適正
「さっきと同じ要領なら、僕にも出来るよね?やらせてよ」
「いや無理だろ?アロハ、お前ヘロヘロのはずだぞ」
「そうでもないよ。ちょっと疲れたけど、バナナ食べたら元気になったよ」
フローとオプオプ博士の魔法も見てみたいけど、僕にも出来るならやってみたいな。
「まぁ、無理すんな。あたしも試したいからな。それに、補助療法は難しい」
「糞AI。ガチ魔法のデバフデータは持ってるか?」
「なんだとトンガリ!あるに決まってんだろ!」
ふたりで始めちゃった。まぁいいか。
「よし。そのデータを分割して分解、再構築してよくある魔方陣にしてみてくれ。そうすればこの世界でも使える。ミナカトールレベルな」
「あれは5人組の魔法だろ?お前1人でやれんのか?」
「さあな。このおっさんの適正次第だけど、おそらく行けんじゃね?」
「失敗したら、ハム次郎は駆除する。それでいいな」
「あの…オレは何をすれば?それに駆除って」
「フローさん。出来ました」
「早いな。優秀だ……」
フローがブツブツとなんか言ってる。声が小さくて何言ってるか分からないな。呪文かな?
「パチンパチン」ってフローが指を鳴らした瞬間、おじさんの身体が青りんご色のゼリーみたいのに包まれた。ちょっと美味しそう。
「おっさんハム次郎に抱きつけ!」
「え?これでいいの?」
おじさんがハム次郎君に抱きついてモフモフしてる。少しずつ身体が小さくなってるみたい。
「ふぅ。成功だな。おっさん、適正ありか…」
フローが嬉しそうな顔してる。僕も、ハム次郎君が駆除されなくて嬉しいな。
「ね。フロー、おじさんの適正って何?それに、凄く嬉しそうだね」
「あ?あいつ、さっきハム次郎を守ろうと『勇気』を見せただろ?そんだけだ。それと…ちょっと面白い奴に似てんだよ」
なんだろ?良く分からないけど、丸く収まったのかな?フローが軽く指を鳴らして里山の氷を溶かした。やっぱりフローは凄いな。
「さて、おっさん。色々と聞かせて欲しいんだよ。覚悟は良いかな?」
フロー、さっきまでニコニコしてたのに怖い顔してる。でもちょっと嬉しそう。おじさんもほっとしてる。
「ところで、フローさん。優秀なAIの私なら魔法使えますか?」
「この世界だと発動は無理だな。陣と詠唱ベースの世界ならワンチャンって感じだが、試した奴いねーからな」
オプオプ博士まで魔法使えたら凄いな。でも敵も魔王もいないんだよね?
「さてと、場所変えるか…」
「おっさんは飛べねーか。あたしが運んでやっから、アロハはハム次郎連れてけ。餌やるなよ」
僕はハム次郎君を胸ポッケに入れてフローに続いた。
しかし、ハム次郎カワイーな。




