異世界史
「アメデオちゃん。ちょっと怖かったけど、みんないい人だったね。あなたのご主人のフローラルさんはどんな人なの?」
さっきのお店でお土産にもらったパスタとスープを温め直した。
サラダにデザートまで。こんな贅沢久しぶりだな。
「おいし」
今まで食べたパスタのなかでも抜群に美味しい。美味しいけど、ひとりのごはんは味気ないな…
ふいにアメデオちゃんがわたしの手を握る。
「ゴメンゴメン。あなたがいるから寂しくなんか無いよね」
タブレットを開いて異世界史を調べてみようかな。でも、異世界史ってかなりマイナーな科目だよね。受験科目に無いから誰も選択しないしさ。でも、校長先生のこととか出てるかも?だよね。
へー、本当に世界を救った勇者だったんだ?佐藤さんもロトさんも載ってる。みんな若い。本当に凄いことした人達なんだね。
ふむふむ。現世に脅威になる魔王とか悪霊の類いは、確認された個体のほぼ全てを勇者達が倒すか、封印したんだって。
その後の異世界は主人公がやたら強いのとか、モテモテなのが主流で、いわゆるテンプレが確立されたとか。その後のジャンルは多岐にわたる…ふーん、歴史モノは苦手。
とにかく、あんなに面倒臭い…じゃないや。凄い人達が助けてくれるんだから、わたしも頑張らないとね。
しかし今日は疲れたよ。早く寝ないと。
「アメデオちゃん。おやすみ」
翌朝、お弁当を作っているとチャロアイトさんが訪ねて来た。昨日の和服と違って学校の制服着てる。めちゃくちゃ似合ってるよ。カワイ過ぎ。
「笑湖さん。朝早くに申し訳ないね。私も学校に同行しようと思って…迷惑かしら?」
「この制服?陽光さんに用意してもらったのよ。この方が目立たないでしょ?」
チャロアイトさんが照れ臭そうに笑う。可愛すぎて、逆に目立つけどね…
「全然です。上がって下さい」
「でも、よくわたしの家わかりましたね?」
「この子が案内してくれたから」
チャロアイトさんの指先にピンク色に光る綿毛みたいのが浮いてる。昨日の妖精さんだね。
「ところで、件の黄色い本を見せて頂けるかな?」
あれ?光ってないね。昨日まで光っていたのにな…
「チャロアイトさん。これなんですけど、光がなくなってる」
「どうゆうこと?」
「私が説明致します」
うわっ!窓のところになんかスーツのひとがいる。ここ三階だよ?浮いてるのかな?
もうね、ちょっとやそっとじゃ驚かないよ。わたし。
「ところで…チャロ、何故あなたがここにいるのですか?」
「アスタ-?あなたこそどうして?」
ふたりは親しそう。知り合いなのかな?
「私はお仕事です。皐月笑湖さんに黄色い本が安全になった件と、物質転送が可能になった件を伝えに来ました。クレームの未然対策です」
そう言って、スーツのひとが名刺をくれた。
パパが同意書にサインして、きちんと転移者として登録されたから黄色い本も正規の運用が出来るようになったって。32ページをよく読んで下さいって。
「あの…父と連絡は取れませんか?」
「基本的には出来ません。手紙等を転送することも規約違反なので気をつけて下さい」
このひと…ひと?なのかな?丁寧だけどかなり怖いな。アメデオちゃんも隠れて出てこないよ。
「ところで、チャロ…今度食事でも」
「却下」
あれ?チャロアイトさん、もしかしてモテモテ?
聞きたい事たくさんあるけど、とりあえず学校に遅刻しちゃう!忙しいな…




