん、デルタさんに頼んで扉を開ける時に最後。そして……と言葉を繋げましたわ。あれはまさか、これを望んでいたんですの?」

「…………」


 確かに、あの時そして、と言葉を続けたまま何も言わずに扉の先へと行った記憶がある。確かあれは扉が開いたからその先を急いだだけだったが、今言っても別に関係ないし、問題ないかと思う。


「……違う。……あの時も今も、私の目的はただ一つ」


 ただ、やはり目的を知らない人に言うのはためらわれた。私は悪でいいんだ。悪でしか生きられない。


「く――ッ」


 その時、魔力が切れたのかレナの瞳から光が消えた。

 光が消えると、ここはどこかときょろきょろと動かして私を発見すると、すぐ近くまで来て膝をついた。


「ライコウはあっち。見回りに戻って」

「――ハイ」


 声色に感情は無い。まるで機械の様に返事をし、ライコウへと戻って行くレナ。

 絶対忠実になると思っていたけど、これは神の力を改めなくてはいけない。

 ただ、捕虜にしたもう一人の守り人であるアキは神が神なだけに塔で操る事が出来ないのが残念だ。操っても神が過去に起こった事を全て記憶しているから意味が無く、アキもこの加護を受けているから出来ない。


「……今日は少し、風が強い」



★★★★★★★★★★



「はぁ……ッ。はぁ……ッ。はぁ……ッ」


 息が自分で意識しなくても漏れる。


「おい! どこ行ったあの男と女二人!」「わからん! 見失った!」「探せ! まだ近くに居るはずだ!」


 近くで聞こえるヘレスティアの兵士たちの声。どうやら自分達を捜しているようだが、見つけられていないらしい。


「はぁ……はぁ……。どう……ですか……?」

「はぁ……はぁ……。分からん。……ともかく、こちらには来ないようだ……」


 息が切れながらも他の二人も物影に隠れながら兵士がどこかに行くまでやり過ごす。

 服はボロボロになりながらも、休める時はこうやって休んでいるので危険な所まで落ちている訳ではない。

 だけど、自分の右目はもう完全に見えず、今では包帯を巻いている。そこからは大量の血が出ていて、包帯には血が滲み出ている。体のあちこちも黒くなっていて、細胞がおそらく焼け死んでいる。生きているのが不思議なくらいだ。


「しばらく……休もう。ここなら少しは……」

「そうだな……。休みは大切だ……」

「魔力は納めないといけませんね……」


 自分達がそう体を壁に預け始めた時だった。

 突如、カチャ……と小さい音がしたのでいつでも武器を呼び出せるように型を作ってゆっくりと近づく。

 自分達が居るのは誰かの家の裏だ。木に囲まれたここはまるでここだけ被害が無かったかのように自然に包まれている場所だ。逆に言えば誰かいると言うことだった?

 そんな考えと同時、突如としてすぐそこの裏の扉が開かれた。自分はすぐさま魔法を唱えようとそいつに掌を向けた時だった――。


「――入れ。主がいないのに勝手に入れるのはあれだが、そこに居るのは危ない」


 驚く事に、自分たちにとってその人物とは知っている人であった。


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