撒き餌
「あとは…オッサンの嫁のことか」
「そいつ、もしかしたらエミって名前だろ?」
「フローさん知っているのか?教えてくれ!」
おじさんが食って掛かってる。でも、死んだ人に会えるなんてことあるのかな?
「だから落ち着けっての。あたしもさっき名前知ったんだ。状況を整理しねーと、いまいち説明出来ねーから」
「アロハ。ちょっと糞AI貸してくれ」
「何だと!トンガリ。糞って言うな」
「あぁ、悪い。優秀なAI様だったな。おまえの得意分野だ。あたしが知っていることを伝えっから、状況を整理してくれ」
フローがずっと難しい顔しているよ。さっきの悪魔の人に言われてた例の件ってのも関係してるのかな?
「仕方ありませんね。優秀な私に頼るのは極めて最適な行動です。情報の整理、解析等は高性能な私にお任せ下さい」
オプオプ博士もご機嫌。優秀って言うと喜ぶんだね。単純だな。
「何から伝えっかな。色々あってメンドクセーんだよ」
「フローさん。適当に関連する事を羅列すれば大丈夫です。私がそれらを俯瞰の観点から紡いで考察します」
「まずな…」
フローがオプオプ博士に伝えた事はざっくり言うとこんな感じ。
・この異世界は最初に認知された異世界
・ここにはかつて本物の魔王がいた(討伐済)
・この異世界は現世に近い
・ゲートを作る特殊な力を持ってるエルフがいる。そのエルフは現世に帰りたい
・現在は行方知れず
・そのエルフは悪い連中に狙われている
・委員会も探している
・僕が湖でみたエルフはおそらくそのエルフ
・おじさんの亡くなった奥さんの転生した姿 がそのエルフだと思う
・僕とおじさんが宝くじに当たったのは偶然じゃない
オプオプ博士はこれで何が分かるんだろ?
「大体分かりました。そのエルフは皐月さんの奥様の転生した姿で間違いないと思われます」
「本当か?逢えるのか?」
おじさんが必死。
「皐月さんはその為にこの異世界に転移させられたんですよ。いわゆる撒き餌です」
「やっぱりか。今回に限ってこの異世界が使われたってのは表に出せねー理由があるとは踏んでいたけどな」
「この異世界はあんまり刺激しねー方が良いんだけど…アロハはその保険みてーなもんか」
保険?僕が保険ってどういうこと?ニコのお父さんと合流したから、これから本格的な異世界攻略が始まるのかと思っていたけど、何だかわからない事になってきたな。
「オプオプ博士。僕が保険って何?」
「保険とは万が一の時に備える事を指します」
違うよ…そういう事聞いてるんじゃ無いよ…




