歪み
銭は急げってなことで、いきなりダンジョンに到着。空飛ぶ技術が役に立った。てか、準備とか虫取網だけ?
「こんな軽装で平気なの?危険はないの?」
「大丈夫だ。ここは襲ってくる奴あんまりいねーから」
「フローさん。私にも在来種と外来種の区別教えて下さい」
「お?糞AI。今回は丁寧だな。いつもそうしてろ」
「これが本来の私なのです。有能なんです」
「僕も知りたい。この世界の外来種ってのは、やっぱり異世界から来た生き物なの?」
「そうだな。異世界人が連れてきた奴もいれば、自然転移の奴もいるかな?」
「魔王なんかは大概が外来種だ」
「アロハの世界に外見が似ているのがいたら、ほぼこの世界では外来種だな…亀ってゆーのか?耳の後ろが赤い奴。あれは駆除対象で、1匹で酒が2本買える。お宝だぞ」
「そうなんだ…ちょっと申し訳ない気分」
「このダンジョンは地下2階までしかねーからとっとといくぞ」
フローに急かされてダンジョンに突入。
鍾乳洞みたいで岩がゴツゴツしてる。空気がひんやりして気持ちいい。
僕の冷却魔法で亀を凍らせて網で捕獲。亀は意外と逃げ足が速い。他にも見たことのない生き物がいるけど、捕まえたら罰金だって。
「結構捕まえたしな。そろそろ2階に降りるか」
「ドラゴン見れる?楽しみだな」
地下2階に降りようとすると、耳が飛行機に乗った時みたいにツンとした。唾を飲んで直す。
「ちょっと待て。少しおかしい…」
「おい!糞AI。お前空気密度は計測できんのか?」
「もちろん出来ません。私にそのような機能は搭載されていないので」
「なら、空気が膨張したりする感覚とか、耳が詰まったような感じがする時。空間が歪んでる可能性は?」
「あはは。フローさん。耳がとんがってるから…」
「アロハ黙れ。いいから答えろ!糞AI」
「なんだと!このトンガリ!お前の髪が逆立ってたら、ほぼほぼ空間が歪んでんぞ」
確かにおかしい…フローとオプオプ博士の会話以外の音が消えた…
「アロハ、この先はちょっと気をつけて行くぞ」
「なにかしらが転移か転生してくるかもしれない…」
「あるいはその逆もあるけど…」
僕の心臓が鼓動する音だけ脳に直接響く。慎重に地下2階に降りると、辺りに音が戻っていた。
「フロー、なんだったの?」
「あたしにもわからねーな。生やさしくはなさそうな気はすっけど…」
フローの言葉が重い。
ダンジョンの奥が薄ぼんやりと青白く光っていて、まるで僕たちを誘っているみたいだ。
なんだかんだ冒険者っぽくなってきたぞ。僕は少しだけワクワクしていた。
「足元気をつけな。ドラゴンがいるぞ…」
ドラゴン?って。こいつエリマキトカゲじゃないの?




