悪魔
「フローラル。お取り込みのようですが、失礼してもよろしいですか?」
誰?玄関に誰か立ってる。スーツを着てるけど…現世の人なのかな?
「あ?何でお前がこっち来てんだよ?また面倒臭い事押し付けに来たのか?」
フローの知り合いかな?穏やかそうなのに、なんだか怖い人だな。よく見れば角が生えてるし。
「申し遅れました。私、こういう者です」
男の人は丁寧に僕とおじさんに名刺を渡してくれた。
『異世界執行委員会 副委員長 アスタルト』って書いてある。なんだか偉そうな人だな。
「おい角消せよ。一般人の前だぞ」
「おや、失礼。こちらの世界なので気を抜いてしまいました」
「わかってると思うけどな、悪魔化すんなよ」
「もちろん心得ていますよ」
「オプオプ博士?この人知ってる?」
「アロハさん。大物です。と言うか、現世に存在している3人の悪魔の1人です。今は魔人化しているようですが、素の姿を見たらイチコロですよ」
「すみませんアスタルトさん。現世の家族と連絡を取りたいのですが、方法は無いですか?」
おじさんがアスタルトさんに聞いてる。勇気あるな…でも、ニコのことが気になるもんね。
「基本的にはありません。その猿を使った通信も本来は違法です。フローラルと勇者陽光だけの特権なんですよ」
「先程、あなた方が使用した件は見なかった事にしますが…」
「それよりも、今回私は、あなた方ふたりに用件があって出向いたのです」
僕とおじさんに?なんだろ?
「あなた方ふたりとも、転移同意書が未記入ですね?最近事故転移でクレームが多発しているので、記入して頂きに来たのです」
そう言って、アスタルトさんは黄色い紙とペンを渡して来た。
威圧感が凄いな…冗談でも拒否出来ない雰囲気。僕とおじさんは同意書にサインした。
「はい。ありがとうございます。これでおふたりは、正式に異世界ジャンボ宝くじの当選者として登録されました」
うわ。笑うと牙が見えたよ。やっぱり怖い…
「有馬さんは手荷物は2つですね?」
「え?僕はこのスマホしか持って来てないよ」
「しかし、現世のアイテム反応が2つありますが…」
この校章の事かな?
「これは、こっちの世界で拾ったんです。まずいですか?」
「いや結構です。皐月さんは…生体を連れて来てしまいましたか…あとは写真が1枚ですね」
「フローラル。バブを完全に消さないと、この生体は現世に戻せないのでよろしくお願いしますよ」
「これで、おふたりが現世に残した扉…俗に言う黄色い本は安全になりました」
「皐月さんの共同購入者からの物質転移も可能です。但し、ガイドラインに反した物は違反になり没収されますので、ご注意願います」
アスタルトさんはそう言って、黄色い本の写しを僕とおじさんにくれた。
「余談ですが、持ち込みアイテムが2つなので、裏技が使えますよ。あくまで余談ですが…」
「では、私の用件はこれで終わりです。おふたりとも、異世界ライフをお楽しみ下さい。それでは失礼致します。それからフローラル。例の件も頼みますよ」
フローが苦い顔してる。異世界を管理するのも大変なんだな。
「では、これで」
突然、アスタルトさんの背中に黒い翼が生えて、飛んで行った…
「アロハ君…あの人翼が16枚もあったよ。かなり上位の悪魔みたいだね。おじさん、ちびっちゃうかと思ったよ」
いや、ちょっと矢継ぎ早に色々ありすぎじゃない?ニコの事やお母さんの話も気になるしさ…
おじさん、呑気過ぎ。




