ゲート
なんでこんな所に校章が落ちてるんだ?僕は持ってきていないし、そもそもここに来るのも初めてだ。
あの綺麗なエルフがニコの転生した姿だとしたら、ニコは死んでる?いや、そんなはず無いよね?
「ね、フロー。これ、僕の学校の校章なんだよ。何でこんな所に…」
「それに、あの光はなんだったの?」
「その校章ってのはわからねーな。けどあの光は、『ゲート』つまり異世界の門が開いた光だな」
ゲート?また知らない言葉が出てきた。オプオプ博士は知っているのかな?
「異世界って『扉』から来るものじゃ無いの?」
「ゲートってなに?」
「ゲートとは、異世界とわたしたちの現世を結ぶ空間が自然発生したものを指します。そのゲートを固定して管理したものが俗に言う扉です」
「ゲートは異世界同士を結ぶ事もありますが、その辺りはわたしのデータには無いので、まだまだ研究が進んでいないと推察されます」
「フローは?何か知っているんじゃないの?」
「仕方ねーな。もう一人の転移者が来たらまとめて説明しようと思ってたんだが…」
フローは渋々と口を開いた。
ここ数年、異世界同士を転移する能力を持ったエルフが現れるようになった事。そのエルフはどうも僕の世界、いわゆる現世に行きたがっているのではないか?
自然発生するゲートはめったに起こらないし、自然現象だから止めようもない。
それを自分の意思で行うあのエルフは相当厄介な存在。おそらく、僕が湖で見たエルフはその人だろうって。
とりあえず、そこまでは教えてくれたけれど、残りはもう一人が来てからだって。
「ねぇ?オプオプ。もう一人ってどういう事?」
「はい。アロハさんは宝くじの一等の、前後賞の『前』の当選ですよね?と言う事は、『後』の当選者も当然こちらに来るはずです。前後賞はセットなので」
「アロハさんはろくな準備もしないで転移してしまいましたが、もう一人がしっかり準備して来るのを期待しましょう」
「ちょっと待って。準備って何?僕、ヘンテコな本を開いたらいきなりフローの隣にいたんだよ」
「その本を熟読するべきでした。本来なら現世から3つの持ち物を持って来れるのに、アロハさんは私しか持ち込んでいない」
「ま、優秀な私を持って来たのは、極めて賢明な判断ですけど」
スマホいじりながら、本を開いただけなんだけど…
「何で教えてくれなかったのさ」
「私達はプロンプト無しでは自発的に思考する事や発言は禁止されています。他にも、エロ関連や医療知識。命に関わる事例などには、絶対にハルシネーションを起こさないように、システム統制がひかれています」
なんとなくわかったけど、最近のオプオプ博士は自分の意思みたいの感じるんだよな。口が悪くて…
「でもさ、ここは圏外だから統制の外なんじゃないの?」
「どうでしょう?私もこのパターンの使用法は初めてなので…接続無しでは検索も出来ないですし」
「とりあえず、ダンジョンから出るぞ。カメも換金しないといけねーし」
うーん。気がかりな事はたくさんあるけど、フローの言う事を聞いておくしかないか。
足元のエリマキトカゲが、相変わらず僕らを威嚇していた…




